皆さん、こんにちは。2025 Miss SAKE Japan 館農知里です。
3月15日(日)、中央区立日本橋公会堂(東京都中央区)で開催された、民族衣裳文化普及協会主催「女性文化講座-装束から垣間見る源氏物語“光る君の青春”」にて、紫の上役として十二単着装モデルを務めさせていただきました。
「民族衣裳文化普及協会」について
一般財団法人民族衣裳文化普及協会は、日本に受け継がれてきた民族衣裳をはじめ、その染織技術や文様、造形美に関する知見を広く社会に伝え、理解の深化を図ることを目的に活動されています。さらに、地域や世代の枠を超えた視点から、日本の伝統文化を媒介とした教育や人材育成にも積極的に取り組まれています。
今回の「女性文化講座-装束から垣間見る源氏物語“光る君の青春”」は、こうした同協会の理念を体現する企画として開催され、「第一部 王朝装束の着装実演」と「第二部 装束から垣間見る源氏物語“光る君の青春”」の二部構成で実施されました。第一部では、平安時代の王朝装束が実際に着付けられていく過程を間近で拝見し、幾重にも重なる衣の美しさや、色彩の繊細な重ねに込められた美意識を肌で感じるひとときとなりました。続く第二部では、『源氏物語』の主人公・光源氏の青春期に焦点を当て、装束の視点からその世界観を紐解きつつ、時代を生きた女性たちの感性や価値観について理解を深める貴重な機会となりました。本講座を通じて、衣裳は単なる装いにとどまらず、時代背景や人々の心情、美意識を映し出す「文化」そのものであることを、改めて実感いたしました。
布の重なりに映る美
今回は、「第二部 装束から垣間見る源氏物語“光る君の青春”」において、紫の上役として十二単の着装モデルを務めさせていただきました。本講では、空蝉、末摘花の女房、六条の御息所、朧月夜の尚侍…など、『源氏物語』の主人公・光源氏の青春期を彩る女性たちから着想を得た装束をモデルが実際に身にまとい、一般財団法人民族衣裳文化普及協会 理事・学長 武田富枝氏のご解説のもと、その背景について学ぶ構成となっておりました。
今回着用した十二単は、可憐さと気品をあわせ持つ理想の女性像である紫の上をイメージし、春らしい文様とやわらかな春色を基調とした衣を幾重にも重ねたものでした。しかし、その総重量は16kg以上にもおよび、頭部に装着するかつらを含めると20kg近くにもなります。一枚一枚重ねられた衣は想像以上に重く、動くたびにその重みが静かに身体へと伝わってきました。優雅に見える平安の装いの奥には、姿勢を崩さずに保つ気高さや、静かに振る舞うための忍耐があったのだろうと、しみじみと実感いたしました。
十二単は、平安時代の宮廷女性が身にまとっていた正式な装束の一つであり、幾重にも衣を重ねることで生まれる色の重なりに美を見出す、日本独自の美意識を体現した衣裳です。その構成は、最も外側にまとう格式高い「唐衣(からぎぬ)」をはじめ、表着である「表着(うわぎ)」、文様が美しい「打衣(うちぎぬ)」、重ね着の中心となる「五衣(いつつぎぬ)」、その下に着る「単衣(ひとえ)」、そして足元を整える「長袴(ながばかま)」、長く引く裾が特徴の「裳(も)」などから成り立っています。なお、髪型は、長くまっすぐに垂らす「垂髪(すいはつ)」が基本とされています。「十二単」という名称は必ずしも12枚の着物を意味するものではなく、季節や身分に応じて衣を「十二分に」重ねることに由来しています。こうした重ねの美によって、優雅で繊細な色彩美とともに、一人ひとりの美意識や品格が表現されていました。
▼十二単についての詳細は、民族衣裳文化普及協会「十二単の基本」をご覧ください。
https://www.wagokoro.com/12hitoe/
十二単に息づく、継承の技と人
今回は、民族衣裳文化普及協会の皆様の支えがあって実現いたしました。私が今回着用した十二単は、熟練の先生方が二人がかりで、わずか15分ほどで美しく着付けてくださいました。襟元を整えながら苦しくならないよう配慮しつつ、一枚一枚丁寧に重ねていくその手つきは驚くほど素早く、同時に非常に繊細で、思わず見入ってしまうほどでした。
実は十二単は、すべての衣を一本の腰紐で押さえています。一枚重ねて襟元を合わせ、腰紐を締めた後、そのすぐ下の腰紐を外す、この工程を繰り返していきます。肩にのしかかる重さはあるものの、腹部に苦しさがないことに驚かされました。通常の着物は一人で着ることが可能ですが、十二単は決して一人で着ることはできません。平安時代から受け継がれてきた伝統的な装束であり、高貴な身分の人々の美しさと尊厳を体現する装いでもあります。その着付けを支える先生方の技と努力の積み重ねに、深い敬意を覚えました。
また今回は、ヘアメイクから道具の準備に至るまで、民族衣裳文化普及協会の皆様のお力のもと実現いたしました。関東圏のみならず、名古屋をはじめとする中部圏からもお越しになり、開催の裏側を支えていらっしゃいました。先生方は紫の色無地に、上品な文様の白い帯を合わせた装いで統一されていました。一般財団法人民族衣裳文化普及協会においては、王朝衣裳の専門的な資格を取得した方のみが着装を許されているそうです。約1000年にわたり守り継がれてきた技の重みを、改めて感じる機会となりました。
次世代を担うMiss SAKEファイナリストたちの学び
今回は、2026 Miss SAKE ファイナリストがナデシコプログラムの一環として見学に訪れました。今回の「女性文化講座」での体験は、彼女たちにとっても貴重な学びの機会となったようです。詳しくは、以下のナデシコプログラムのレポート記事もぜひご覧ください。
今回の「女性文化講座」を通して、日本の伝統文化は、目に見える美しさや形式だけでなく、それを支える人々の確かな技と、長い年月をかけて育まれてきた想いによって受け継がれているものであることを、改めて深く実感いたしました。装束の一つひとつの重なりの中に、時代を超えて受け継がれてきた美意識や精神性が息づいていることに触れ、その奥行きの深さに心を動かされました。
また、Miss SAKEとして今後も、日本酒をはじめとする日本文化の魅力をお伝えするだけでなく、その背景にある歴史や文化、人の手によって守り継がれてきた価値にも目を向けながら、一つひとつの出会いを大切に、国内外へ丁寧に発信してまいりたいと存じます。
このような貴重な機会を賜りました民族衣裳文化普及協会の皆様に心より御礼申し上げます。
2025 Miss SAKE Japan 館農知里






















