Miss SAKE News/Blog

第14回ナデシコプログラムレポート「国税・マナー・日本ワインから日本文化の真髄に触れた一日」2026 Miss SAKE 秋田 飯田千有里

​はじめに

皆様、こんにちは。2026 Miss SAKE 秋田 飯田千有里でございます。

新緑が目に眩しい5月10日。第13回に続き、東京都福生市の石川酒造さんにて、第14回ナデシコプログラムが開催されました。今回は、国税庁課税部 鑑定企画官室より山脇様と富高様をお招きし、日本酒を科学的・行政的視点から深く掘り下げる貴重な講義をいただきました。

 

また、様々な社交界にて紳士淑女に対しマナー講座を行われてきた一般社団法人アジアみらい文化交流協会 会長、NPO法人日本ホテルレストラン経営研究所 理事長 大谷晃様からは一生モノの淑女としての国際マナーを、多方面で活躍される俳優 辰巳琢郎様からは日本ワインの現状とこれからについて講義いただきました。

どの講義も日本酒と日本文化のアンバサダーとして活動していくに当たり必要な知識ばかりで大変素晴らしい学びの1日となりました。本レポートにてこの1日の活動を振り返らせていただきますのでぜひ最後までご覧下さい。

Hello everyone, I am Chiari Iida, the 2026 Miss SAKE Akita.

​On May 10th, amidst the beautiful fresh greenery of early summer, the 14th Nadeshiko Program was held at Ishikawa Brewery in Fussa, Tokyo. Following our previous session, we had the honor of welcoming esteemed guests for a day of profound learning. Mr. Yamawaki and Mr. Tomitaka from the National Tax Agency provided us with a scientific and administrative deep dive into sake. Mr. Akira Otani, Chairperson of the Asia Mirai Cultural Exchange Association and the NPO Japan Hotel & Restaurant Management Research Institute, shared his expertise on lifelong international manners for ladies. Furthermore, the multi-talented actor Mr. Takuro Tatsumi spoke passionately about the current state and future of Japanese wine. Each lecture provided essential knowledge for my role as an ambassador for sake and Japanese culture. I would like to share my reflections on this wonderful day, and I hope you enjoy reading this report to the end.

今回の講義内容

​①国税庁・鑑定官の仕事について / 日本酒のサイエンス 国税庁課税部 鑑定企画官室 山脇幹善様 / 富高拓海様

​②一生モノの最上級のテーブルマナー / 淑女の為の国際マナー・プロトコール編​​一般社団法人アジアみらい文化交流協会 会長 大谷晃様

​③ワイン入門(日本ワインについて) 俳優 辰巳琢郎様

​1.国税庁・鑑定官の仕事について / 日本酒のサイエンス

​講師:国税庁課税部 鑑定企画官室 山脇幹善様 / 富高拓海様

​午前は私たちが日常的に嗜む日本酒と、国としての税務行政がどれほど密接に関わっているかについて学びました。

​酒と国税庁の深い関係

​日本の税金には、所得税や消費税などの「国税」と、住民税などの「地方税」がありますが、「酒税」は国税庁が管理する国税に含まれます。酒税はお酒を「出荷」する際にかかる税金であり、明治32年(1899年)には主税収入が国税収入の首位(全体の約3〜4割)を占めるほど、日本の財政を支える重要な柱でした。

​鑑定官の誕生と3つの任務

​お酒が製造中に腐敗してしまう「腐造」を防ぎ、国の大切な財源を守る技術的専門職として誕生したのが「鑑定官」です。現在の国税庁技術系職員には、主に3つのミッションがあります。

  1. 課税物件の分析鑑定:お酒(アルコール1%以上の飲料)やガソリンなどが、税法上の定義に正しく合致しているかを科学的に分析します。
  2. 酒類業者への産業支援:麹造りや発酵のアドバイスなど、酒造技術や基盤強化を支援します。
  3. 品質及び安全性の確保:流通しているお酒の放射能検査(震災時など)や、不適切な製品がないかの調査を行い、消費者に安全な日本酒が届くよう努めています。

​日本酒のサイエンスと健康効果

​講義では、最新の研究に基づいた日本酒の驚くべき力についてもご紹介いただきました。

  • リラックス効果:吟醸酒の華やかな香りは、不安を和らげる「抗不安効果」に大きく寄与していることが解析されています。
  • 酒粕の驚異的な機能性:酒粕に含まれる「SAM(S-アデノシルメチオン)」は、抗うつ効果や肝障害抑制効果が期待されており、なんと豚レバーと比較して約11.6倍もの含有量を誇ります。最大含有量の酒粕であれば、20gで抗うつ、50gで肝障害抑制に効果を示すとの報告があるそうです。

​日本酒の官能評価体験(フレーバー・ホイール)

​「清酒のフレーバー・ホイール」を用い、実際に16種類の香り成分を体験しました。日本酒の複雑な香りを構成する成分と、その特徴を以下の表にまとめました。

​【日本酒の主要な香り・成分表】

系統 成分名 香りの特徴
吟醸香・果実様 酢酸エチル セメダイン、バナナ、パイナップル様の香り
酢酸イソアミル バナナ様の甘い香り
カプロン酸エチル リンゴ、洋ナシ様の華やかな香り
芳香・花様 高級アルコール アルコール臭、熟成感
4-ビニルグアイアコール 燻製、スパイス様の香り(主に焼酎や古酒)
薔薇(フェニルエチルアルコール) 華やかなバラの花のような香り
草木・スパイス様 アセトアルデヒド 未熟な果実、刺激臭、お酒の若さ
イソバレルアルデヒド むれたような、あるいは特有の酸化臭
硫黄様 ジメチルトリスルフィド(DMTS) たくあん、ひね香(劣化臭)
その他・劣化香 脂肪酸(酢酸・酪酸など) 蒸れた靴下、バター、酸っぱい臭い
カビ臭(TCAなど) 湿った段ボール、木材のカビのような臭い
ジアセチル つわり香、バターやヨーグルトのような発酵臭
カラメル 醤油、みりん、焦げた砂糖のような香り

 

利き酒体験

​講義の締めくくりには、9種類の日本酒を用いた「利き酒」に挑戦いたしました。視覚(色調や外観)、嗅覚(上立ち香と含み香)、味覚(五味とキレ)を研ぎ澄ませて向き合う時間は、まさに五感を通じた対話でした。

番号 銘柄名 / 酒造 / 県名 香りの特徴・キーワード 味わい・タイプ
1 白鶴 淡雪スパークリング

(白鶴酒造 / 兵庫県)

果物(リンゴ)、アルコール 発泡性、すっきり、淡い
2 多満自慢 ふわる白 純米吟醸

(石川酒造 / 東京都)

果物(バナナ)、アルコール、酢 にごり、濃い、甘味
3 亀泉 CEL-24 純米吟醸生酒

(亀泉酒造 / 高知県)

リンゴ香、華やか 甘味、酸味、フルーティー
4 霧筑波 特別純米酒 辛口

(浦里酒造店 / 茨城県)

バナナ香、米・麹、アルコール すっきり、辛口、淡い
5 多満自慢 瑞る青 純米吟醸生酒

(石川酒造 / 東京都)

りんご酸、果物、アルコール 濃い、なめらか、酸味
6 富久長 Shell Lovers 純米

(今田酒造本店 / 広島県)

くえん酸(白麹)、果物 濃い、なめらか、酸味
7 吉野杉の樽酒 吉野杉の杉樽

(長龍酒造 / 奈良県)

杉香、木・草、アルコール 濃い、なめらか、渋味
8 華鳩 貴醸酒 8年貯蔵 

(榎酒造 / 広島県)

古酒・貴醸酒、カラメル、醤油 濃い、重い、甘味、なめらか

 

日本酒の発展には欠かせない国税庁の存在について改めて学ぶことができ、官能評価についても実践的に学ぶことができました。素晴らしい経験をくださった山脇様、富高様本当にありがとうございました!

​2.一生モノの最上級のテーブルマナー / 淑女の為の国際マナー・プロトコール編

​講師:一般社団法人アジアみらい文化交流協会 会長 大谷晃様

​今回のナデシコプログラム第2部は、マナーコンサルタントの大谷昭先生より、国際舞台で求められる「品格」と「プロトコール」の真髄をご教示いただきました。

大谷昭先生の歩みと日本酒への志

​大谷先生は、一流ホテルでのホテリエとしての経験を積み、フランスをはじめとするヨーロッパ諸国でテーブルマナーやワインの研鑽を積まれました。2021年には秋勲において瑞宝単光章を受勲されるなど、国内外で高く評価されている偉大な先生です。

​先生は若い時代から、ワインを日本の日常に浸透させるための啓蒙活動に尽力されてきました。その原点は「フランスってかっこいいな」という純粋な憧れだったそうですが、フランス料理を担当する中で、文化への理解を深めるために自ら学びを広げ、活動を深めていかれたそうです。

​さらに感銘を受けたのは、海外の方を接遇する上で「自国の国酒を知らねばならない」と、日本酒の「唎酒師」資格取得・第1号になられたというエピソードです。私も先日、唎酒師の資格を取得したばかりですので、先生の「志」を継ぎ、日本酒アンバサダーとして活動していきたいと改めて感じました。

​2. 「紳士淑女」の哲学:三位一体の磨き方

​大谷先生が大切にされているのは、「品格・品性・品位」の3つが重なることで初めて「紳士淑女」になれるという教えです。

  • 品格(プロトコール):国際儀礼、外交儀礼
  • 品性(エチケット):行儀、プライベートな場での振る舞い
  • 品位(マナー):礼儀、ビジネスや社交の場での品位

​これらはどれか一つが欠けても成立しません。先生は「行儀・礼儀・辞儀」という3要素についても、以下の言葉でその深淵を説かれました。

  • 現象(行儀):見て知ることができる、表面的な振る舞い。
  • 具象(礼儀):化粧の反対で、目には見えづらい心遣い。
  • 抽象(儀礼):人間の真の部分、本質。神仏や先祖への祈りといった精神性の高い部分。

​特に「抽象」の教えは、アンバサダーとして表面的な技術だけでなく、自分自身の真の本質を磨き続けなければならないと強く心に響きました。

​食文化の歴史と実践マナー

​講義では、古代から現代に至る食の形態の変遷についても学びました。

  • 古代ローマ:寝そべっての食事
  • 古代ギリシャ:長い椅子に座っての食事
  • 中世・ルネサンス:現代の会食形式に近い縦長の机
  • 18世紀:カップル単位、個室での食事
  • 19世紀:一人ひとりにナイフ・フォーク・ナプキンが備わる現代のスタイルへ

​また、実践的な所作として「スープを飲む時はスプーンを手前に、コーヒーの時は奥に置く」「ナプキンは中座時も食後も、美しく畳んでおく」といった礼儀を学び、食や文化、そしてその場を共にする方々への感謝を形にすることの大切さを再認識しました。

​フォーマルウェアの定義

​国際的な場でのドレスコードについても詳しく学びました。主な分類を以下の表にまとめます

時間帯・格 女性の装い 男性の装い
昼:フォーマル アフタヌーンドレス モーニングコート
昼:セミフォーマル セミアフタヌーン ディレクターズスーツ
昼:インフォーマル タウンウェア ダークスーツ
夜:フォーマル イブニングドレス ホワイトタイ、タキシード
夜:セミフォーマル セミイブニング、ディナードレス ファンシータキシード、カクテルスーツ
夜:インフォーマル スーツ、ワンピース スーツスタイル

 

マナーとは、単なる形式ではなく「相手への敬意」と「自身の本質」を表現するものです。大谷先生から学んだ、ワインと日本酒を繋ぐ志、そして精神性の深いマインドセットを胸に、日本酒のアンバサダーとして凛とした淑女を目指してまいります。

​大谷先生、貴重な学びを本当にありがとうございました!

 

​3.ワイン入門(日本ワインについて)

​講師:俳優 辰巳琢郎様

​第3部は、日本ワインの普及に尽力されている俳優の辰巳琢郎様をお迎えし、日本ワインの定義からその可能性、そして日本の農業との深い関わりについてお話しいただきました。

​日本ワインの定義と「国内製造」の真実

​辰巳様は2003年より「日本ワインを愛する会」の副会長を務められ、現在は「日本のワインを愛する会」として活動を続けられています。講義の冒頭、私たちはまず言葉の定義について学びました。

  • 日本ワイン: 日本産のブドウのみを原料とし、日本国内で製造されたワイン。
  • 国産ワイン: 海外産の濃縮果汁などを輸入し、日本国内で醸造されたワイン。

​辰巳様は「国内製造」という言葉の落とし穴についても指摘されました。小麦粉などの表記と同様に、原料が海外産であっても国内で加工すれば「国内製造」と謳えてしまう現状があります。

「日本ワインは、日本の農業そのものである」というお言葉は、農家出身の私にとって、日本酒のベクトルと同じ方向を向いている大切な視点であると強く実感いたしました。

​3種の日本ワインの試飲と歴史的背景

​実際に3種類の日本ワインを試飲させていただき、その多様性と品質の高さに感動しました。

  • アルガブランカ クラレーザ 2024 勝沼醸造(白)

​甲州は 日本固有のブドウ品種。非常にすっきりと華やかで、日本酒にも通じる爽やかな味わいが印象的でした。

  1. 柏原ヴィンヤード 遅摘み 赤朝日町ワイン(赤)

新潟県上越市の川上善兵衛氏が、開国後の日本でワイン造りを根付かせるために開発した品種マスカット・ベーリーAを使用した1本です。歴史の重みを感じる芳醇な味わいでした。

  1. 今様 岩手くずまきワイン(ロゼ・スパークリング)

 東日本大震災の復興支援として辰巳様がサポートされている、岩手県産のワインです。甘みとキレのバランスが絶妙で、食中酒としての高い可能性を感じました。

​日本酒・日本ワインに共通するアンバサダーとしての意識

​質疑応答の時間、私は「稲作が伝わる弥生時代より前、縄文時代には山葡萄を潰して飲んでいたという推察があり、実は日本最古の国酒はワイン(山葡萄酒)ではないか」という仮説に基づき、日本の農業とお酒をPRする際の大切なポイントを質問いたしました。

​辰巳様からは以下の回答をいただきました。

「日本の安心・安全な食から生まれるお酒であること、そのストーリーをはっきりと伝えることが重要である」

​このお言葉は、私の「日本の農家さんを助けたい」という原動力と合致するものでした。日本酒も日本ワインも、ルーツを辿れば日本の土地と農家さんに繋がっています。

​今回の講義を通じ、日本酒のアンバサダーとして、同じ志を持つ「日本ワイン」についても理解を深めることができました。

「日本の食と農」の素晴らしさを、安心・安全という確かな信頼と、心を動かすストーリーに乗せて発信していく。その決意を新たにいたしました。

​辰巳様、心に響くご講義をありがとうございました。

​結びに

​今回の3つの講義を通じ、私が最も強く感じたのは「ストーリーを語り、文化を繋ぐことの重み」です。

​「国税の歴史から学ぶ日本酒の重要性」、「マナーを通じて自分自身の本質(抽象)を磨く精神性」、そして「日本の農業そのものである日本ワインの志」。一見異なる分野のように思えますが、その根底には、日本の豊かな食文化を守り、次世代や世界へと正しく伝えていきたいという共通の情熱があるように感じました。

​私も先日、唎酒師の資格を取得したばかりです。農業をルーツに持つMiss SAKEメンバーとして、単に知識を伝えるだけでなく、農家の方々の想いや、安心・安全な食の背景にある「目に見えない本質的な価値(ストーリー)」を世界に届けていきたいと思います。今回ご登壇いただいた皆様並びにこの場を用意してくださったMiss SAKE事務局の皆様、そして会場をお貸しくださった石川酒造関係者様、本当にありがとうございました!

2026 Miss SAKE 飯田千有里

Through these three lectures, what resonated with me most was the profound significance of “storytelling and bridging cultures.”

​Whether it was understanding the importance of sake through the lens of national tax history, refining one’s essence (the “abstract”) through manners, or recognizing the spirit of Japanese wine as an embodiment of domestic agriculture—these seemingly different fields share a common passion: protecting Japan’s rich food culture and accurately passing it on to the next generation and the world.

​Having recently earned my Sake Sommelier (Kikisakeshi) certification, and as the Miss SAKE Akita representative with roots in a farming family, I am more determined than ever. My mission is not only to share knowledge but to deliver the heartfelt stories of farmers and the “invisible, essential values” behind safe and secure Japanese food to the global stage. I would like to express my deepest gratitude to the three speakers, the Miss SAKE Secretariat for organizing this opportunity, and everyone at Ishikawa Brewery for hosting us. Thank you very much!

​2026 Miss SAKE Akita Chiari Iida

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