Miss SAKE News/Blog

〜第7回ナデシコプログラムレポート〜日本文化の担い手として-“学ぶ”の先の“伝える”- 2025 Miss SAKE 福岡 松口理子

皆さま、こんにちは!

2025 Miss SAKE 福岡 松口理子です。

4月12日(土)に、第7回ナデシコプログラムが開催されました。

今回も石川酒造様を会場としてお借りし、日本文化の美しさや日本酒を軸とした地方創生の在り方、さらには学問としての日本酒の可能性について深く学ぶ時間となりました。

↑いつもお世話になっている酒坊多満自慢様にて。この日は振袖でナデシコプログラムに挑みました。

この日は下記の3つの講義を受講いたしました。

① 日本舞踊体験稽古 講師:藤間流勘右衛門派 藤間美都也様

② SAKEから観光立国へ 〜日本の国際化は地方のブランド化へ〜 講師:株式会社コーポ・サチ 代表取締役 平出淑恵様

③ 日本酒学(Sakeology)」の挑戦 ~Sakeの世界的な研究・教育拠点を目指して~ 新潟大学日本酒学センター副センター長 / 経済科学部 准教授 岸保行様

目指すべき“大和撫子”像を知る

最初の講義では、日本舞踊の体験稽古をさせていただきました。藤間流勘右衛門派の藤間美都也先生にお越しいただき、伝統的な舞の所作の基礎を一から学ぶ贅沢なひとときでした。

お稽古ではまず、「教えていただく」という謙虚な姿勢を忘れずに臨むこと、そして教わったことを継続することの大切さをお話いただきました。

また、次のお言葉が大変印象に残りました。

「“自分を見て”という意識ではなく、一つ一つの所作に想いを込める。そして、そのあとの受け取り方は見る人に委ねる。」

これは私が長年学んできたピアノの演奏にも通じるもので、身の引き締まる想いでした。

芸事の世界に共通する美しさと奥ゆかしさを改めて実感いたしましたし、決して独りよがりになってはいけないという、芸術に携わる人間としての指針を与えていただいたように感じます。

実際のお稽古では、日本舞踊の基礎となる歩き方や振袖の魅せ方を教えていただきました。

どの動きにも共通して重要なのが体幹

腰の重心をしっかりと真下に据え体幹をぶれさせないことで、動きに落ち着きが生まれ、振袖に見合う上品な印象を演出することができます。

基本の姿勢を学んだあとは、「さくらさくら」の振り付けを皆で覚える時間です。

舞の一つひとつの動きには、自然の風景やそれを慈しむ感情が込められており、ただの“動き”ではないことを身をもって感じました。

桜の花びらが舞う様子を表現する手の動きや、着物を美しく魅せるための体幹の使い方。いずれも外見を整えるだけで生み出せるものではなく、心のあり方の美しさや余裕が所作に滲み出るのだと学びました。

講義の最後には、先生が演奏してくださる雅な三味線の音色に合わせて、青空の下で「さくらさくら」を披露させていただきました。

ちょうどお昼時の酒造には一般のお客様もいらしておりましたので、日本舞踊での初本番となりました。お客様の前に立った瞬間、「日本文化を担う存在である」という自覚が一気に芽生えました。

今までは“学ぶ側”という意識のほうが強かったように感じますが、“伝える側”として人前に立つことは、日本人として誇らしい想いでした。それと同時に、大きな責任感も芽生えた貴重な時間でございました。

また、講義の合間には先生が「松の緑」という曲を舞ってくださいました。松の枝には子孫繁栄の願いが込められており、お祝いの場で舞うことが多いという格調高い演目です。

先生のしなやかな足捌きと繊細な所作、そして決してぶれない体幹と凛とした眼差しは、私たちが目指すべき“大和撫子”の姿そのものでございました。

日本文化を体現する喜びと責任、そして大和撫子としての美しさを実体験として学ばせていただき、大変充実した時間でした。

自宅で早速振付を復習し、より美しい舞、そして美しい大和撫子を目指してまいります。

一杯のお猪口から広がる無限の可能性

続いては、株式会社コーポ・サチ 代表取締役 平出淑恵様にお越しいただき、日本酒を通じた地方創生についてご教授いただきました。

かつてはJALの国際線CAとして世界中を飛び回っていらした平出様。各国を回る中で、その土地ならではのお酒の美味しさに目覚められ、ソムリエやビアジャッジ、唎酒師の資格を取得されるなど、そのお姿はまさに「空飛ぶソムリエ」という言葉がぴったりな方です。

海外で様々な価値観を学ばれたからこそ、日本の少子化や地方の過疎化には特に危機感を覚えられたという平出様。そんな折に、偶然訪れた酒蔵で搾りたての大吟醸を口にされ、

「このお猪口の中に“日本”が詰まっている。

日本酒には可能性がある!」

と感じられたそうです。日本酒が単なる嗜好品ではなく、日本の文化・歴史・風土すべてを凝縮した存在であるという深い感動が、ご自身の日本酒に対する使命感の出発点となったというお話は大変印象的でした。

平出様は、ワインの世界で行われている

Education(教育)

Competition(コンクール)

Promotion(振興)

という三つの柱を日本酒にも取り入れるべきと考え、その実現に尽力されてきました。

世界で最も権威のある大会 IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)にSAKE部門を創設し、日本酒の価値を世界基準で評価する仕組みを築かれたこと、またその成功が鹿島酒蔵ツーリズムや国酒プロジェクトへとつながったというお話は、スケールが大きすぎて驚くことばかりでした。同時に、平出様の行動力、そしてその場で出会った方とご縁を繋ぐお力に大変感銘を受けました。

とりわけ印象的だったのは、IWCで福島県の日本酒が評価された年のこと。風評被害を乗り越え、ブラインド審査で実力が認められたというエピソードに胸が熱くなりました。「安心・安全のその先にあるのは、“とにかく良いものをつくる”こと」-その信念こそが、日本酒を世界に通用するブランドへと育てているのだと感じました。

⇩講義内で拝見した動画に大変感動いたしました。皆様にもぜひご覧いただきたいです。

https://youtu.be/HApwp1P16Lg?si=F-XJQ-3hfAGDTYn2 

海外を飛び回る中でワイナリーがある土地は“訪れたくなる場所”になるという気付きに至られたという平出様。それは日本酒でも同じで、日本酒を語るということは、その土地を語ることにも繋がります。出身地の酒蔵や農家の皆様の存在を心から誇りに思い、その想いを伝えることが、結果として観光や地方創生につながっていくのです。

「日本酒を世界に届けるには、まずは“文化を纏った姿”で見せることが大切」と仰った平出様。お酒そのものだけではなく、そのお酒が生まれた土地の食文化、装い、酒器、人柄…私たちMiss SAKEがその伝道師となるよう、個々が持つテリトリーの中で、日本酒の価値を最大限に届けていきたいと強く思いました。

平出様のような行動力と信念を持って、一杯のお猪口の感動を、世界中に広められる存在を目指してまいります。

日本酒という学問

この日の最後の講義では、新潟大学の岸保行先生より「Sakeology(日本酒学)」という新たな学問領域についてご紹介いただきました。

「日本酒学」とは…

広範な学問を網羅する「対象限定、領域横断型」で日本文化や伝統に根差した日本酒に対象を絞った世界初の学問領域のこと

対象を“日本酒”に限定しながらも、その造り手だけではなく届け手、飲み手、そしてその周囲にある文化や社会までも包括して捉えており、非常に広範な領域を含んでいます。

従来の醸造学や発酵学だけに閉じない学問を目指しておられるとのことで、より幅広い業種の方の日本酒との関わりを知ることができるのではないかと、大変興味が湧きました。

新潟大学では、このSakelogyの理念に基づき、日本酒学センターを設立。日本酒が消費者の手に届くまでのすべての過程を対象とする授業が展開されていたり、ワイン学を扱う海外の大学(ボルドー大学、カリフォルニア大学デービス校)との交流にも取り組み、まさに“世界とつながる学問”として進化し続けています。

講義の中では、「地方創生」への応用可能性についても言及がありました。Sakeologyが単なる研究で終わるのではなく、農業的・工業的・文化的要素を統合し、“物語性”を持つ体験型文化資源となることで、新たな産業創出の起点になっているというお話は非常に印象的でした。

この循環が上手くいけば、地域特化型の観光戦略である「キラーコンテンツ型」としても成功していく可能性が大いにあります。

キラーコンテンツ型の例: 福井の恐竜博物館、長野の天空の楽園

入口は狭くても、濃密で奥深い体験を提供することで国内外からの観光客の満足度を高め、経済的にも持続可能なモデルを築くという考え方に、日本酒と地域との関係性の可能性を強く感じました。

また、日本酒の国際展開に向けたアプローチとして、様々な取り組みをご紹介していただきましたので、まとめてお伝えいたします。

【原料からの物語性】契約・自家栽培によるテロワールの演出、酒米のブランド化

【製品設計の工夫】熟成酒・スパークリング酒の開発、ヴィンテージ表記

【伝統製法の価値】山廃仕込み、木桶仕込みなどの文化体験としての位置づけ

【販売方法の変化】流通の短縮、酒蔵ツーリズムとの連動、訪日外国人への直販強化

【価格戦略の再設計】原価ではなく“文化的価値”や“ストーリー性”で価格を決定

これらの取り組みに一貫しているのは、日本酒は物語のある文化財であるという確信だと感じます。

岸先生は、日本酒を取り巻く社会が“工業モデル”から“農業モデル”へと移行していると語られましたが、その言葉の通り、これからは「どのように作られているか」だけでなく、「なぜ美味しいのか、なぜ心が動くのか」を語る力がますます求められていくのだと感じました。

Miss SAKEとして活動する中でも、この「意味を伝える力」は欠かせない軸になるはずです。

日本酒に込められたストーリーや歴史、地域の個性を丁寧に言葉にして届けていけるよう、私自身も日本酒のストーリーを語れるよう、アンバサダーとしての在り方を磨いていきたいと感じた講義でした。

鍋&SAKE 〜塩麹ちゃんこ鍋〜

この日の最後を締めくくるのは、Miss SAKE 恒例の鍋&SAKEの時間。

今回のお鍋は、第6回ナデシコプログラムにて自分たちで作った塩麹を使ったちゃんこ鍋!

 

塩麹の優しい塩味と柔らかくほのかなお米の香りは、疲れた身体にもスッと染み渡る美味しさでした。

新潟から長野までのファイナリストがプレゼンをしてくれた日本酒にもそれぞれのストーリーがあり、身も心もあたたまる時間でございました。

 

 

この日の講義では、いずれも“日本文化の継承者”としてのあり方を考えるきっかけとなるような時間を過ごすことができました。

日本文化を“学ぶ”という姿勢も大切にしつつ、この先どのように“伝える”のかをしっかりと見据え、広い視点を持って活動してまいります。

お世話になりました先生方、本当にありがとうございました。

2025 Miss SAKE 福岡 松口理子

 

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