皆さん、こんにちは。2025 Miss SAKE Japan 館農知里です。
2月24日(火) 、Nén Tokyo(東京都渋谷区)を訪問し、レストラン施設内を見学させていただいたほか、食のストーリーを込めた特別なペアリングディナーをいただきました。
Nén Tokyoについて
Nén Tokyoは、ベトナム中部・ダナンで誕生したモダンベトナムレストラン「Nén」の海外初となる旗艦店として、東京・代官山にオープンしたレストランです。“Consciously Vietnamese(意識的にベトナムらしく)”という哲学のもと、伝統と革新が出会う場からベトナム料理と文化を世界へ発信する新たな拠点を目指しています。エグゼクティブシェフのSummer Le(サマー・レ)氏は、ベトナム料理とその文化に対する深い知識に裏打ちされ、味わいのみならず物語性や社会的背景までを含めて“体験”として届ける料理スタイルで国内外から高い評価を受けています。Nén Tokyoでは、ベトナムの自然や風土、文化的背景を感じさせることを核に、文化・自然・想いを一皿一皿に込めたコースを通じて五感で味わう食体験を提供。すべての料理は“ストーリー”をベースに構成され、ベトナムの自然や文化にインスパイアされたテーマのもと、日本の食材や東京という都市の文脈を取り入れながら、新たなベトナム・ガストロノミーの魅力を表現しています。
店名|Nén Tokyo(ネン トウキョウ)
所在地|東京都渋谷区代官山町14-18 4F
HP|http://nentokyo.jp/
哲学とストーリーの息づく芸術
今回は、エグゼクティブシェフの Summer Le(サマー・レ)氏より、まずNén Tokyoにおける5つの哲学についてご紹介いただきました。
それは「起源(Origin)」「感情(Emotion)」「存在(Presence)」「美意識(Aesthetics)」「意図(Intention)」という思想です。食事をいただく空間において、食事の前に料理の背景となる哲学を学ぶ体験は初めてであり、これから始まるコースへの期待が一層高まりました。
続くコースでは、それぞれの料理に題名が付けられ、シェフ自身の記憶や思考、文化的背景が一つひとつの物語として表現されていました。また、各料理には日本酒を中心としたペアリングが用意され、味覚のみならず香りや温度、空間までも含めた五感のマリアージュを体験することができました。
単に「味わう」だけではなく、料理に込められた思想やストーリーに思いを巡らせながら楽しむ、まさに五感と感性で味わう未体験のガストロノミー体験でした。
今回、ペアリングコースとしていただいたメニューは以下の通りです。
ベトナムの物語 ― ウィンターエディション
・酸味の竹の子・アサリ
・はじまりの一さじ:フォーのすべて
・川・山・海・空:ホタテ・田んぼガニ
・木の記憶:K’niaシード・塩漬けの鶏肉
・紙:マラバルほうれん草・うなぎ・パテ・黒紫米
・バランス:ガックフルーツ・カニステル・ベトナム風ペスト
・バインミー:Nén・グーズベリー
・炭火と香り:Bo Kho・蓮の実
・海に沈む夕日:炒り米・樹液
・雨のあと:ロンガンはちみつ・桑の実
当日は、CEOの Peter Ta Phuong(ピーター・タ・フオン)氏、そしてユニークなダイニング体験設計を統括するLeon(レオン)氏にもご同席いただき、ベトナムにおける食文化や Nén Tokyo のこれまでの歩みについてお話を伺いながらコースを堪能いたしました。
まるでベトナムを旅しているかのように、現地の日常や風土を美しい映画のワンシーンとして体験しているような時間の連続でした。食材そのものと向き合いながら、その背景にある自然や文化、作り手の想いに思いを馳せる——これまでにない食体験に深い感動を覚えました。また、ヘルシーかつ旨味豊かなベトナム料理と日本酒とのペアリングが生み出す新たな魅力、そして今後さらに広がっていく可能性についても強く実感する機会となりました。
乾杯で広がる新たな出会い
ベトナムには、同じ空間に居合わせた人々との偶然の「出会い」に感謝を込め、テーブルを越えて乾杯を交わす文化があるそうです。食事の時間を単なる食事にとどめず、人と人との縁を結び、交流を深める大切なひとときとして共有する—その温かい価値観は、ベトナムの食文化を象徴するものの一つです。
今回のディナーでは、偶然にもベトナム社会主義共和国 駐日特命全権大使である Phạm Quang Hiệu(ファム・クアン・ヒエウ)氏ご夫妻も来店されており、ご挨拶をさせていただく貴重な機会に恵まれました。日本とベトナムという異なる背景を持つ者同士が、日本酒で杯を交わしながら言葉を交わす時間は、まさに国境を越えた文化交流そのものでした。
日本酒での乾杯を通して自然と会話が生まれ、新たなご縁が広がっていく—その瞬間に立ち会いながら、ベトナム流の人と人とのつながりを大切にする交流文化の素晴らしさを実感いたしました。食と酒が媒介となり、初対面であっても心の距離が縮まっていく体験は、SAKEが持つ国際交流の可能性を改めて感じさせてくれるものでした。
今回の Nén Tokyo 訪問を通して、食とは単に味覚を満たすものではなく、文化や歴史、人々の価値観までもを伝える「言語」であることを改めて実感いたしました。料理に込められた哲学や物語、そしてそれを共有する空間や人との出会いが重なり合うことで、一皿一皿が文化交流の場として機能していることに深い感銘を受けました。特に、ベトナム料理と日本酒という、一見異なる文化背景を持つ組み合わせでありながら、互いの繊細な香りや旨味が響き合い、新たな魅力を生み出していたことも印象的でした。日本酒が世界の多様な食文化と共鳴し得る存在であることを実体験として感じる貴重な機会となりました。
Miss SAKEとして、日本酒文化を発信していく中で、日本酒そのものだけでなく、それを取り巻く食文化や人々の精神性、そして「共に味わい、語り合う時間」の価値を伝えていくことの重要性を改めて認識いたしました。今回の体験で得た学びと感動を胸に、日本酒が世界各国の食文化と結びつきながら新たな物語を紡いでいけるよう、今後も国内外へ丁寧に発信してまいりたいと思います。
2025 Miss SAKE Japan 館農知里
































