皆様、こんにちは。
2024 Miss SAKE鳥取 林原有香です。
今回は鳥取県の酒蔵様、太田酒造場様(辨天娘)のご紹介をさせていただきます。
自然と文化に寄り添う酒造りの魅力
鳥取県東部、若桜町の旧街道沿いに位置する「太田酒造場」を訪れ、5代目社長・太田章太郎様の案内のもと、その歴史ある酒造りの現場を見学させていただきました。
創業1909年(明治42年)、若桜町の豊かな自然環境と伝統を背景に、地域密着型の酒造りを続けています。その中で、「辨天娘(べんてんむすめ)」という銘柄の純米酒を中心に、昔ながらの槽絞りで、品質を最優先とした日本酒を生み出されています。
地元と共に歩む酒造り
太田酒造場様の酒造りの特徴は、使用する原料米に地元の契約栽培と自社栽培のみを用いるという徹底したこだわりにあります。また、酒米を「生産者」「品種」ごとに分け、ブレンドを一切行わず、それぞれの個性をそのまま届けるスタイルが採られています。この方法は、米の生産者や地域の風土に強く向き合う姿勢を反映しており、原料米への誠実さが酒造りの根幹を成しています。
使用される酒米は、「強力」「山田錦」「玉栄」「五百万石」「鳥姫」など多岐にわたります。これらの酒米は仕込み順に「〜番娘」と名付けられ、それぞれの生産者名をラベルに記載して出荷されます。
飲まれる際はぜひラベルをご覧いただき、その酒米の背景を想像しながら味わっていただきたいと思います。
お燗酒で楽しむ辨天娘
太田酒造場様が造る日本酒は、特に「燗して尚良く」なる純米食中酒として知られています。燗をすることでお米の旨みや甘みが引き立つため、「温かいお米を食べるように楽しんでほしい」という想いがあります。
2023年9月には、東京で開催された「若手の夜明け」において燗酒を提供され、非常に高い評価を受けられました。
このような取り組みは、若い世代に日本酒の魅力を伝えたいという想いの表れでもあります。
私もこちらのイベントに参加させていただきましたが、都内でも辨天娘ファンが既にいらっしゃりブースサポートをされていたのが印象的でした。
挑戦と復活の歴史
太田酒造場様には、一時期酒造りを中断していた過去があります。杜氏の高齢化、後継者不足により、10年間酒造りを他の蔵に委託していましたが、「自分の蔵で酒を造りたい」という想いから、鳥取県出身の著名な日本酒技術者・上原浩氏に学び、酒造りを再開されました。地元産の原料を使い、蔵の伝統を引き継ぐ形で再出発を果たしました。
現在の蔵内は、歴史ある建物を維持しながら、なんと自家製の柿渋でピカピカに保たれていました。この美しい空間から、酒造りへの誠実さと職人魂が感じられました。
地域文化を次世代へ
太田酒造場様では、日本酒を通じて地域の米や麹の文化を次世代に伝えることを蔵元の使命と考えています。
実はなかなかお目にかかれない「青ラベル」という特別なお酒も造られていますが、これだけはお米がブレンドされています。
このお酒は生産者、酒米ごとにタンクを分ける中で少量ずつ余ってしまった米、選別から外れた端米を無駄にしないためで、基本的にはこの青ラベル酒をつくることで、仕入れた酒米を全て無駄にすることなく酒造りに使用されます。選外米もあるため通常の純米酒にはならないものの、手間を惜しまず丁寧に仕込むことで、資源を無駄にせず、異なる酒米のハーモニーによる魅力を最大限に活かしています。こうした工夫により、環境にも配慮した酒造りを実践されています。上記ストーリーに感銘を受け、珍しい青ラベルを探される方もいらっしゃるようです。
お伺いさせていただいた太田様は、穏やかな笑顔の中に宿る、真摯な酒造りへの情熱が大変印象的でした。
地域の自然と文化を大切にしながら、日本酒の魅力をより多くの人に届けようとする姿勢が随所に感じられました。
太田酒造場様の日本酒「辨天娘」は、米と水、そして地域の人々の想いが込められた一杯です。ぜひ、お燗でその深い旨味を楽しんでみてください。
お忙しい中お時間いただきました太田様に感謝申し上げます。ありがとうございました。
太田酒造場様 HP https://www.bentenmusume.com
▼お知らせ:太田酒造場様の辨天娘を飲んでみたい方、辨天娘ファンの方へ
鳥取地酒列車 1/11(土)
https://yazukanko.jp/eventcalender/jizakeressya/
大阪モノレールの日本酒列車 鳥取かーにバル号 1/25(土)
https://www.osaka-monorail.co.jp/info/detail/587
2024 Miss SAKE鳥取
林原有香