皆様、こんにちは。
2025 Miss SAKE 岐阜 中村由希です。
初夏を感じる風が吹き抜け始めた5月18日(日)、第16回ナデシコプログラムに参加いたしましたのでご報告させていただきます。
講義内容
・巫女体験2〜(講師:日本文化伝承協会 代表理事 宮澤伸幸様、水野奈月様)
・国税庁・鑑定官の仕事と日本酒のサイエンス (講師:酒類国際技術情報分析官 江村隆幸様、国税庁課税部鑑定企画官付 審査係 平良康蔵様)
口噛み酒から始まったとされる日本酒とは切っても切れぬご縁のある神道文化、そして日本酒を学ぶ際には必ず知っておかねばならない「酒税」を司る国税庁。
一見日本酒から離れているようにも見える二つの講義ですが、日本酒文化をより深く知るための学び多き1日となりました。
巫女体験2〜(講師:日本文化伝承協会 代表理事 宮澤伸幸様、水野奈月様)
第9回ナデシコプログラムでも神道と巫女舞を学ばせていただきましたが、今回はより巫女舞にフォーカスした体験をさせていただきました。
前回の巫女体験の授業にて神道について、神道は経典がなく、教祖もなく、信者の括りも曖昧である、と宮澤様よりご教授いただきました。「教祖がなく、経典がない神道とは、世界から見るとどんな存在なのだろう」という問いと向きあってまいりましたが、改めてこの日の講義を受け、神道とは生きることであり、美意識であるのではないかと私は感じました。
万物を敬い、尊重し、そして自然や世界と共に歩んでいく神道ですが、特に大切にしてる3つのことがあるそうです。
一つ目は、「祖先」
祖先がこれまでの歴史を繋いできてくれたことで、今の私たちが存在しています。
二つ目は、「自然」
全ての物事は自然があってこそ。太古から山の恵みが全てを潤し、里に恵みをもたらしてきました。日本に残る山岳信仰は、神道の考え方があってこそなのかもしれません。
そして最後は、「自分自身」
経典がない神道においての精神性、美意識は、「浄明正直」と「中今の精神」。
清らかに明るく楽しく素直であり続け、そして過去や未来にとらわれず、今この瞬間を一生懸命生きること。今を本気で愛することは、過去と未来を愛することに繋がります。今を一生懸命生きるとは、自分なりの美しいと思った道を追求し続けることであり、まさに神道の美意識そのもののように感じられます。
そして座学の後は、いよいよ巫女舞に。大阪万博でもご披露なさるという「永久の舞」を、水野奈月様よりご教授いただきました。
結界にもなるとされる巫女装束に着替えると、自然と背筋が伸びる思いです。ファイナリスト全員が装束を纏い、舞う姿は圧巻でございました。
巫女は天と大地をつなぐ役割を持つ存在。
ゆったりとした動きで進められる巫女舞ですが、頭からつま先まで力が抜けないように気をつけていないと、あっという間にバランスを崩してしまいます。この身体に力を保った動きがあるからこそ、その役目となるのかもしれません。
水野様より手先を揃えないとエネルギーが逃げてしまう、とご教示いただき、神道の細部まで美しい所作にこだわる美学は、こういったところから由来しているのかもしれない、と、神道の奥深さを感じました。
前回の講義でも宮澤様が「歳をかさねるたびに美しくなる」とお話くださいましたが、この考え方は、この日教えていただいた3つのことを大切にする神道の考え方なのだと、改めて気が付かされました。
過去に感謝し、今を一生懸命生き、そして自然や他者を敬い感謝することで積み重ねた内面の美しさは、何にも変えられないということなのだと思います。
私にとっての生き方の美学は、人に感謝し、人と助け合うこと。損得ではなく、他者と共に尊重しあうことを、常に自分の行動の基準に据えています。この考え方を貫いた先の10年後、20年後。「歳をかさねるたびに美しくなる」という神道のお言葉のように、私自身が私が思い描く美しい女性になれていたら嬉しいです。
国税庁・鑑定官の仕事と日本酒のサイエンス(講師:酒類国際技術情報分析官 江村隆幸様、国税庁課税部鑑定企画官付 審査係 平良康蔵様)
ナデシコプログラムを通じて日本酒についての学びを深めてまいりましたが、「サイエンス」という新しい切り口で日本酒と向き合うことができるということで、ワクワクとした気持ちで出席させていただいたこの講習。大変深い学びとなりました。
授業が始まる前にテーブルの上にセッティングされたのは、利き酒セット。
国税庁の方の講義なのにどうして利き酒なのだろうと不思議に思いましたが、その答えは江村様のお仕事にありました。
税収を司る国税庁では、お酒の課税判断をするために科学的な分析や鑑定をし、生産から消費までのステップにおける品質や安全を管理。また、日本酒業界の発展や技術向上、販売の促進などの支援をする、お酒のスペシャリストとして鑑定官がいらっしゃるそうです。
その業務内容は多岐に渡りますが、江村様は酒類総合研究所でお酒のリーフレット作りや、海外向けのプロモーション動画などの作成にも携わっていたとのことでした。酒造の方々と密にやりとりをして製造を支えるのみならず、販売促進まで手掛けるのはまさにお酒のプロフェッショナルの一つの形。素晴らしい日本酒作りの裏には、様々な方の支えがあるのだと大きな気付きとなりました。
まずはじめは、フレーバーホイールと香りのサンプルを使いながら、日本酒に関する様々な香りを表す用語と実際の香りを学ぶ実習。一口に「果実の香り」と言っても、りんごやバナナ、メロンなど様々。その違いを科学的な物質で学び、実際にかぎ分けをさせていただきました。
日本酒を飲む際に感じる香りを科学的に解析できるというのは大変興味深く、一つ一つのサンプルの香りを嗅ぎながら、ファイナリスト同士でディスカッションが行われました。
私が一番印象深かったのは「カプロン酸エチル」です。日本酒を飲む際に感じていた吟醸香が、こちらのサンプルから感じ取れました。細かく分析していくと、香りを構成しているものは科学に辿り着くのだと思うと、日本酒の製造過程についてもより興味が深まりました。
日本酒に関する香りを学んだ後は、実際の日本酒をいただきながらの実習。
・白鶴 淡雪スパークリング(兵庫 白鶴酒造)
・多満自慢 ふわる白 純米吟醸(東京 石川酒造)
・亀泉 CEL-24 純米吟醸生酒(高知 亀泉酒造)
・霧筑波 極別純米酒 辛口(茨城 浦里酒造)
・多満自慢 瑞る青 純米吟醸生酒(東京 石川酒造)
・富久長 Shell Lovers 純米(広島 今田酒造本店)
・吉野杉の樽酒 吉野杉の杉樽(奈良 長龍酒造)
・華鳩 貴醸酒 8年貯蔵(広島 榎酒造)
8種類にて利き酒体験をさせていただきました。
香りについての表現を学んだ後に実際にいただくと、これまでよりもよりはっきりと風味を感じることができたように思います。特に、りんご香がする「亀泉」とバナナ香がする「霧筑波」の飲み比べが顕著で、同じフルーツの香りでも大きな違いがあることを感じられました。
また、りんご香の「亀泉」と、りんご酸を使用した「多満自慢 瑞る青」は同じりんごの香りでも、かなり違った風味だと気がつくことができました。この日ナデシコプログラムにお越しくださっていた南さんとも違いについてお話しさせていただいたのですが、同じりんごでも若いりんごや熟したりんごなど違いがあるのだな、と普段は見逃してしまうようなことにも注目することができ、日本酒をいただく際の楽しみがまた一つ増えたように思います。
これまでは「フルーツの香りのような気がする」「ナッツのような香りがする気がする」という大まかな括りでの香りの楽しみ方でしたが、Miss SAKEとしての活動でも自信を持って皆様にお酒をおすすめしていけるようにさらに学びを深めてまいりたいと思います。
長いように思えたナデシコプログラムも、今回で16回目を迎えました。
出席するまでは「どうしてこの講義が日本酒のアンバサダーになる私たちに必要なのだろう?」と思うこともありましたが、実際に学んでみますと、どの講義も全てMiss SAKEの活動や、日本酒に深く関わるものばかり。
様々な角度からに向き合ったことで、改めて日本酒や日本文化の素晴らしさや面白さを知ることができたように感じています。
これからも表面的な繋がりにばかり囚われるのではなく、広い視野を持って学びを深めていくことで、Miss SAKE として日本酒文化の輸出や発展に微力ながら貢献できるよう努めてまいります。
2025 Miss SAKE 岐阜 中村由希