Miss SAKE News/Blog

第18回ナデシコプログラムレポート【〜石川合宿2〜】2025 Miss SAKE 静岡 永田しおり

皆様こんにちは、2025 Miss SAKE 静岡 永田しおりです。

この度、石川県に1泊2日でのナデシコプログラムに参加してまいりました。

こちらでは2日目の第18回についてご報告申し上げます。

プログラムは以下の通りです。

お米講座/株式会社林産業代表取締役社長 林 浩陽様

茄子農家の見学/きよし農園 多田礼奈様

金沢キッチン様にてランチ/丸山 順子様

石川県立伝統産業工芸館訪問/本田様


2日間北陸農政局 経営・事業支援部 食品企業課 課長 福田智之 様 にもご同行頂きました。ナデシコプログラム金沢出張の2日目は、石川県の豊かな自然の恵みと、歴史に培われた伝統工芸、そして地域を支える生産者や企業の皆様との出会いにより、「日本文化の根源」を五感で感じる一日となりました。Miss SAKEとして、日本酒を中心とした食文化の発信と継承に携わる私にとって、こうした経験はその背景にある「人」や「土地」、「想い」に触れる貴重な機会となりました。


-株式会社 林産業 代表取締役社長 林 浩陽 様による講演

「お米」という日本文化の根幹を未来につなぐために、石川県野々市市にある農業法人「林農産」の代表取締役 林 浩陽社長は、食と命の大切さを20年以上にわたり次世代に伝え続けてきた、日本を代表する農業人のお一人です。
林社長は1992年に、農業経営へのパソコン導入や線形計画法の応用など、革新的な経営手法が評価されて「天皇杯」を受賞されております。現在では、石川県内の幼稚園や小学校での稲作体験をはじめ、県外にも出向いて次世代に農業を繋ぐ授業を実施されておられます。

写真で着用されている黄色いつなぎには、子供達からの寄せ書きが書かれており、どれほど愛される存在なのかがわかります。社長から伝わるエネルギーは年代をも超えるものだと感じました。

講演ではまず、お米の歴史やお米が採れるまでを学びました。
改めて考えてみると成り立ちはすぐに言葉に出てこないもので・・日本酒の源となるお米のこともしっかりと語れるMiss SAKEであらねばと改めて感じました。

白米ができるまでの工程はこのような形です。

稲 → 穂 → 籾 → 玄米 → 白米(精米)  

         ↘ 藁(茎)   ↘ 糠(精米時に出る)

お米は、まず田んぼで「稲」として育ちます。稲の上部には「穂」ができ、その穂には「籾(もみ)」と呼ばれる殻付きの米粒が実ります。籾から殻を取り除くと「玄米」になり、これはぬか層や胚芽を含んだ栄養豊富なお米です。さらに玄米を精米してぬかを削り取ることで、私たちが日常的に食べている「白米」ができます。ちなみに、脱穀後に残る茎は「藁(わら)」と呼ばれます。

お米の歴史

お米は約2500~3000年前から日本人が食べてきた大切な作物であり、白米を一般的に食べるようになったのは戦後のごく最近であるというお話がありました。
江戸時代では白米の影響でカッケ患いが流行しましたが、現在はそれ以外にも栄養素がたくさん摂れるために栄養不足にはなりませんが、それほどにも玄米とは完全食であることがわかります。
また日本は敷地が狭い中でも、雨が多い気候・豊かな水に恵まれた国であることから、何千年も同じ場所で繰り返し農作をできる米づくりには適していました。
一粒の苗から摂れる量も、大豆や小麦に比べると、5倍以上の量にもなるのだそうです。

また、田植え体験では「1本目は鳥さんの分、2本目は虫さんの分、3本目はみんなの分」という“いのちの呪文”を共に唱えながら植えるそうです。これは、自然との共生、命の循環、そして他者との分かち合いの精神を、実体験を通して学ぶことのできる素晴らしい取り組みだと感じました。
そんな林様が、積極的にYouTubeでの発信や多岐にわたる取り組みをされる中で、結果として伝えたいのは、「田畑にゴミを捨てない人を増やす」ことを伝えたいというお言葉が印象的でした。派手なことや大きなことではなく、このような愛の溢れる発言ができるのは、心から本当に米農家としての誇りと未来を見据えているからこそだと感じます。

こうして、高品質なお米を作るための土壌づくりや、持続可能な農業への取り組みは、日本酒の原料としての「米」に深く通じる部分です。Miss SAKEとして、日本酒とお米の関係性やこうした生産者の方々の取り組みにも注目し、より多くの方に伝えていきたいと感じました。

-きよし農園 多田 礼奈様の茄子農園見学

23歳という若さで農家となり、亡き祖父の農園を引き継いだ多田様。訪問した「きよし農園」では、金沢の伝統野菜の一つである“ヘタムラサキナス”を中心に、こだわりの土づくりと低農薬による栽培が行われています。この茄子はむっちり、トロっとした果肉が特徴です。実際に畑内にも足を踏み入れさせて頂きましたが、実際にまだ小さな実の茄子をみることで、日々大切に育てられ、一つの商品として出荷されるまでの苦労が伝わり、こうした生産者様の努力があって私は日々食事をすることができているのだと感じ、命を頂くことの尊さを感じました。

農業の世界は決して甘いものではなく、「試練の連続だった」と語られましたが、それでも「農業を通じて地域の食を支えたい」「美味しい野菜を届けたい」、そして、お客様の「美味しい!」という言葉がどんな時も支えになってきたとお話されました。
また、それだけではなく、「儲かる農業」を目指し、持続可能な経営を志す姿勢はとても力強く、農業が抱える課題にも真摯に向き合っておられました。

農園の近くに立ち上げた店舗では、採れたての野菜や手作り加工品が販売され、農業の魅力に触れられる入り口として、地域の人々が足を運ぶ場となっています。
使われていなかった土地を再生し、農業体験なども取り入れることで、地域に活力をもたらす、こうした循環をつくることで、若者や都市部の人々に農業の価値を再発見してもらうきっかけ作りもしており、まさに地方創生を体現されておられます。

また、育児に励みながらもこのように活躍をされている多田様は、「自分が上機嫌でいること」こそが、母としての子供に与えられる教育・姿であり、美味しいものづくりの秘訣
というお言葉に大変感銘を受けました。
この度は貴重なお話をありがとうございました。

– 金沢キッチン様にてランチ

金沢の豊かな里山に囲まれた「金沢キッチン」では、加賀・能登の旬の食材をふんだんに使用した、身体に優しいランチをいただきました。
野菜一つひとつの味がしっかりと感じられ、自然の中でいただくお料理は格別でした。
特に”かたは”と呼ばれる山菜とは初めて出会ったのですが、少し粘り気とシャキシャキした歯応えのある山菜のおひたしが大変美味しかったです。

食事処の隣では、手作りの酒粕入り石鹸や、オーガニックの雑貨・食品も販売されておりました。また、入り口にはこのように温かいメッセージをご用意してくださっており、とても胸が温かくなりました。スタッフの皆様のおもてなしの心に触れ、地元に根付くこのような素晴らしいレストランに出会えたことに心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

-石川県立伝統産業工芸館 見学

プログラム最後には、加賀友禅、九谷焼、輪島塗など、石川県が誇る36の伝統工芸品を展示する伝統産業工芸館の見学へ訪れました。この施設では、作品に宿る職人の技術、そして手仕事の美しさを学ぶことができ深く感動しました。

館内は2階建てでとても充実した作りになっており、展示物には値段の提示がされているものもあり、想定をしながら館内を巡るのも面白さの一つでした。
1階では伝統工芸品が購入できるようになっており、海外の観光客の方も多く見られ、このように、見て触れて感じ、そして、文化を持ち帰ることのできる一体型の施設はとても素晴らしいものだと感じました。

このように、一つの工芸品ができるまでの工程も展示されており、大好きな九谷焼も様々な色を重ねては冷まして、塗って・・という工程を何度も繰り返しているのだと知りました。本田様が丁寧に館内を案内くださり、その奥深さを知ることで、思考芸とはこうして手間暇のかかる手作業であり、しっかりと文化として継承し、評価されるべきものだと改めて感じました。お着物の染め方なども、地域によって異なることも学ぶことができ、人生はこうして学び・知恵が増えるほど楽しくなるのだと感じました。
Miss SAKEとして、日本酒だけでなく、それを取り巻く文化や器の美しさも含めて発信していくことの大切さを学びました。

こちらは、豊臣秀吉が身分の象徴として作らせた「黄金の茶室」の復元とのことで、金箔をふんだんに使用し、豪華絢爛な桃山文化を象徴するものとして知られているそうです。茶室は想像以上に神々しく、推定◯千万円だそうです。

さいごに

金沢で出会った皆様の誠実な想い、そして日々の営みから生まれる「食」や「工芸」の魅力は、日本文化の奥行きと確かな継承力を感じさせてくれました。2日間、運転を努めてくださり、安全な旅をさせて頂いたドライバー様にも感謝申し上げます。
(一社)Miss SAKEと書かれたバスに乗れていることに、改めて胸が高鳴りました。

Miss SAKEとして、日本酒を起点にこうした文化を伝えていくことは、私の使命であり誇りです。これからも各地で学びを続けながら、世界に向けて日本の魅力をお届けしてまいります。このたびは2日間に渡り、貴重な学びを本当にありがとうございました。

2025 Miss SAKE 静岡
永田しおり

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