Miss SAKE News/Blog

第7回ナデシコプログラムレポート【日本舞踊体験と多方面から見た日本酒】2026 Miss SAKE 北海道 若井日南子

【日本舞踊体験と多方面から見た日本酒】

皆様こんにちは。

2026 Miss SAKE 北海道代表の若井日南子と申します。

4月11日(土)は、初めての自装した振袖で参加させていただく、記念すべきナデシコプログラムとなりました。

当日は天気にも恵まれ、第7回ナデシコプログラムが無事開催されましたので、その内容を報告いたします。

ぜひ、最後までご覧いただけますと幸いです。

【プログラム内容】

◾️日本舞踊体験稽古 講師:藤間流勘右衛門派 藤間美都也(ふじまみつや)様

◾️Sakeから観光立国 講師:株式会社コーポ・サチ 代表取締役 平出淑恵様

◾️日本酒学について 講師:新潟大学 日本酒学センター 副センター長(農学部・教授)平田大様

◾️鍋&SAKE:酒粕チーズ鍋(発酵鍋)

【日本舞踊体験稽古】

 日本舞踊の講師である藤間三都也(ふじまみつや)様より日本舞踊のお稽古を体験させていただきました。

 藤間様は藤間流勘右衛門派という流派の踊りをされています。日本舞踊は一般的に控えめな動作で踊ると思われがちですが、藤間様の流派は、大きいフリが特徴とのこと。特に体幹が重要で、鍛錬しなければうまく踊れないとおっしゃっていました。

講座の流れは以下の通りです。

・体験お稽古でお伝えしていること

・日本舞踊の所作指導(立ち・座り・すり足など)

・さくらさくらの振り付け・披露

◾️お稽古をする前に・・・

 まず初めに、藤間様が伝えてくださったメッセージは「信念を持ち続けることの大切さ」です。

 藤間様は、40代から日本舞踊を本格的に始められたそうです。それまでは、日本舞踊は余裕がある方が嗜むというイメージをお持ちだったとのことです。しかし、実際に始めてみて「やりたいと思う人が取り組んで良いものだ」と感じられたと伺いました。

 つまり、何事もやり始めることに早い遅いはなく、信念を持ち続けることで想いが実るということを教えていただきました。

 私の信念は「日本酒の魅力を国内外の方々へ伝えていくこと」です。まずは、今回のお稽古を通して、姿勢や所作を磨きながら自分と向き合い、その想いが実るよう、信念を貫いていきたいと考えております。

◾️日本舞踊においての基本動作

 続いて、日本舞踊における立ち、座り、すり足など、基礎的な所作についてご指導いただきました。

 所作を行うにあたっての美しい姿勢の保ち方や、意識すべき筋肉についてご教示いただきましたが、十分な筋肉がついておらず、姿勢をキープするだけでも大変苦労いたしました。腹筋に力を入れて、反り腰になりすぎず、腰が引けた姿勢にならないようアドバイスしていただきましたが、意識して取り組んだつもりでも、藤間様から姿勢について何度かご指摘をいただき、自身の未熟さと鍛錬の必要性を改めて実感いたしました。

 実際に藤間様の舞をご披露いただきました。藤間流勘右衛門派の特徴である大きな振りが所々見られましたが、その一つ一つが余裕を感じさせる美しい動作で、思わず見惚れてしまうほどでした。また、姿勢にも一切のブレが無く、高度に鍛錬された体幹の強さを感じました。

◾️ついに、日本舞踊デビュー

 最後に『さくらさくら』の振付をご指導いただき、石川酒造を訪れているお客様の前で藤間様と石川社長の三味線の演奏と共に舞を披露させていただきました。

 限られた時間の中で慣れない振りを覚えるのは大変でしたが、Miss SAKEファイナリストの皆で確認しながら振りを覚え、出来る限り美しく見えるように踊ろうと意識いたしました。

 当日は大変天気が良く、石川酒造には多くのお客様が訪れていました。日本舞踊は初めてであり、人前で舞を披露するのも今回が初めてであったため、大変緊張しました。しかし、三味線に合わせて舞うひとときは大変楽しく、貴重な経験となりました。お客様も暖かく見守っていただき、喜んでいただけたことで、挑戦してよかったと感じております。

 

【Sakeから観光立国】

 株式会社コーポ・サチの代表取締役である、平出淑恵様より「日本酒の可能性と世界展開」についてご講義をいただきました。

 日本酒を世の中に広めてきた平出様は、かつて日本航空で客室乗務員として世界中を飛び回りながら趣味としてソムリエ資格を取得され、世界中のワイナリーを巡られてきた経験があります。

◾️ワインから見えた、日本酒の可能性

 平出様はワイナリーを巡る中で「素晴らしいワイナリーのある地域は、ワイン愛好家にとって”訪れたい場所”になる」という事実を実感されたとのこと。

 また平出様がワインを学ぶ上で気づかれたことは「ワインの価値を理解できる人は、日本酒の価値も理解できるのではないか」という視点でした。ワインは、一つの文化として人々を熱狂させ、地域に人を呼び込みます。それと同じことが日本酒にも出来るのではないだろうかと感じたそうです。

 日本酒には、伝統・習慣・歴史・優れた醸造技術など日本の魅力が沢山詰まっています。特に蔵元という存在は、100年以上続く家業が多く、地域の歴史そのものです。一方で、酒蔵の廃業が続いており、日本酒市場の小ささや認知不足という課題もあります。

 そこで平出様は、日本酒をワイン市場の枠組みに乗せることで、その可能性を広げられるのではないかと考えられました。

◾️日本酒が世界へ歩み出した軌跡

 現在世界的に広く流通しているワインも、もともとは日本人にとって日常的に嗜まれる飲み物ではありませんでした。ワインは『Education(教育)・Competition(コンクール)・Promotion(宣伝活動)』という3つの取り組みによって普及してきたと教えていただきました。

 こうした事例を踏まえ、平出様は日本酒を世界へ広める活動に取り組んでこられました。

1.Education(教育)

 まずは、Education(教育)の活動として、世界最大規模のワイン教育機関「WSET(Wine & Sprits Education Trust」の本校にSAKEコースを働きかけました。2003年に有志蔵元による日本酒講座をワイン教育の本拠地である、WSETロンドン本校で初めて実施されました。そこから10年の歳月が立ち、ようやく2013年にWSETに日本酒の資格ができ、国際的な教育の場でも日本酒が学ばれるようになりました。

2.Competition(コンクール)

 2003年の日本酒講座で平出様は、日本酒のコンクールを実現したキーマンである「サム・ハサロップ氏」と出会いました。彼はワイン業界で最も権威があり、最難関の「マスターオブワイン」を最優秀で合格した人物です。日本酒講座をきっかけに品質と状態の良い日本酒に衝撃を受け、酒蔵見学の為に来日するほどだったとのことです。

 2007年、ついに平出様の熱意が実現しました。サム・ハサロップ氏の意向で世界最大級のワインコンペティションである『インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)』にSAKE部門が創設されました。平出様はその言葉を聞いたとき、鳥肌がたったとおっしゃっていました。

3.Promotion(宣伝)

 IWCにSAKE部門ができたことで、さまざまな日本酒が国際的に評価されるようになりました。例えば、2012年には佐賀県鹿島市の地酒である「鍋島 大吟醸」が世界一に輝きました。それを皮切りに、佐賀県での酒蔵ツーリズムが活発になったとのこと。また、2012年に日本酒振興が国策になったり、外務省の取り組みにより、天皇誕生日レセプション(在外公館重要行事)では日本酒で乾杯することが原則となるなど、国家レベルでも日本酒の発信が進められています。

◾️日本酒は「文化」へ

 日本酒はユネスコ無形文化遺産に登録され、嗜好品から、世界が認める次世代へ継承すべき「文化遺産」として位置付けられるようになりました。

 また、蔵元は単なる酒造りの場ではなく、地域に根ざした“生きた歴史”であり、世界へ発信できる「最強のコンテンツ」であるとのこと。日本酒は、地域のブランド価値を高めると同時に、日本酒を愛する国内外の人々とのネットワークを築く力を持っていることを学びました。さらに日本酒は、日本という国そのものの価値を高め、次世代へと受け継ぐべき大切な財産となり得るものであると、強く実感した講義でした。

 講義後には平出様とお食事をご一緒させていただき、貴重なお話を伺う機会を頂戴いたしました。その中で掲げていらっしゃった目標が、「生涯を通じて、日本人全員が日本酒について学ぶ機会を持てるようにしたい」というものであり、その志の大きさに深く感銘を受けました。

 今回の講義を通して、日本酒はまだ発展途上でありながらも、世界へと広がる大きな可能性を秘めている存在であると強く実感いたしました。

 私自身も、Miss SAKE 北海道として、そして将来地酒屋を継ぐ者として、平出様のように大きな志を持ちながら日本酒の魅力を広く発信し続けていきたいと、改めて強く感じております。

 

【日本酒学について】

 新潟大学日本酒学センターの 平田大 様より、日本酒を学術的な視点から捉える「日本酒学」についてご講義いただきました。

 本講義では、日本酒の歴史や文化、さらには科学的側面に至るまで、多角的な視点からその魅力と本質について学ばせていただきました。

■ 世界初の「日本酒学」という学問

 新潟大学では、世界で初めて「日本酒学(Sakeology)」という学問分野が確立されています。これは、日本酒の文化や伝統に根ざしながら、その本質を多方面から研究する学問となります。

 世界にはワイン学が存在する一方で、日本酒を体系的に学ぶ機会はこれまで限られていました。そのような中で誕生した日本酒学は、日本酒を単なる“文化”としてではなく、“学問”として世界へ発信する大きな一歩であると感じました。

 また、新潟大学における日本酒学は非常に人気が高く、多くの学生が履修を希望する講義となっているそうです。

■ 日本酒の歴史と文化的背景

 講義の中では、発酵学者である 坂口謹一郎 氏の

「世界の歴史を見ても、古い文明は必ず麗しい酒をもつ」

という言葉が紹介されました。この言葉が示す通り、酒は古来より文化と密接に結びついてきた存在です。

 世界最古の酒の一つであるワインやビールと同様に、日本においても酒は古くから重要な役割を担ってきました。

 日本酒の起源には諸説ありますが、弥生時代に米の伝来とともに、麹菌を用いた酒造りが始まったと考えられています。そこから長い年月をかけて、日本酒は文化とともに発展してきました。

■ 新潟という酒どころ

 新潟県は、全国でも有数の酒蔵数を誇り、国内出荷量第3位、吟醸酒のシェアは全国第1位を占めています。さらに、国内で唯一の県立醸造試験場や、酒造組合が運営する清酒学校が存在するなど、日本酒文化を牽引する地域の一つとして知られています。

 その背景には、かつて北前船の寄港地として栄え、開港後も重要な貿易拠点として発展してきた歴史があり、こうした積み重ねが現在の酒造文化の発展に大きく寄与していることを学びました。

■ 水と気候が生む酒の個性

 日本酒造りにおいて欠かせない要素の一つが「水」です。日本酒の約9割は水で構成されており、その水質が味わいを大きく左右します。

水には「硬水」と「軟水」の2種類があり、硬度の成分が醸造過程の酵母の栄養源になります。そのため、硬度成分の少ない軟水の水は、発酵が穏やかになり繊細な味わいの日本酒を造り出す特徴があるとのこと。

 新潟のお酒が淡麗辛口と言われるのは、新潟の水が軟水だからということを学びました。

さらに雪国である新潟ならではの環境も酒造りに適しており、

・空気中の不純物が少ない

・低温で安定した発酵管理が可能

・雪による自然の保温効果

といった利点があることも印象的でした。

■ 日本酒の「美味しさ」を科学する

 日本酒の味わいを科学的に捉える視点についても学びました。

 美味しさには、「物に由来する美味しさ」と「物に由来しない美味しさ」の2つがあるとされています。

 「物に由来しない美味しさ」の一例として、温度による味覚の変化が挙げられます。一般的に温度が高いほど甘味を感じやすく、低いほど酸味や塩味を強く感じる傾向があるとのことです。

また、人は味覚以上に嗅覚から多くの情報を得ており、日本酒においても「上立ち香」や「口中香」といった香りの要素が重要であるとされています。

 「物に由来しない美味しさ」は、主に以下の3つの要素によって構成されています。

・体調や空腹などの生理的要因

・食文化やこれまでの経験

・ラベルや背景といった情報

これらの要素が複雑に組み合わさることで、感じる美味しさは大きく変化します。

つまり、人は単に味そのものを感じているのではなく、心や環境の影響を受けながら味わいを認識しているということを学びました。

■ 学びを通して

 今回の講義を通して、日本酒は単なる嗜好品ではなく、歴史・文化・科学が融合した総合的な存在であると感じました。

 また、日本酒を学問として体系化し、世界へ発信していく取り組みは、日本文化そのものの価値を高めることにもつながると考えます。

 日本酒の魅力を正しく理解し、それを多くの人に伝えていくことの重要性を改めて認識する、大変貴重な学びの機会となりました。

【鍋&SAKE:酒粕チーズ鍋(発酵鍋)】

 夕食では、平出様、平田様、2025 Miss SAKE JAPAN 舘農様、そして2026 Miss SAKEファイナリストの皆様とともに鍋を囲みました。

 今回いただいたのは、「酒粕チーズ鍋」です。宿泊先である石川酒造様の「多満自慢」の酒粕とカマンベールチーズを使用した一品で、酒粕の持つお米の旨みとチーズのコク、ほのかな苦味が絶妙に調和し、思わず箸が進む味わいでした。

 また今回は、このお鍋に合わせて、北海道からおすすめの日本酒をお持ちし、ご紹介させていただきました。

 ご紹介したのは、「十一州 純米大吟醸」です。

 このお酒を選んだ理由は、祖父が商品企画に携わっており、現在私が勤めている地酒専門店の看板商品でもあるためです。

 「十一州」という名前は、明治時代に北海道が11の国に分けられていた歴史に由来しています。製造を手がけるのは、札幌唯一の酒蔵であり、「千歳鶴」で知られる日本清酒です。使用米には北海道・新十津川産の「きたしずく」を採用し、ラベルは札幌在住の書道家によるものとなっており、まさに“オール北海道”で造られた一本です。

 この日本酒が誕生した背景には、当時の北海道の日本酒市場があります。日本酒が売れにくくなり、価格帯が「安価な酒」と「高級酒」の二極化が進んでいました。そこで、「手頃な価格でありながら高品質な日本酒を届けたい」という想いから開発されました。

 現在でも税込2,000円未満と、純米大吟醸としては非常に手に取りやすい価格でありながら、多くのお客様に支持され、“100石”(一升瓶約1万本)を販売する人気商品へと成長しています。

 味わいは、メロンを思わせるフルーティーな香りと、上品でなめらかな口当たりが特徴です。

 実際に皆様にご試飲いただいたところ、「まろやかで飲みやすい」「フルーティーで美味しい」など、多くの嬉しいお言葉をいただきました。

 自分のおすすめした日本酒を通して、北海道の魅力や造り手の想いを共有できたことを大変嬉しく感じました。

2026 Miss SAKE 北海道代表

若井日南子

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