皆さま、こんにちは。2025 Miss SAKE Japan 館農知里です。
今回、4月3日(金)に、AP虎ノ門/日本酒造組合中央会(東京都港区)にて開催された、香港日本酒業連合会主催による講演会「アジアが選ぶ日本酒に見る酒質トレンド」および、OSA 2025 受賞酒試飲会にて司会を務めさせていただきました。会場では、日本酒業界を牽引される蔵元や業界関係者の方々が集まられ、本コンペティションについての情報交換を行う貴重な場となりました。
OSAについて
「亞洲清酒大賞 Oriental Sake Awards(OSA)」は、日本を除くアジア地域において初めて国際基準で開催される日本酒コンペティションです。各国で活躍する日本酒の専門家が一堂に会し、公正な審査を通じて優れた日本酒を選出するとともにその魅力を広く発信しています。近年、日本酒の輸出においてアジア市場の重要性はますます高まっており、OSAは、日本酒の価値や魅力が海外市場においてどのように評価されているかを客観的に捉えることのできる重要な機会となっています。また、日本国外のアジア圏で開催される日本酒コンペティションとして唯一「世界酒蔵ランキング(World Sakagura Ranking)」の評価対象コンテストにも名を連ねています。蔵元にとっては、ブランド価値の向上や海外での販路拡大につながる契機となるだけでなく、現地の消費者の嗜好や市場動向を深く理解する場としても注目されています。日本酒の新たな可能性を切り拓く取り組みとして、国内外から高い関心を集めています。
アジア市場を見据えた日本酒審査の最前線とその舞台裏
最初に、OSA主催者 ミッキー・チャン氏より、「香港日本酒業連合会とOSAの紹介」と題した講演(通訳:Sake Industry News 榎本氏)が行われました。冒頭では、参加酒蔵およびメディア関係者への感謝の言葉が述べられました。その後は、特徴の一つである、特定名称にとらわれず香りや味わいによって分類された11種類にわたる出品カテゴリーについてご紹介がありました。
講演では、日本酒輸出の約65%をアジアが占めていること、そして本コンペティションを通してアジア市場を見据えた日本酒審査を行う意義についても言及がありました。審査はグループごとに行われ、各部門において上位から金・銀・銅のメダルが授与されます。昨年度は、アジア・オセアニア地域を中心に世界10カ国から39名の審査員が参加しました。各カテゴリーの特性を最も体現した銘柄には「Champion Medal」が、全カテゴリーの頂点には「Sake of the Year」が授与されるほか、出品数が20点以上の都道府県を対象にした「Regional Trophy」も設けられています。
今回特に印象に残ったのは、このコンペティションを支えるバックチームの存在です。出品酒は5℃以下と徹底した輸送環境のもと搬入され、その後も適切な温度管理と厳格な情報管理のもとでボトルのラッピング等が行われます。また、多数の銘柄をテイスティングするため、リーデル規格のグラス約2,500脚が用いられ、1日の審査でそれぞれ3回ずつ使用されるといいます。これらのグラスも、その都度丁寧に洗浄・磨き上げられており、こうしたバックチームの支えによって、質の高い審査環境が維持されています。今回その実際の様子を映像でも拝見し、コンクールを陰で支える方々の尽力が、高いクオリティの審査を支えているのだと強く実感いたしました。
香港から広がる日本酒文化とその未来
その後、OSA 後援団体である香港貿易発展局 ベンジャミン・ヤウ氏より、ご挨拶をいただきました。現在、香港では中華料理に次いで日本料理の人気が高まっており、その中で日本酒は欠かせない存在になっているといいます。また、香港の人口約750万人のうち、年間およそ250万人、すなわち3人に1人が日本を訪れているそう。こうした背景のもと、消費者に対する日本酒の訴求において、コンペティションが果たす役割の重要性が改めて語られました。
続いて、OSA 共同審査委員長である松崎晴雄氏より、「香港市場の現況とこれからのアジアの日本酒市場、およびOSA2025からの変更点」と題するご講演をいただきました。香港は自由貿易港であり関税がかからないという利点を背景に、日本酒の輸入量は増加傾向にあるといいます。また、現地では日本食とともに日本酒も広く浸透しており、駅構内でも気軽に購入できる環境が整いつつあるという事実に驚かされました。こうした状況を踏まえ、「海外への日本酒文化発信の拠点」としての香港市場の高いポテンシャルについて言及されました。
今回の講義を通じて、日本国内の造り手と海外の消費者を結ぶ「架け橋」として、国際基準で行われる日本酒コンペティションの重要性を強く実感いたしました。日本食や日本文化への関心が高まる国際社会において、日本酒文化もまた同様に広がり、継承されていくことが期待されます。そのためには、海外展開を志向する造り手と、新たな味わいを求める海外の消費者、その双方のニーズを結びつける場が必要不可欠です。海外における日本酒コンペティションは、まさにその接点を創出する役割を担っていることを、構造的に理解する学びの場となりました。
受賞酒から見えた、日本酒の多様性と可能性
試飲会場には、約40種類にのぼるOSA 2025の受賞酒が並びました。
会場では、来場されていた酒蔵・日本酒関係者の方々にご挨拶をしつつお話を伺いながら、会場内を周遊させていただきました。中でも印象的だったのは、カテゴリーの多様さです。特に「長期熟成酒」には、淡熟と濃熟の二種類が設けられており、香港をはじめとするアジア市場において、フルボディな味わいやプレミアム志向の銘柄への需要の高さがうかがえました。
また、菩提酛や多酸酒、低アルコール、にごり酒、貴醸酒など、日本酒の多彩な味わいを包括する「Special Types」というカテゴリーの存在にも驚きました。受賞ラベルをまとった多種多様な味わいの日本酒が海外市場に並ぶことで、その奥深い魅力を現地の方々に伝える貴重な契機となるではないかと強く感じました。
今回の「OSA 2025 受賞酒テイスティング&講演会」を通して、日本酒が持つ多様な魅力と、その価値が国や文化を越えて広がっていく将来的な可能性を改めて深く実感いたしました。とりわけ、香りや味わいによって再定義されたカテゴリーや、アジア市場の嗜好を反映した評価基準に触れる中で、日本酒が時代や地域に応じて柔軟に進化し続ける素質を持っていることを学びました。また、日本国内の造り手と海外の消費者とを結ぶために、単に魅力を発信するだけでなく、その橋渡しとなり、新たな評価軸や市場の広がりを生み出す存在として、海外における日本酒コンペティションが重要な役割を担っていることを改めて実感いたしました。
今後もMiss SAKEとして、日本酒に込められた歴史や文化、造り手の想いを丁寧にお伝えするとともに、こうした国際的な視点を踏まえながら、日本酒の価値がより多くの方々に届くよう、その架け橋の一端を担ってまいりたいと存じます。
2025 Miss SAKE Japan 館農知里

























