Herkese、Merhaba!(皆さまこんにちは)
2023 Miss SAKE Japan 山田琴子です。
菊の花の香り高い季節となりました11月5日、トルコ イスタンブールの在イスタンブール日本国総領事公邸にて開催されました日本産酒類の商談会に2023 Miss SAKE Japan 山田琴子が伺いました。
トルコと日本のご縁
この度、Miss SAKEとして初めてのトルコでの活動を実施させていただき、その中で様々なまだまだ知られていないトルコと日本との繋がりを教えていただきました。
日本とトルコは今年で外交関係樹立100周年という大変おめでたい年でもあり、これを機に是非皆様にもトルコについて知っていただきたく、以下に共有させていただきます。
トルコの基礎知識
トルコは、ユーラシアの交差点に位置する魅力的な国で、アジアとヨーロッパを繋ぐ独特な地理的立地が特徴です。
首都はアンカラですが、最大都市であり観光の中心地でもあるのは、ボスポラス海峡に面したイスタンブールです。
歴史的に豊かな遺産を持つトルコは、オスマン帝国の歴史や、多くの文化や宗教が共存する文化的モザイクとして知られています。
トルコは日本とは対照的な気候や文化を持ちますが、温かいおもてなしの精神や家族を大切にする価値観など、多くの共通点もあります。
観光地としても人気が高く、トルコの美しい自然や遺跡、食文化は世界中からの訪問者を魅了しています。
日本とトルコの繋がり
日本とトルコの関係は、1890年の「エルトゥールル号遭難事件」を契機に始まりました。
この事件で遭難したトルコ軍艦の乗組員を当時日本の和歌山にある小さな村の方が助けたことが、両国の友情の礎となりました。それ以来、日本とトルコは長年にわたり互いに敬意と友情を持ち続け、経済や文化、観光など様々な分野での交流が発展しています。
また、日本酒を含む日本の食文化は近年トルコでも注目されており、和食の人気が広がる中で、日本酒も多くの人に愛されるようになっています。
現在は特に、お寿司と天麩羅がトルコでは人気でそちらに合うお酒を探される方が多いそうです。
トルコの食文化
トルコ料理は「世界三大料理」のひとつとされるほど、多様で豊かな伝統を持っています。トルコの食事は地域ごとに異なる風味や食材を取り入れており、肉料理や野菜料理、海鮮料理まで幅広いメニューがございます。
代表的な料理には、スパイスが効いた肉をヨーグルトや野菜と一緒に楽しむ「ケバブ」、焼きなすとヨーグルトを合わせた「パトルジャン料理」、レンズ豆を使った「レンティルスープ」や煮込み料理などがあります。また、「メゼ」と呼ばれる小皿料理が食卓に並ぶことが多く、数種類のメゼをシェアしながら、ゆっくりと食事を楽しむのがトルコ流です。
さらに、デザートとして人気の「バクラヴァ」や、さっぱりとした「トルコアイス」も有名です。そして、食後にはトルココーヒーやトルコチャイ(紅茶)を飲む習慣が根付いており、食事をゆったりと締めくくるのが一般的です。
大勢で集まりいただくお夕飯は4時間以上かかることが多いそうで、会話と様々なお食事を少しずつ味わうトルコの食卓は日本の食卓とも近いのかなと感じました。
そして、食文化を語るうえで欠かせないのがトルコの伝統的なお酒「ラク」です。ラクはアニス(八角)の風味が特徴の蒸留酒で、元々は透明なのですが、水を加えると白く濁るため「ライオンのミルク」とも呼ばれています。
ラクは、主にメゼや魚料理とともにゆっくりと飲まれ、会話を楽しみながら味わうお酒です。ラクを飲む時間は、家族や友人と心を通わせる特別なひとときとして大切にされています。
私もラクをいただきました。八角の爽やかな香りが口の鼻に広がり、オリーブオイルが多く使われているトルコ料理の油分を洗い流してくれるとてもリフレッシングな味わいがいたしました。ラクはアルコール度数が40度ほどあり、自分の好みに合わせてお水で割っていただくのが主流だそうです。
この日ご一緒しておりましたPresident of Turkish Society of Wine Experts & Educators Turgot Tokgoz様によると、ラクはその香りの強さから繊細なお食事とは合わせるのが難しく、日本酒の柔らかな香りが特にお寿司などの素材の味を活かす料理のペアリングとしてトルコでは求められているそうです。
商談会とセミナー
この素晴らしい歴史ある食と文化を持つトルコの地にてイベントは開催されました。
イベントは、日本国総領事公邸にて開催され、トルコの飲食店関係者やインポーターとして活躍される40名程の方がセミナーと商談会に参加するために集いました。
美しい総領事公邸にて、会はトルコ通訳をなさっている三浦静江様の司会にて始まりました。
その後、国税庁酒類業復興・輸出促進室 栗畑範夫様によるご挨拶がございました。
その後に大変光栄なことに私もトルコの皆様に、トルコ語と英語にてMiss SAKEについてと、日本酒の日本での文化的な側面についてご紹介をさせていただきました。
会の前半は、お酒の講師による日本酒と焼酎についてのセミナーでした。
この日の講師は、イギリスからいらしたEnshu ltdの大久保さとみ様と、President of Turkish Society of Wine Experts & Educators Turgot Tokgoz様でした。
セミナーは大久保様の詳しく、イギリス流のウィットが効いたわかりやすい例えを含んだ説明に、Turgot様のトルコ人にわかりやすい現地の方への説明にて行われました。
セミナー中は、大久保様とTurgot様と一緒にご来場の方々も自由に話されるディスカッション形式にて日本酒と焼酎についての知見を深められておりました。
セミナーの最後にはこの日いらしていた酒蔵様のお酒を使い、利き酒の仕方や、利き酒を実際に行い吟醸香や香りの違いなどを体験いただきました。
その後、後半では会場を移動し、総領事公邸のシェフがこの日のために丹精を込めてご用意くださった日本食とトルコの食材を使ったお料理と共に、日本産酒類のペアリングと商談会が行われました。
初めに日本国総領事の笠原謙一様よりご挨拶をいただきました。笠原総領事より、日本とトルコのお互いの文化や食を知ることでより相互交流を深めていきたいというメッセージをいただきました。
この日いらしていた方々はこちら:(順不同、敬称略)
- 濵田酒造株式会社、だいやめ等
- アセナ株式会社、香り爛漫等
- 和酒貿易合同会社、基 LIGHT等
- 日本酒類販売株式会社、澤乃井 純米吟醸 東京蔵人/環日本海 純米原酒 超辛口等
- 辰馬本家酒造株式会社、黒松白鹿 純米吟醸ゴールドラベル等
- 天吹酒造合資会社、天吹 純米大吟醸バナナ酵母等
商談会では、私もお客様のおもてなしとして探されている味わいのお酒のご紹介や、日本酒と焼酎、日本食や日本文化などの皆様の質問にお答えさせていただきました。
この日会場には、日本へコンビニで販売されているヘーゼルナッツチョコのヘーゼルナッツを輸出されている方や、日本の正しいお出汁を使った日本食を教えるお教室をされていらっしゃる先生等本当にさまざまな方がいらしており皆さま真剣にセミナーで学んだ知識を活かし試飲をされておりました。
各酒蔵様のブースでは、酒蔵様が選んだお酒とお食事のおすすめペアリングもございました。
食中酒としてお食事をさらに引き立てる日本産酒類の特徴には、皆さま大変感動されていらっしゃいました。
濵田酒造さまのブースでは、焼酎とトルコの伝統酒ラクを使ったカクテルもご提供されており、日本とトルコのそれぞれの伝統酒のコラボレーションに会場の皆様も大変喜ばれておりました。
ご来場の方々にお話を伺うと、普段よりラクを飲み慣れているトルコの方にはアルコール度数が強い焼酎が香りも華やかで同じように飲むとしたら、焼酎が良いかもしれないとのことでした。
さらに、食事を引き立たせる日本酒は大変飲みやすく、特にコクとお米の甘みを感じる日本酒は是非トルコ料理の前菜のメゼに合わせたいとのことでした。
どの方からも、これからトルコでいただける日本のお酒のバリエーションがもっともっと増えることを楽しみにしているというお言葉をいただき、会は大盛況の中終了いたしました。
ユネスコ無形文化遺産登録へ向けて
現在、日本の「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に提案されております。「伝統的酒造り」とは、杜氏(とうじ)・蔵人(くらびと)等の方々が、こうじ菌を用い、日本各地の気候風土に合わせて、経験に基づき築き上げてきた、伝統的な酒造り技術です。
大変喜ばしいことに、今月初旬、この「伝統的酒造り」が、ユネスコ無形文化遺産保護条約政府間委員会の評価機関における事前審査において、無形文化遺産の代表一覧表への「記載」がふさわしいとの勧告を受けました。
この日、国税庁 栗畑範夫様のご挨拶の中でも「『伝統的酒造り』がユネスコ無形文化遺産に登録されることを期待している」というメッセージをいただきました。
最終的な結論は、来月12月2日~12月7日にアスンシオン(パラグアイ)にて開催されるユネスコ無形文化遺産保護条約第19回政府間委員会において正式決定される予定です。
日本の「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産として無事登録され、世界中の方に知っていただける契機になることが楽しみでなりません。
長い歴史を持ち、独自の美しい食文化を持つトルコ。同じく長い歴史と食文化を持つ日本とは大変共通点も多く、フレンドリーで優しく、真面目な気質もあるトルコの方々にこれからもっと日本の美味しいお酒を知っていただけたらと思います。
この度は、この素晴らしい日本とトルコの交流の場に参加させていただきありがとうございました。
Miss SAKEとして、今後もより一層継続して日本の歴史あるお酒と文化を世界中の方にお伝えしていければと改めて想いを強くした1日となりました。
2023 Miss SAKE Japan
山田琴子