皆さま、こんにちは。
2026 Miss SAKE Japan 長瀬志珠です。
2026年8月6日(木)、東京ビッグサイト 南展示棟にて開催された「第5回 国際発酵・醸造食品産業展」に、2026 Miss SAKE 準グランプリ 三輪晴香氏とともに参加させていただきました。
「国際発酵・醸造食品産業展」は、発酵・醸造に関わる食材や素材をはじめ、研究機器、製造設備、検査機器、パッケージなど、発酵・醸造産業を支えるさまざまな製品や技術が一堂に集結する専門展示会です。
第5回となる今回は、8月4日(火)から6日(木)までの3日間、東京ビッグサイトにて開催されました。
普段、私たちが日本酒を手にするときには、その味わいや香り、酒蔵や造り手の想いに触れる機会が多くあります。
しかし、その一杯が私たちのもとへ届くまでには、酒造りそのものだけではなく、衛生管理、温度管理、成分分析、充填・瓶詰め、品質を保ったまま届けるための技術など、数多くの企業の技術と工夫が関わっています。
今回は会場を巡りながら、日頃よりMiss SAKEの活動を支えてくださっている企業の皆様へご挨拶させていただくとともに、それぞれのブースに展示された実際の機器や製品を拝見し、その特徴や酒造りにおける役割について詳しくご説明いただきました。
今回は、その中から私が担当させていただいた4社をご紹介いたします。
◆エース産業株式会社
エース産業様では、酒蔵をはじめとするさまざまな現場の衛生管理に活用される、オゾン水・オゾンエアーについてご説明いただきました。
日本酒造りには、麹菌や酵母といった微生物の働きが欠かせません。
その一方で、品質を安定して保つためには、酒造りに必要な微生物を大切にしながら、カビや雑菌などの発生を防ぎ、蔵内を清潔に保つことも非常に重要です。
そこで活用されている技術の一つが「オゾン」です。
今回は、オゾン水やオゾンエアーが、酒造りのさまざまな工程で活用されていることをご説明いただきました。
洗米・浸漬の工程では水や周辺環境の衛生管理に、蒸米では蒸気によるカビへの対策に、製麹では麹室内の器具の洗浄や空間の衛生管理に。また、酵母・もろみの工程で使用するタンクや器具、貯蔵庫、瓶詰め設備など、原料処理から製品になるまでの幅広い場面を支えていることを知りました。
展示されていたオゾン発生器には、オゾン水とオゾンエアーの両方を使用できるタイプや、持ち運び可能なオゾン水発生器、空間の除菌・脱臭に使用するオゾンエアー発生器などがあり、使用する場所や目的に合わせて機種を選択できるようになっています。
オゾンは強い酸化力を利用して除菌や脱臭に活用され、反応後には分解して酸素へ戻るという性質を持っています。こうした特性を生かし、食品を扱う環境でも衛生管理に利用されています。
酒造りというと、米・水・麹・酵母や、杜氏・蔵人の技術に目が向きがちですが、その品質を守るためには、「造る環境を清潔に保つための技術」もまた欠かすことのできない存在なのだと学ばせていただきました。
◆株式会社北村商店
北村商店様には、2026 Miss SAKEのナデシコプログラムでも大変お世話になっています。
今年4月に行われた第12回ナデシコプログラムでは、代表取締役 北村勇人様より「醸造機械について、機械業から見る日本酒」をテーマにご講義いただき、普段表からはなかなか見ることのできない「機械」という視点から日本酒造りについて学ばせていただきました。
今回、特に詳しくご説明いただいたのが、「KEYKEG」です。
KEYKEGは、
「上槽直後のような新鮮なお酒を消費者に届ける」
ことを目指した、酸化を防ぐための特殊容器です。
日本酒は、酒蔵で素晴らしい状態に仕上がったとしても、その後の保存環境や光、酸素などによって味わいや香りが変化していきます。
つまり、「良いお酒を造る」ことと同じくらい、造られたお酒を良い状態のまま消費者へ届けることも大切です。
KEYKEGは二重構造となっており、内袋には光を99.9%遮断する素材を採用。特殊な内部構造によって酸化を防ぎ、開栓後から最後の一滴までフレッシュな状態を保つことを目指して設計されています。
普段、私たちが日本酒を楽しむ際には瓶に入った商品を見ることがほとんどですが、「どのような容器で、どのような状態で消費者まで届けるのか」という部分にも、これほど多くの技術があることを改めて知りました。
また会場では、アルコールや日本酒度などを分析する際に使用する電気式蒸留器など、品質管理を支える機器についても拝見しました。
ナデシコプログラムで学ばせていただいた「醸造機械」という世界を、今回は実際の製品を目の前にしながら改めて学ぶことができ、知識と現場がつながる貴重な機会となりました。
◆株式会社阪口製作所
阪口製作所様は、液体充填機やキャッパー・打栓機、リンサーなど、瓶詰め・充填ラインに関わるさまざまな機械を手掛けていらっしゃいます。
今回会場で実際に拝見したのが、SC-8シリーズの全自動キャッパーです。
阪口製作所様のSC-8シリーズは、安定性と兼用性を特徴としており、さまざまな瓶を一つの設備で兼用することができます。
日本酒の瓶と一口に言っても、一升瓶や四合瓶、小容量の瓶、さらにはブランドごとに形状の異なるデザイン瓶など、その種類はさまざまです。
そのため、少量ずつ複数の商品を製造する酒蔵にとって、異なる容器に柔軟に対応できることは、生産効率の向上にもつながります。
実際に大きな機械が動く現場を目の前にすると、普段何気なく手に取っている一本の日本酒が完成するまでに、実に多くの工程と技術が存在していることを実感しました。
◆柳井電機工業株式会社
柳井電機工業株式会社様では、最新のテクノロジーを活用して酒造りの品質管理や作業を支える、さまざまな機器についてご説明いただきました。
中でもまず興味深かったのが、清酒用分析装置「OenoFoss2(オエノフォス2)」です。
OenoFoss2はFT-IR(フーリエ変換赤外分光分析法)を用い、わずかなサンプルから、
・アルコール
・ボーメ度
・日本酒度
・グルコース
・総酸度
・アミノ酸度
という6つの成分を約1.5分で同時に測定することができる分析機器です。
従来の分析では、それぞれの項目を個別に測定したり、蒸留を必要とする工程もありますが、OenoFoss2では6〜10mLほどのサンプルを使用し、蒸留を行わずに複数項目を短時間で分析することができます。
続いてご説明いただいたのが、「もろみ品温センサー」です。
酒母やもろみの発酵において、温度は非常に重要な要素です。
数度、場合によってはわずかな温度差が発酵の進み方に影響するため、酒蔵では日々細やかな品温管理が行われています。
この「もろみ品温センサー」では、タンク内の温度をリアルタイムで計測し、その情報をクラウドへ自動送信。
スマートフォンやパソコン、タブレットなどから離れた場所でも各タンクの温度を確認でき、過去のデータも蓄積することができます。
これまで蔵人が現場へ足を運び、一つひとつ確認してきた情報を「見える化」することで、品質管理を支えると同時に、作業負担の軽減にもつながります。
そして、もう一つご説明いただいたのが、清酒製麹工程を支える「麹みまもりくん」です。
日本酒造りで非常に重要な工程の一つである「製麹」。
麹菌は温度によって活動が変化するため、麹造りでは細かな品温管理が求められます。
従来は夜間であっても蔵人が麹の状態を確認する「寝ずの番」が必要となることもあり、酒造りの中でも非常に神経と体力を使う工程の一つです。
「麹みまもりくん」は、麹箱に専用の温度プローブを設置して品温を連続的に計測し、設定温度に応じてファンを自動制御することで、麹の温度管理をサポートします。
さらに、PCやタブレットから遠隔で状態を確認できるほか、品温データを蓄積してグラフ化したり、製麹の経過簿を自動作成したりする機能も備えられています。
ここで印象的だったのは、最新技術が「人の仕事をなくすため」のものではなく、蔵人の経験や判断を支え、負担を軽減しながら、長年培われてきた技術を次の世代へつないでいくためにも活用されているということです。
データやIoTといった新たな技術を掛け合わせることで、品質管理、働く環境、そして技術継承まで、酒造りの未来に新たな可能性が広がっていることを学びました。
◆展示会を通して
今回、「第5回 国際発酵・醸造食品産業展」に参加し、普段とは少し異なる角度から日本酒について学ばせていただきました。
私たちが普段目にするのは、酒蔵で造られ、瓶に詰められ、完成した一本の日本酒です。
一杯の日本酒の裏側に、本当に多くの方々の知恵と技術が存在していることを、改めて実感いたしました。
2024年、ユネスコ無形文化遺産に登録された「伝統的酒造り」
造り手の技と想い、そしてその酒造りを支える企業の皆様の技術。
その両方があってこそ、日本酒文化はこれからも未来へ受け継がれていくのだと思います。
今回学ばせていただいたことを、2026 Miss SAKE Japanとして日本酒の魅力を発信していく中でも大切にし、完成した一杯だけではなく、その背景にある技術や人々の想いまでお伝えできるよう努めてまいります。
この度、貴重なお話をお聞かせくださった企業の皆様、そして「第5回 国際発酵・醸造食品産業展」関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。
貴重な学びの機会をいただき、誠にありがとうございました。
2026 Miss SAKE Japan 長瀬志珠






















