皆さま、こんにちは。
2023 Miss SAKE Japanの山田琴子です。
先日、インド・ニューデリーにある在インド日本国大使館にて、駐インド日本国特命全権大使 小野啓一大使の主催のもと「日本産酒類とインドカレーのペアリングディナー」が開催されました。
本イベントには、インドのホテル業界や飲食業界の関係者、ジャーナリスト、インフルエンサーなど、各界でご活躍されている約50名のゲストが招かれ、日本とインド、二つの国の食文化と伝統の融合を楽しみに、多くの期待と関心が寄せられていました。
私もこの貴重な機会に、登壇者として参加させていただき、日本産酒類とインド料理のペアリングの魅力をお伝えするお手伝いをさせていただきました。
イベントの構成
イベントは2部構成で行われました。
【第1部】
イベントは小野大使より歓迎のご挨拶より始まりました。大使はご挨拶の中で、インド赴任前に受けられた日本酒に関する研修で出会った弊社団顧問平出様のご紹介で、弊社団代表理事の大西さんとご縁ができ「日本酒とインドカレーのペアリング体験」を共にしたことが、このイベント開催のきっかけとなったと語られました。その温かな想いが込められたご挨拶に、感謝の気持ちでいっぱいです。
続いて、私・2023 Miss SAKE Japan 山田琴子から自己紹介をさせていただき、Miss SAKE全体の活動についてもご紹介いたしました。これまで国内外でどのように日本産酒類の魅力を発信してきたか、また、文化や地域とのつながりの中での活動についてお話しさせていただきました。
次に、2024 Miss SAKE Indiaとして任命されたMenakaa Raiさんが登壇され、インドにおけるMiss SAKEのこれからの展望や、酒文化を通した国際交流への想いを語られました。
さらに、翌日に開催される「2025 Miss SAKE India」大会を主催される株式会社サブヒロハマコーポレーション 代表取締役 本多康二郎様よりご挨拶があり、インド国内でも日本酒に対する関心と期待が高まっていることを改めて実感いたしました。
そして、第1部の最後には、私から「日本産酒類の講義」と「日本酒とインド料理のペアリング体験」を行わせていただきました。
日本酒×インド料理の新しい可能性
日本酒講義では、日本酒の2000年以上ある歴史と文化のこと、ユネスコ無形文化遺産への「伝統的酒造り」の登録による文化的重要性や、味わい・香りの楽しみ方などをご紹介させていただきました。
ペアリング体験では、以下の2つの日本酒とインド料理の組み合わせをご紹介させていただきました。
- 山形県・千代寿虎屋酒造『大虎 大辛口純米』 × Malabhari Fish Curry / Palak Kofta
- 鳥取県・千代むすび酒造『純米強力60』 × Murg Do Piaza / Dal Makhani
前者の『千代寿 大虎 大辛口純米』は、その名の通りキレのあるドライな味わいが特徴です。スパイスがしっかり効いたMalabhari Fish Curryや、スパイシーながらもまろやかなPalak Koftaと合わせることで、料理の辛味と旨味をすっと洗い流し、口の中をリセットするような清々しさを演出してくれました。インド料理の濃密な味わいの後に、日本酒が繊細な余韻を残すという、このコントラストが非常に印象的でした。
そして『千代むすび純米強力60』は、鳥取県の強力米を使用した芳醇でふくよかな味わい。玉ねぎとトマトの旨味が凝縮されたMurg Do Piaza、豆の深いコクが際立つDal Makhaniとともに口に含むと、日本酒の旨味と料理の風味が見事に調和し、豊かな味のレイヤーを感じることができました。料理と日本酒が一体となって広がる味わいは、まさに至福のペアリング体験でした。
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日本産酒類の多様性を伝える難しさとやりがい
今回の講義とペアリング体験を通して、私が特に感じたことは、日本産酒類の魅力を伝える「言葉の選び方」の重要性です。
会場にはワインに非常に詳しい方も多くいらっしゃいました。テロワールや酵母、製法の違いなどをワインと比較しながら説明する中で、私自身も多くの学びをいただきました。
一方で、日本酒に初めて触れる方もいらっしゃったため、香りの楽しみ方や温度による味わいの変化、そして酒器による印象の違いなど、基本的なポイントについても丁寧にお伝えするよう努めました。
また、WSET SAKE Level 3の講義で学んだ専門用語やテイスティング表現を活かしつつ、伝わりやすく、かつ文化的背景も織り交ぜながら、ゲストの皆様が「もっと知りたい」と思っていただけるよう心がけました。
今回は、日本酒だけでなく、焼酎、泡盛、味醂といったその他の日本産酒類についてもご紹介させていただきました。初めて日本産酒類に触れる方にも、決して敷居が高くなりすぎないよう、文化としての意味やユネスコ無形文化遺産にも登録されていることを含め、分かりやすくお伝えできるよう務めました。
講義の終了後には、「今後ぜひインドのレストランで働くソムリエに向けた講義もお願いしたい」とのお声がけをいただき、日本産酒類が海外で注目され、次のステージへ進んでいく手応えを感じることができました。
【第2部】
第2部では、小野大使より乾杯のご発声をいただき、乾杯酒には山形県・出羽桜酒造の日本酒「純米大吟醸 雪女神 48」が提供されました。華やかな香りと軽快な口当たりが、会場の雰囲気をさらに華やかに彩ってくれました。
その後は、立食形式での日本産酒類とインド料理の自由なペアリング体験がスタート。大使公邸の料理人によるインド風日本料理や、現地の有名レストランが提供する本格的なインド料理とともに、来場者の皆さまは日本酒・焼酎・泡盛を自由に組み合わせながら楽しんでいらっしゃいました。
お料理を通じての交流が自然と生まれ、国境を越えた食文化の対話の場となったことが印象的でした。
最後に
この度の「日本産酒類とインドカレーのペアリングディナー」に参加させていただきましたこと、心より感謝申し上げます。
Miss SAKEとしての活動を通じて、私はこれまでに何度もインドを訪問する機会に恵まれてきました。そのたびに、多くのインドの皆さまと日本酒を囲んで交流を重ね、笑顔と対話を共有してきました。
そうした経験の積み重ねの中で、今ではインドという国が、私にとってもかけがえのない、大切な場所となりました。日本酒がつなぐご縁によって育まれた関係に、心から感謝しております。
本イベントの開催にあたりご尽力いただきました在インド日本国大使館の皆さま、心温まるご配慮をいただきました小野大使、Miss SAKE India 主催者 本多様、Miss SAKE関係者の皆さま、そして会場であたたかく迎えてくださったすべてのゲストの皆さまに、改めて深く御礼申し上げます。
今後も日本産酒類の魅力を世界へと伝える架け橋として、誠実に、そして情熱を持って活動を続けてまいります。
2023 Miss SAKE Japan
山田琴子