皆さまこんにちは。
2024 Miss SAKE 茨城 井上綿乃でございます。
2024年5月26日に第18回ナデシコプログラムが開催されました。
今回もたくさん学びを得ましたので、その内容を共有させていただきます。
今回は以下について講義をしていただきました。
- 最終選考会に向けての準備(一般社団法人Miss SAKE 事務局長 中村信次郎様)
- 国税庁特別プログラム「国税庁・鑑定官の仕事と日本酒のサイエンス」(武藤彰宣(むとうあきのり)様 酒類国際技術情報分析官)
〇最終選考会に向けて
いよいよ最終選考会まで2週間を切りました。この約3か月で各々が磨き上げてきた個性をどうアピールするか、中村様にアドバイスをいただきながらブラッシュアップする時間をいただきました。
私はというと正直自分らしさというものをどのようにアピールすべきか決めかねており、答えが出ないままにこの時期を迎えてしまっております。悩み続けて挑んだ本日、中村様のアドバイスをいただきながらも最終決定まで届かずにいたところ、その悩みを共有したファイナリストのメンバーが親身になって内容を考えてくれました。学生時代の友人とも職場の人とも家族とも違う仲間たちと本当に温かい関係の中で切磋琢磨できていることを実感し、これまでの約3か月間が非常に意義のあるものであったことを実感いたしました。残された貴重な時間は2週間足らずです。戦友たちとの関係も大切にしながら精いっぱい駆け抜けてまいりたいと改めて思いました。
〇国税庁・鑑定官の仕事と日本酒のサイエンス
日本酒と関りの深い国税局のお仕事のお話を、酒類国際技術情報分析官の武藤彰宜様にご講義いただきました。
国税庁は、全国に14拠点約55,000人の職員を擁する組織です。身近なようでそのお仕事の詳細はあまり知られていないのではないでしょうか。
国税庁の主な任務は、①内国税の適正かつ公平な賦課および徴収の実現、②酒類業の健全な発達、③税理士業務に関すること、の3つ。酒税収入は明治32年には国税収入の首位となり、現在でも国税収入の1.6%を占めている景気変動の影響を受けにくい安定した財源であるため、②の酒類業の健全な発達が重要な任務に位置付けられています。
そして酒類に関する業務を行っているのが明治29年に大蔵省で初めて設置され現在は国税庁で活躍されている「鑑定官」です。鑑定官の方が所属する国税庁技術系の任務は、①課税物件の分析鑑定、②種類業者への産業支援、③酒類の品質及び安全性の確保をとおした酒類の品質と安全性の確保です。日本酒の品質保証を行うことで、日本の国酒としてのブランド力向上に貢献されています。
日本産酒類の輸出額は、2023年にアメリカの景気などの影響を受け若干減少した者の、近年は増加傾向にあります。2023年の実績で1344億円にも上る全体の輸出額の中で、清酒は約30%にあたる410億円を占めます。国税庁では、ブランド化の促進、酒蔵ツーリズムの推進、販路開拓支援、国際的プロモーションなど様々な輸出促進策を通して日本の酒類産業の発展を目指されています。その一環としてこの度、Miss SAKEへの特別講義も実施いただきました。
これだけ国の運営レベルで重要な清酒、その品質はもちろん味や香りに現れるので、感覚的な味や香りを評価するための鑑定士という方々の存在が重要になります。今回のなでしこプログラムでは清酒の香りを表す「フレーバーホイール」を用いて、官能評価の体験をさせていただきました。このホイールでは、香りと味わいの関係性が体系化されており、客観的な評価ができるように造られています。
テイスティングの際によく耳にする「りんごのような香り」「バラのような香り」という表現がありますが、今回の講義ではそれぞれの香りが何という物質の香りで単体ではどのような香りがするのかを試験薬を用いて学ばせていただきました。単体で香るとはっきりとしていてシンプルな香りたちですが、実際の日本酒ではこれらのノートが強弱緩急豊かに混ざり合って鼻腔へ届きます。鼻の先に全神経を集中させて上立ち香をみ、口に含んで口の中の含み香をみ、舌の上の口当たりをみて後味のキレを見ます。この度は8種の日本酒を評価してみたのですが、全身の神経を鼻と舌に集中させて比較してみると似ているようで個性のある日本酒の幅の広さを改めて感じられました。複雑な香りの組み合わせを見分けるのは大変難しく、鑑定官の高度な技術力に感銘を受けました。
この度いただいたお酒は以下の通りです。
・出羽桜 桜花吟醸酒(出羽桜酒造株式会社)
・純米吟醸 浦霞禅(株式会社佐浦)
・満寿泉 純米(株式会社舛田酒造店)
・月の桂 京都 祝80%(株式会社増田徳兵衛商店)
・多満自慢 純米無濾過(石川酒造株式会社)
・出羽桜 枯山水 三年熟成(出羽桜酒造株式会社)
・多満自慢 ふわる白 純米吟醸(石川酒造株式会社)
・白鶴 淡雪スパークリング(白鶴酒造株式会社)
今回の講義を受けて、日本酒が文化的な側面だけでなく経済などの面でも非常に重要なポジションを昔から占めてきたことを知り、そしてそれを守り発展させていくために国税庁の方々が繊細な仕事をされていることを学びました。Miss SAKEの取組をしていく中で非常に重要で貴重な学びの機会をいただきました。ご講義いただき、誠にありがとうございました。