Miss SAKE News/Blog

能登半島にて被災した伝統工芸作家を応援するチャリティオークション・カンファレンス『NOTO TSUGI 2024』へ2023 Miss SAKE Japan 山田琴子が伺いました

皆さま、こんにちは。

2023 Miss SAKE Japan 山田琴子です。

4月26日(金)に東京の青山グランドホテルにて、C2 KANAZAWAさま主催にてチャリティトークセッション、チャリティオークション『NOTO TSUGI 2024』が開催され私も参加をさせていただきました。

このイベントは、今年初めに発生した能登地震の被害に遭われたアーティストや作家さん、職人さんを支援するために開催されました。

現在能登では、有名な輪島塗を含め、多くの伝統工芸家の方が工房や制作道具を全て失い、制作活動も出来ず避難生活を余儀なくされていらっしゃいます。そんな日本の伝統を継いでくださる方々を支援するためにこの度『NOTO TSUGI 2024』が開催される運びとなったそうです。

このイベントによる収益は全てNPO法人文化都市金沢構想様へ寄付され、そこから、伝統工芸作家さんへ支援がいくそうです。

イベントは、3部に分かれており、1部では4つのテーマにおいて、著名なアーティストや文化人の方々が今回の能登の震災に関わるお話をくださいました。2部では、著名なアーティストや文化人の方より「誰かに継いでいきたい品物」をご出品いただきオンラインにて開催されるチャリティオークションの素晴らしい品の数々をアーティストさん自らご紹介くださいました。そして最後に、アフターパーティーとして登壇くださった方々と直接お話をする機会がございました。

この日のイベントは、The Breakthrough Company GO 代表取締役 三浦 崇宏様 、フリーアナウンサー 宇賀 なつみ様の司会の元に始まりました。

初め、実行委員長であります株式会社福光屋 十四代目 福光 太一郎様より開会のご挨拶がございました。その中で印象的であったのは、福光様が「このイベントを前向きなものにしたい」とおっしゃっていたことです。

トークショーにも参加されているAFRODE CLINIC 道下 将太郎様は、この支援をアーティストの方への「心の起爆剤」としたいとおっしゃっておりました。

<トークセッション>

イベントの前半には、さまざまな専門家による4つのトークセッションが開催されました。4つとも、今後生きていく上で、大変考えさせられる内容のトークで、参加者にとって大変深い学びの場となりました。

私も拝聴させていただきましたので、内容をご紹介させていただきます。

トーク①生命/医療

一つ目のトークは、「死に関わる仕事」というタイトルで、AFRODE CLINIC 道下 将太郎様、京都にて15万人以上の方に座禅指導を担当されている臨済宗建仁寺派両足院 副住職 伊藤 東凌様により始まりました。

トークでは、お医者様であります道下様と、住職である伊藤様による「死」について改めて考える時間となりました。

「死」に対して生の方向からアプローチするのは医療で、死の方向からアプローチするのが宗教であるそうです。この医療と宗教の間である「死に目」が現在は、きれいに分かれてしまっているため、現在「死」に対して恐怖やマイナスな感情を持つ方が多いですが、死に目をグラデーションと捉えることで、より死を恐れずに受け入れることができるのではないかと大変考えさせられるお話でした。

また、「自立」と「孤独」についてのお話もございました。仏教では自立についての教えが多いそうで、自立は一人で孤独に生きる「孤立」ではなく、頼れる方を知って行動することができることをいうそうです。道下様によると、心の中の動きを可視化することができ、言語化できる方が自立されている方の特徴で、それは大成されていらっしゃる方も皆様されている大切な認知だそうです。

また、最後には納得感を持ち生きることそして、ストレスを軽減するための手法を教えていただきました。それは、頭を空っぽにする時間を作ることだそうです。例えば、ジムでトレーニングしている間はそのことに集中できるため頭を空っぽにできるため、自分ではコントロールできない思考を止めることができるそうです。求めすぎて、それがストレスになってしまうことが多い現代社会で、自分の変化に気づき、人を頼り、自分の思考に停止をかけられることの重要性を教えていただきました。

トーク②現地の状況レポート

二つ目のトークは、元々杜氏・蔵元をされていらした参議院議員 宮本 周司様、輪島に工房があったという漆芸家 桐本滉平様、石川県の建設会社の株式会社家元代表取締役 羽田和政様より能登半島の地震発生時の様子と現状を共有いただきました。

宮本様より、能登半島の地震の現状を写真と共に教えてくださいました。奥能登では、電波の通信がとまり、周りの状況が全くわからなかったそうです。その中、宮本様は県の方々をまとめ上げ、人命救助に重要である72時間にいかに早く情報伝達と意思決定を実行するかを最優先に行動されたそうです。災害対策本部は4時間に一度開催され、次のどのような行動をとるべきかを随時起きる新しい出来事に対応しながら対応されたそうです。地震の被害の規模が大きく、道路もまだ大型車は通れない状況でまだ個人のボランティアの方の車を止める場所などが確保できていない状況だそうです。宮本様によると、ボランティアを石川県が公式に募集しているため、ボランティアを希望の方は是非そちらからお手伝いいただきたいということでした。

桐本様は地震発生時にご家族で初詣をするために輪島市内を運転されていたそうです。地震発生時は、電波がとまり情報を得ることができず、車も歩いて周りを確認しながら一番近くにあった公民館へ向かわれたそうです。輪島市は昨年の12月に普段の60倍となる大雪がありその大雪の復旧の途中で、大雪で倒れた倒木を手分けをしながら切り、焚き火を作り暖をとったそうです。その後桐本様は、車のナビゲーションに移ったニュース番組の映像でご自宅が燃焼している様子を初めて知り、やっとついたご自宅の側では、火災で温度が上がっており、車から出ると息が出来ないという発生当時の様子を教えてくださいました。そんな中、桐本様はSNSでの発信を続け、職人道具の寄付を募り、日本中より届いた道具の譲渡会を行い、輪島市のアーティストの方々がお仕事ができるよう支援をされていらっしゃいます。漆芸家でいらっしゃる桐本様にとって道具が手元に来るだけで、復興できるのではないかという希望を感じることができたそうです。桐本様は、現在被害を逃れることができた方々の作品を販売されているそうなので、是非ご覧ください。

羽田様は、多くの個人の方からの支援物資を受け入れる立場として発生直後は行動をされていたそうです。ですが、電波が止まっていたことによる情報不足により、どの支援物資がどこにあるのかがわからず困る被災者の方を多くご覧になったそうです。羽田様は、仮設住宅も建てていらっしゃいます。復興支援という形で、4ヶ月経った今でも仮設住宅を建て続け、支援を続けられている羽田様のような方がいらっしゃるからこそ、助けられている方がいらっしゃるのだなと思いました。また、ペット連れの被災者の方が情報不足のためペット連れで入れる避難所を見つけられず、冬の寒さの中車中泊をしていらっしゃる場面も多くあったそうです。羽田様は、ご自身もペットを飼われておりこのような震災時の情報不足を防ぐために、日本全国のペットを受け入れてくれる避難所の一覧が簡単に閲覧できるアプリを作成する予定だとお話しくださいました。

最後に、3名の方に皆様へ向けてのメッセージをいただきました。

宮本様によると、支援をされたい方は石川県の直接の義援金窓口に募金をいただくのが良いそうです。また、桐本様によると多くの地元の酒蔵様などがクラウドファンディングを行なっているため、そちらも是非検索いただき、これを能登工芸品を知っていただく機会としても広げて行きたいとおっしゃっておりました。また、羽田様からはこの度の出来事を踏まえて全国の方々により防災の意識を高めるきっかけとして欲しいとお言葉をいただきました。

トーク③情報/発信

3つ目のトークは、ワンメディア株式会社 代表取締役CEO 明⽯ ガクト様、 株式会社せーの 代表取締役 ⽯川 涼様、 株式会社水星 代表取締役 龍崎 翔⼦様二より「災害時の情報リテラシーと非被災者ができること」をテーマにお話をいただきました。

まず、災害時の必要な情報リテラシーについてご紹介をいただきました。能登半島地震の中でXにて誤情報や嘘の寄付依頼が多く発生しましたが、これは今後無くすことはできないため、一つ一つの情報を見極めていくことが大切だと教えていただきました。この時に重要なのが発信者が誰であるかということです。信頼のできる情報発信をされている方なのかを確認すること、そして信頼のない発信者の情報を疑いの目を持つことが大切だそうです。

その後、SNSでの慈善活動の報告についてのお話もいただきました。応援したいという気持ちと、応援をより多くの方にもしていただきたいという気持ちで行ったSNSでの発信への誹謗中傷に対してどのように対処すべきなのかについてもお話になりました。私もMiss SAKEとして、自分で「飲んで応援」というLINEスタンプを応援のために自分で手で描き作成したのですが、これを作ったことをどのようにSNSにてご紹介すれば良いのか大変悩んだことを思い出しました。SNSで多くの方の目に触れる場所に発信するからこそ、様々な方への配慮を持ちつつ、自分の信念を持って発信をしていく重要性を考えさせられました。

トーク④持続可能な工芸の発展

最後のトークの登壇者は、丹青社 B-OWNED プロデューサー ⽯上 賢様、美術史家/京都女⼦大学 教授 前崎 信也様、 漆芸家/彦十蒔絵 棟梁 若宮 隆志様、 竹工芸家/アーティスト 田辺竹雲斎様の4名でした。

初めトークでは、彦十蒔絵についてのご紹介がございました。彦十蒔絵は輪島の多くの職人さんによって一つの作品を作り上げます。震災後、多くの職人さんが金沢に避難したため、いつ輪島市に帰れるかわからない中ではあるけれども、金沢で仮の工房を作り職人さんを集め、制作作業を続けられているということを若宮様より教えていただきました。復帰は、ご自身のお金で行われたそうでトークの中でこのような職人の方を応援するためにどのようにしたら良いか石上様に伺いました。石上様曰く、応援の方法は2つあり、一つは作品を知り購入すること。そしてもう一つはこのような伝統工芸の価値を知らない若い世代の方への教育を行いリテラシーをあげることだそうです。復興、そして継続して伝統工芸を守るためにはこの技術を引き継ぐ次世代の育成が重要で、田辺様はまさにご自身の工房にて多くの若手の育成をされていらっしゃるそうです。「教育こそ力である」というお言葉は大変印象的でした。

輪島塗は全盛期に比べ、2016年には売り上げが1/4程度になってしまっており、若宮様は震災にて元の輪島塗に戻すことを目標にするのではなく、現状にあった新しい仕組みにする必要があるのかをしっかりと考えないといけないとおっしゃいました。若宮様、田辺様はこのように新しいマインドセットで伝統工芸品の新しい形に挑戦されている方々だそうです。「融合する工芸展」という名前で、竹と彦十蒔絵を合わせた作品や、数式と竹のコラボレーションなど大変多くの新しい作品をもう10年間も作り続けているそうです。

<チャリティーオークション>

大変はっとさせられることが多くご来場の皆様が大変考えさせられた学びの多いトークセッションののち、チャリティーオークションが開催されました。

会場では、オークションに出品されている素晴らしい作品の数々が直接その作品を作られた職人様により制作への想いやどんな方へその作品を「継いで」行きたいかを伺いました。

中でもこの日の目玉商品はトークショーに参加されていた、漆芸家/彦十蒔絵 棟梁 若宮 隆志様がお持ちくださった、漆塗りの「あの年の夏は・・・」という作品です。全て木と漆によって作られているこの作品ですが、特に衝撃的だったのが包丁の部分です。

見た目は金属そのものですが、様々な漆塗りの技法を使い分けることで、一つの作品の中に多くの違った質感を表現されており、その職人技に大変感動をいたしました。

この作品は、同世代の輪島市に住まれていた女性の方が作られたそうで一緒にお写真をご一緒させていただきました。

チャリティーオークションはまだオンラインにて継続しておりますので、是非皆様も素晴らしい作品の数々をご覧になってみてください。

https://nototsugi.com/

1月の能登地震より4ヶ月が経った今、被災者の方々はまだまだ避難所での生活を余儀なくされております。能登地方にございました酒蔵も半数が倒壊し、お酒が作れない状態になっており、次お酒が作れるようになるには8年はかかるだろうとのことです。

地震直後だけでなく、継続した支援や応援の言葉や気持ちが被災者の方への復興へ何よりも大切になるということを教えていただいた1日となりました。

募金をする、ボランティアで赴く、応援の言葉を送る、地震への意識を高める等支援は様々な形がございます。それぞれの方がご自身のできること、得意なことにて応援をできたらと思います。

 

福光様、C2 KANAZAWAの皆様、この度は大変貴重な気づきの場に参加をさせていただきまして、誠にありがとうございました。

 

2023 Miss SAKE Japan

山田琴子

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