皆様こんにちは、2024 Miss SAKE Japan 南侑里です。
2025年4月25日に三重県大台町・奥伊勢の地に佇む「スタージョンロハス」を、一般社団法人日本キャビアソムリエ協会 会長 出口彰様、酒乃店もりした 森下巧麻社長、一般社団法人日本キャビアソムリエ 協会 理事も務めておられます弊社団 大西美香代表理事と共に訪問させていただきました。
ご案内くださったのは、株式会社オーシャン・トラスト 代表取締役、Sturgeon LOHAS 代表でいらっしゃる辻 良様。今回澄んだ清流と深い緑に囲まれた場所にある三重県初となるアクアポニックス事業の現場を見学させていただきました。
アクアポニックス
皆様、アクアポニックスという言葉をご存じでしょうか。
魚の排せつ物を微生物が分解し、その養分を植物が吸収、植物が浄化した水が再び魚の水槽に戻る──農薬や化学肥料を一切使わない、自然界の縮図のような循環型農法です。1980年代にアメリカで研究が始まり、いまや世界各地で注目されるこの仕組みを、三重県で最初に導入されたのが辻様です。
辻様は1989年、三重県漁業協同組合連合会に入会され、世界初のクロマグロ専用餌料の開発、国内外での養殖事業の立ち上げや再生プロジェクトなど、日本の水産業の最前線を歩まれてきた方です。2008年に株式会社オーシャン・トラストを設立し、日本初の「おさかなマイスター」第1号(登録認定No.0001)となり、2021年には地元三重で新たにスタージョン(チョウザメ)の養殖とクレソンの水耕栽培を組み合わせた「スタージョンロハス」を立ち上げられました。
私たちが訪れた奥伊勢・始神川のほとりは、「日本一の清流」と称される宮川の支流。その美しい流れの中で育つスタージョンたちは、生き生きと輝き、まさにこの地の奇跡の水によって育まれていることを感じさせました。水槽は常に動き続けることで水が腐らず、農薬も一切使っておりません。なぜなら、育てた水はそのまま魚たちのもとに戻っていくからです。この小さな生態系は、人と自然が共存する理想の姿を教えてくれているようでした。
見学では、アクアポニックスで育てられたクレソンの試食もさせていただきました。その柔らかさと、ほんのりとした甘みに驚きました。また、スタージョンに直接触れ、ザラザラとした独特の肌触り、歯のない愛らしい顔立ちを間近で拝見できたことは、忘れがたい体験です。
「奥伊勢キャビア」
ここ奥伊勢で生まれるのが「奥伊勢キャビア」。最高級キャビア「ベルーガ」の血筋を引き継ぐベステル種の卵から、卵径3ミリ以上の大粒だけを厳選し、こだわりの岩塩を極少量加えて仕上げることで、キャビア本来の濃厚でクリーミーな味わいが際立ちます。その一粒一粒には、始神川の澄んだ水、奥伊勢の自然、そして辻様の情熱がぎゅっと詰め込まれていると感じました。
そして「キャビア・フィッシュ」とも呼ばれるスタージョンの白身は、欧州や中国では栄養価の高い高級食材として親しまれています。まったく癖や臭みがなく、必須アミノ酸やコラーゲンが豊富で、美味しいだけでなく健康や美容にも嬉しいヘルシーな食材。スタージョンロハスでは、飼育から製品加工に至るまで徹底した品質管理を行い、家庭でもさまざまな料理で楽しめるよう届けられておられます。奥伊勢の自然が育んだこの隠れたグルメは、まさに知る人ぞ知る逸品です。
人と自然が手を取り合い、持続可能な未来の食を築いていく──そんな挑戦の現場に立ち会えたことを、心から光栄に思います。温かく迎えてくださった辻様に、心より御礼申し上げます。
奥伊勢の自然が育むキャビアとスタージョン、そしてアクアポニックスという未来志向の挑戦。ぜひ一度、皆様にも調べてみていただきたく思います。
2024 Miss SAKE Japan南侑里