皆様こんにちは。 2024 Miss SAKE Japan 南侑里です。
先日、兵庫県姫路市にある株式会社 本田商店を訪問させていただき、5代目蔵元 本田 龍祐様にご挨拶をさせていただく機会に恵まれました。 お忙しい中、試飲のご案内までしてくださり、貴重な体験をさせていただきました。
本田商店
本田商店は、1921年に兵庫県姫路市網干区で創業した酒蔵で、主要銘柄「龍力(たつりき)」で知られています。その歴史は元禄時代にまで遡り、代々播州杜氏の総取締役を務める家系として酒造りに深く関わってきました。「龍力」の名称は、初代社長がインド仏教の高僧・龍樹菩薩(ナーガールジュナ)の伝説にちなんで命名し、「百薬の長」となる良い酒を作りたいという願いが込められています。本田商店は「米の酒は米の味」という理念のもと、原料米に強いこだわりを持っておられます。酒造好適米である「山田錦」を使用し、地元兵庫県の特A地区である社(やしろ)、東条(とうじょう)、吉川(よかわ)の各地域で栽培された米を厳選しておられます。これらの地域の土壌や気候の違いが米の品質に影響を与え、それが酒の味わいに反映されると考え、テロワール(風土)の研究にも力を入れています。 また、2020年11月には「龍力テロワール館」を開設し、これまでの研究成果やテロワールの重要性を発信しておられます。
土に注目した酒造り
本田社長のお話で特に印象に残ったのは、酒造りにおける「土」の追求。この追求は龍力の「Tatsuriki Terroirシリーズ」に体現されていました。今回の試飲では、このシリーズの中から「Tojo」、「Yokawa」、「Yashiro」の3種類を並べて味わう機会をいただきました。
試飲を通じて最も驚いたのは、土壌の違いによる味わいの変化です。 同じ酒米、同じ製法で醸されたお酒にもかかわらず、土壌が変わるだけでまるで性格の異なるお酒が生まれるのです。例えば味わいが最初から強く前に出てくるものもあれば、あとから静かに追いかけてくるような深みを感じるもの、空間にふわりと漂うような軽やかさが印象的なものもありました。これらの違いを味わいながら、酒米を育てる「土」の力の大きさを改めて感じるとともに、酒造りの奥深さに心から感動いたしました。
終わりに
本田商店を訪問させていただき、日本酒の新たな可能性と向き合う、かけがえのない時間を過ごすことができました。本田社長が語られた「土」という視点から日本酒を見つめる哲学は、これまでにない新鮮な発見と深い感銘を私に与えてくださいました。「土」という基盤を通して生まれる風味や個性が、いかにして一杯の酒に込められるのかを知ることで、日本酒の世界がさらに広がりを見せたように感じます。
また「Tatsuriki Terroirシリーズ」を通じて体験した味わいは、まさに「土」そのものが語りかけるようで、自然と造り手の情熱が伝わってくる忘れられないひとときとなりました。
本田社長、そして本田商店の皆さま、このたびは素晴らしい機会をいただき誠にありがとうございました。
2024 Miss SAKE Japan南侑里