皆さま、こんにちは。2025 Miss SAKE Japan 館農知里です。
10月9日(木)、2023 Miss SAKE Japan 山田琴子とともに、松尾大社(京都府京都市)にて開催された「令和7年度 酒サムライ叙任式」及び、京懐石 美濃吉本店 竹茂楼(京都府京都市)にて同日開催された「酒サムライサミット 2025」に出席させていただきました。
「酒サムライ」について
「酒サムライ(SAKE SAMURAI)」は、日本各地の若手蔵元で構成される日本酒造青年協議会により2005年に創設された称号です。日本の伝統文化が日常から離れつつある現代社会において、「日本酒」を通じて日本人の精神や美意識を見つめ直し、その価値を国内外に広めることを目的としています。この称号は、日本酒文化の発展に貢献した人物に授与され、2025年10月時点で叙任者は108名にのぼります。酒サムライは、「日本の美しい文化を愛し、日本酒を愛する」「日本酒文化をより深く理解し、その発展に尽くす」「情熱と誇りをもって日本酒を広く世界に伝える」という三か条を理念に掲げ、日本酒を通じた国際交流や文化振興の分野で活躍しています。その活動は、日本酒が持つ伝統と革新の力を世界に伝える重要な役割を担っています。
photo by Keisuke IRIE
2025年度 叙任者のご紹介
叙任式当日には、澄み渡る青空が広がり、心地よい風が吹く一日となりました。京都で最も古い神社のひとつであり、酒造りの神様が祀られる「松尾大社」にて、「令和7年度 酒サムライ叙任式」が執り行われました。はじめに本殿での正式参拝が行われ、祝詞の奏上やお祓い、巫女舞など、厳かな雰囲気の中で神事が進められました。その後、拝殿にて日本酒造青年協議会会長の北原対馬氏をはじめ、協議会関係者の皆さまより開会のご挨拶がありました。
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式典では、以下3名の皆様が新たに「酒サムライ」として任命されました。お名前を呼ばれた方々は、一人ずつ「酒サムライ三か条」の宣誓を行い、筆を手に取り就任の署名を行いました。新たな「酒サムライ」の誕生に、会場には温かな拍手が送られました。
黒川豪人(クロカワアキト)氏
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オーストラリアを拠点に日本酒の輸出・普及に取り組む専門家で、「SAKEMATE」を立ち上げ、現地での日本酒流通を牽引されています。2025年には柴田屋グループのオーストラリア支社運営にも携わり、現地飲食業界とのネットワークを通じて日本酒市場の拡大に貢献しています。日本酒を「文化体験」として世界に届けることを使命に、講演やイベントなど幅広い活動を行っています。
〇氏名:黒川豪人(クロカワアキト)
〇職業・役職等:
日本酒の輸入及び卸し業者「Gojin Enterprise Pty Ltd」代表取締役社長。
「柴田屋オーストラリア」 Sales Director。
日本酒オンラインショップ「Sakemate/酒友」代表。
日本酒バー「Sakedokoro Namara」オーナー。
日本酒ボトルショップ&角打ち「Kurabito-Sake Shop-」発起人。
〇活動拠点:オーストラリア、日本
遠藤烈士(エンドウツヨシ)氏
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オーストラリア・シドニーを拠点としつつオーストラリア生活情報ウェブサイト「JAMS.TV」の代表取締役として、日豪間の文化交流と情報発信を行われてきました。日本食や日本酒を通じた地域活性・国際理解の促進にも尽力され、メディアと実業の両面から日本酒文化の価値を広め、海外での日本ブランドの発信に力を注がれています。
〇氏名:遠藤烈士(エンドウツヨシ)
〇職業・役職等:
JAMS. TV Pty Ltd Managing Director、ジャムズジャパン株式会社 代表取締役社長。
オーストラリア酒アワード協会 代表理事。
在豪 30年、オーストラリア酒フェスティバル主催、オーストラリア国内で日本酒普及に向けた試飲会、即売会、商談会、セミナーなど多数主催。その他、訪日観光PRや在留邦人向け支援事業を通じ日本文化を伝える活動を行なっている。
〇活動拠点:オーストラリア
管怡宣(カンイセン・アレックス)氏
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台湾出身の日本酒研究家・プロモーターとして活動されてきました。半導体業界から日本酒の道へ転じ、台湾と日本を結ぶ文化交流の架け橋としての役割を担われています。台湾における日本酒教育やイベント企画にも積極的に取り組み、アジア地域の日本酒普及における新たな潮流を牽引しています。
〇氏名:管怡宣(カンイセン・アレックス)
〇職業・役職等:
伊台貿股份有限公司董事長兼総経理。
台湾清酒暨燒酎研究協会 理事長。
台北市酒類商業同業公会 清酒・焼酎代表理事。
約10年間の日本駐在勤務を経て帰国後、伊台賀份有限公司を設立し、日本酒・焼酎の輸入、教育、酒蔵ツーリズムの推進に尽力。SS1 酒匠、JSA認定講師、酒類総合研究所官能評価セミナー・JSS Academy 修了。
日本城郭検定・神社検定三級保持。航空会社日本酒アドバイザーやコラム執筆、170回超の講演を通じ、日本酒の魅力と歴史・文化の発信、台日酒文化交流のけ橋として活動を続けている。
〇活動拠点:台湾
世界各地の日本酒の「今」を知る
同日午後より、京懐石 美濃吉本店 竹茂楼にて「酒サムライサミット 2025」が開催されました。同会では、アメリカ・ヨーロッパ・アジア・オセアニア地域の代表者によるスピーチとともに、テイスティングを通じたディスカッションが実施されました。
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ジョン ゴントナー(John Gauntner)氏「アメリカで生産している清酒の現状」
在住されているアメリカにおける清酒の現状について教えていただきました。現地では、現在およそ20社ほどが、日本酒を生産しているそうです。今回は、「①大規模な確立された醸造所」「②中規模醸造所」「③小規模なクラフト日本酒醸造所」という3つの切り口から、優れた設備や経験豊富な指導者の重要性を主軸に、アメリカにおける清酒の現状が語られました。また会場では、以下の2銘柄のテイスティングが実施されました。
① Proper SAKE Co.(アメリカ・テネシー州)「Spirit Guide」
山廃本醸造(生酒) 、アーカンソー州産タイタン米使用、精米歩合65%、Alc 16-18%
② Motoi(アメリカ・ミネソタ州)「Another Dalliance」
純米吟醸、アーカンソー州産山田錦使用、精米歩合57%、Alc 16%
アケ ノルドグレン(Ake Nordgren)氏「北欧地域における清酒」
北欧地域の日本酒の現状と今後の展望について興味深いお話を伺いました。特に、スェーデン国内における日本酒輸入・普及のリーディングカンパニー「AKEBONO」でのご自身の活動や取扱商品について、そしてトックホルムで今年開催された「STOCKHOLM SAKE FESTIVAL」について貴重なご講義をいただきました。会場では、以下の2銘柄のテイスティングが実施されました。
③WAKAZE(フランス・パリ)「THE CLASSIC」
純米酒、カマルグ産地米、精米歩合90%、Alc 13%
④Brooklyn Kura(アメリカ・ニューヨーク州)「Junmai Shu Dry hopped」
純米酒(ドライホップ)、カルローズ米、精米歩合55%、Alc 14%
ミッキー チャン(Micky Chan)氏「日本および海外における日本酒の最前線」
日本酒輸出において、金額・量ともにトップ5に入っている「香港」を中心に、日本と周辺アジア諸国における日本酒の最新動向についてご講義いただきました。特に消費という点に着目した上で、国によって酒類別消費構造に大きな違いがあることや、訪日外国人の増加に着目したデータ分析が重要であることなど、多くの貴重な学びをいただきました。振舞われた銘柄は、以下の通りです。
⑤天衡 tenhen(台湾)
純米原酒一回火入れ、「花蓮吉野一号」米、精米歩合70%、Alc 10%、ワイン酵母
⑥Wu-Feng Ji-Qing(台湾)
純米酒、イーチュエン香り米(Yiquan Fragrant Rice)、精米歩合60%、Alc 15%
シモーヌ メイナード(Simone Maynard)氏「オーストラリアにおける日本酒」
訪日オーストラリア人観光客の増加や日本文化人気の高まりを経て、成長を続けているオーストラリアにおける日本酒市場についてご講義をいただきました。特に、オーストラリア各都市で開催される「Australian Sake Festival」などの日本酒イベントや日本酒教育による認知の高まりにより、日本酒レストラン以外でも日本酒が消費されているという点には非常に驚きました。今回は以下の2銘柄をご用意いただきました。
⑦MELBOURNE SAKE(オーストラリア・メルボルン)「TM」
純米無濾過生原酒、タチミノリ(Tachiminori)米、精米歩合約90%、Alc 14%
⑧全黒 ZENKURO SAKE(ニュージーランド・クィーンズタウン)「JUNMAI GINJO」
雫搾り純米吟醸、富山県産五百万石、精米歩合60%、Alc 14%
世界各地から参加されたスピーカーの皆様からは、現地ならではの貴重な視点を交えつつ、日本酒の最新動向について貴重なお話を伺うことができました。中でも、ある地域では日本酒愛好家層の中で限定的に楽しまれている一方で、別の地域では一般市民にまで認知が広がりつつあるなど、日本酒の浸透の度合いには大きな幅があることを改めて学びました。こうした違いを知ることは、Miss SAKEとして世界各地に日本酒の魅力を発信していく上で、非常に学びの多い経験となりました。
また、国や地域を問わず共通して感じられたのは、日本酒が単なる飲み物ではなく、日本を代表する文化や現地における生活様式の一部として愛されているという点です。その一方で、設備導入や杜氏育成といった現実的な課題を抱える地域があることも示され、日本酒文化の持続可能な発展には多角的な支援や工夫が不可欠であることを強く認識しました。今回の学びは、日本酒普及における現状と深く向き合う上で大きな示唆を与えてくれるものでした。
photo by Keisuke IRIE
今回の「令和7年度 酒サムライ叙任式」及び「酒サムライサミット 2025」を通して、日本酒が単なる飲料にとどまらず、文化や歴史、国民意識と深く結びついたものであることを改めて実感しました。また、世界各地における日本酒の現状や課題を学ぶことで、今後日本酒文化の魅力を国内外に広める活動において、より具体的で戦略的な取り組みが求められていることを強く感じました。今回得た知見や刺激を胸に、今後もMiss SAKEとして、日本酒を通じた文化交流と地域支援の架け橋としての活動をさらに深めてまいります。
2025 Miss SAKE Japan 館農知里
















































