皆様こんにちは。
2023 Miss SAKE 岡山 中島咲希です。
第106回備中杜氏自醸清酒品評会に参加してまいりました。大変貴重な機会に参加させて頂き誠にありがとうございました。
備中杜氏自醸清酒品評会は、なんと全国で2番目に古い、歴史のあるお酒の鑑評会です。
新酒の品評会である第1部と、市販酒の品評会である第2部に分かれており、私はそのうちの第2部にて審査員を務めました。
第1部は「備中杜氏組合員の自醸清酒で、令和4酒造年度の新酒(原酒)」が対象です。
こちらは広島国税局、岡山県工業技術センターのプロの方々が利き酒をされ、評価を行います。
第1部は以下のような結果となりました。受賞された酒蔵様、おめでとうございます。
第1部
- 最優秀酒造場:白菊酒造
- 最優秀杜氏:白菊酒造 三宅 祐治 様
- 第二位杜氏:酔心山根本店 半田 尚 様
- 第三位杜氏:宮下酒造 岡﨑 達郎 様
- 15年連続出品賞:丸本酒造 丸本 仁一郎 様、板野酒造本店 板野 文伸 様
- 松尾大社顕彰状:白菊酒造 三宅 祐治 様
第2部は第1部の審査員に加え、一般審査員として、全農岡山県本部 小原様、日本酒ライターの市田様、そして2023 Miss SAKE 岡山 中島が審査を務めました。
審査には以下のような制限があります。
- 岡山県産米を100%使用した自醸酒
- カプロン酸エチル高生産性酵母を使用した清酒の出品は不可
- 清酒分類(純米・吟醸・山廃・生酛など)及び醸造年度の制限なし
清酒分類や特徴など判断基準となる表示はなく、ランダムにお酒が並んでいます。また、出品酒の特性を紙、香味バランス、冷酒燗酒想定含めての総評価をするようにとの注意点がありました。
一番いいと思ったものに「1」の番号をつけ、そうでもないと思ったものに「5」の番号をつけるという5点法による審査のスタイルです。
第2部の品評会の制限項目である「カプロン酸エチル高生産性酵母を使用した清酒の出品は不可」について説明します。
一般的に吟醸香に含まれるマスカットのような華やかな香りには、カプロン酸エチルという香気成分が含まれています。品評会で賞を取るようなお酒は、フルーティで華やかなカプロン酸エチルをたくさん生産する酵母が使われていることが多いです。
さて、岡山のお酒の特徴は「旨口」と言われます。お米の味わいをしっかりと活かした、味のある美味しいお酒づくりをされている酒蔵様が県内にはたくさんいらっしゃいます。
備中杜氏の力量をもってすれば、カプロン酸エチルの香りに頼らずとも本当に旨い酒が作れるはず!と言うことでこの第2部の審査項目が決められたそうです。
私はつい先日のナデシコプログラムにて国税庁特別プログラムを受講し、吟醸香や欠点臭の嗅ぎ分けや、テイスティング方法など日本酒の品評の方法について学んできたばかりでしたので、早速実践が出来ると思い、一生懸命品評させて頂きました。
まず1回目は28種類のお酒をすべて評価いたしました。
ずら〜っと並んだお酒から、スポイトで適量を自分のコップに移し取り、色、香り、口当たり、濃度、甘み、酸味、苦味などを確認したあとに、吐器に出して余韻を確認いたしました。
このときに、このお酒は燗をつけるといいかもとか、冷やすとより美味しくなりそうなどのことを考えながら飲み比べをしました。
28種類ものお酒を飲み比べたことがなかったため、一つ一つ丁寧に確認をしていたら、あっという間に規定の1時間が経ってました!その後点数を記載した紙を提出し、集計を待ちます。
一審目が終わると、二審目は16種類に絞られました。これらのお酒を再度、同様に審査します。
二審目のお酒を一通り飲み終えた時点で、一審目のときに私が美味しいと思ったお酒がなくなっている・・・などと少し悲しみを感じながらも、美味しい岡山のお酒を飲み比べていきます。
一審目では少し時間をかけすぎてしまったため、二審目はテキパキと試飲することを心がけました。また点数を書いた紙を提出し、集計後の三審目では9種類のお酒に絞られました。
三審目は最後なので、丁寧に時間をかけて審査を行いました。どのお酒も口当たりがなめらかでとても美味しく、優劣がつけられずに大変評価が難しかったのですが、はじめに備中杜氏組合会長の原様から頂いた、「難しいことは考えずに美味しいと思ったお酒を選んでほしい」というお言葉を思い出しながら評価を行いました。
評価の紙を提出し、控室で結果を待ちます。評価をした側でありながら、この時点ではどの酒蔵様がどのお酒を出品されているか全く知らない状態でしたので、ドキドキしながら結果を待っていました。
第2部はこのような結果となりました。受賞された酒蔵様、おめでとうございます。
第2部
- 第一位:山成酒造(井原市) 純米 蘭の誉
- 第二位:宮下酒造(岡山市) 純米大吟醸 天地(あめつち)のかなで
- 第三位:平喜酒造(浅口市) 喜平 純米吟醸 木桶仕込
- 第四位:落酒造場(真庭市) 特別純米 RISING 60
- 第五位:嘉美心酒造(浅口市) 嘉美心 純米吟醸
広島国税局 鑑定官室 室長 江村様より、昨年は酒造りの時期に2度ほどとても寒い時期があり天候が良かったとは言えない中で、このようにきれいでまとまりのあるお酒づくりをされたことは素晴らしいという品評のお言葉がありました。どんなコンディションでも旨い酒を作る事ができる備中杜氏の技術力の高さに、改めて感動いたしました。
表彰のカップにはこれまでに最優秀賞を受賞されてきた酒蔵様の名前が刻まれたリボンがたくさんかけられており、106回という歴史を感じることが出来ました。
最後に、品評会で出品されたお酒を自由に飲むことが出来る一般開放が行われました。
仕事帰りの方や地元の大学生なども足を運んでくださり、大変賑わっておりました。第一部の出品酒は私も頂いていなかったので、ここぞとばかりにたくさん楽しませて頂きました!
岡山にはこんなにもたくさん美味しい日本酒があるということを、県内の人に知ってもらうためにこのような飲み比べの機会があることは素晴らしいと思います。日本酒の裾野を広げ、より一層日本酒の魅力をお伝えするために、我々Miss SAKEも尽力していきます。
この度は貴重な機会をいただきありがとうございました。またお会いできる日を楽しみにしております。
2023 Miss SAKE 岡山 中島咲希