皆様こんにちは。
2021 Miss SAKE の松崎未侑です。
第17回 2022 Miss SAKEナデシコプログラムが実施されました。
第17回 2022 Miss SAKEナデシコプログラム
【日程】2022年6月18日(土)10:00〜17:00
【会場】石川酒造、酒坊
【講義】
■ 日本酒学センター副センター長/経済科学部准教授 岸保行様
「世界初・新潟大学発「日本酒学(Sakeology)」の挑戦 -世界的なSakeの研究・教育拠点を目指して-」
■ 慶應義塾大学医学部産婦人科 内田明花先生 「将来の妊娠に向けて〜今からできるカラダづくり」
■ 株式会社かまわぬ専務取締役 高橋基朗様様「手拭い講座」
■ 「BBQ&SAKE」@酒坊
日本酒学センター副センター長/経済科学部准教授 岸保行様「世界初・新潟大学発「日本酒学(Sakeology)」の挑戦 -世界的なSakeの研究・教育拠点を目指して-」
根拠に基づいた日本酒の価値と課題の表現者。
東京大学でものづくりに特化した研究を経て、ものづくりからサプライチェーン、消費者への価値提供の循環システムについて学ばれたのち、
現在は新潟大学の日本酒学センター 副学長を務める岸保行先生にお越しいただきました。
*写真撮影の時のみマスクを外しております
新潟大学 日本酒学センター
文系から理系まで10の学部があり総合大学である新潟大学。
2018年4月に新潟大学、新潟県、新潟県酒造組合の連携により、
大学において選択肢の一つとしての日本酒ではなく、日本酒の多面性に特化した「日本酒学」が世界で初めて新設されました。
日本酒にまつわる学問はこれまで、酒類総合研究所や東京農業大学での醸造学、発酵学を含める応用微生物学が主流でした。
しかし、日本酒造りは醸造機器など工学に加え、消費の世界、流通、地域性、ビジネスなどのPRも、欠かせない要素です。
これらを包括的に学べるのが、「新潟大学 日本酒学センター」です。
日本酒を取り巻くあれこれを、醸造ユニット、社会・文化ユニット、健康ユニットの3つの分野に分類し日本酒の高度人材育成を行います。
学部生向けの教養科授業ではなんと、日本酒学講座が履修希望者1000名を超えたほどの人気で、
2022年4月からは大学院修士課程「日本酒学プログラム」が始動し、2023年からは博士課程も始動予定と、事業拡大に目が離せません。
教科書『日本酒学講義』が先日出版されましたので、日本酒学の詳しい内容が知りたい方はぜひご覧くださいませ。
海外とは、フランスのボルドー大学と、ナパバレー近くのカリフォルニア大学デイビスとも協定を締結。
国内では、日本酒代表として新潟大学が、日本ワインを代表する山梨大学と、焼酎を代表する鹿児島大学とも連携をして、学びを加速させ、影響力を拡大させていきます。
地方創生と日本酒
岸先生は地方創生における「キラーコンテンツ型」と新潟における日本酒の可能性について熱く語ってくださりました。
キラーコンテンツは他県、世界と戦うための武器となります。魅力的な観光資源が沢山ある場所でも、来る目的を作ることによって、実際に来訪を促し現地で様々な魅力に触れてもらうということ。入り口は狭くも、出口は広く、魅力が伝わるのです。
日本酒は農業、工業、芸術、デザイン・エンタメ、消費と、重曹的、拡張的な世界観を持っています。
また、近年のモノ消費からコト消費への消費者の傾向の意向に伴い、
日本酒の中にある「物語の世界」「意味の世界」は多くの人の心を動かす起爆剤になるのだと言います。
高級で洗練された「Sakeツーリズム」を通して、日本酒の世界を体験してもらうことこそ、日本での素晴らしい経験となり、帰国後の日本酒消費にも繋がっていくのです。
講義の中では専門的なマーケティング用語でもある「アンバンドリング」や「winning to pay: 買いたいという市場価値から値付けをして限定流通する」手法、「日本酒の形式値化(言語化)」など、世界の酒類の事例を交えながら、今後の日本酒の発展に必要な要素を惜しみなくご教示くださりました。
本講義を通して、岸先生の情熱と、知見の深さ、視座の高さ、聞く人を飽きさせることなく惹きつけるプレゼンテーション能力に感銘を受け、
このように素晴らしい先生のもとで学ばせていただける機会を持ちたいと強く感じました。
事実を細分化して現状や課題を理解をしながら、夢を掲げて未来を創造する岸先生は
数時間の講義のみでの関わりではありましたが、今後の人生においても模範とさせていただきたいメンターのような存在でした。
新潟からお越しくださり、誠にありがとうございました。
慶應義塾大学医学部産婦人科 内田明花先生
「将来の妊娠に向けて〜今からできるカラダづくり」
「女性の社会進出の促進」をミッションの一つに掲げるMiss SAKE。
今回は、女性と社会との関わりで切っても切り離せない「妊娠」や「女性臓器」についてご講義を賜りました。
講師は、不妊治療をはじめとして子宮関連が専門の慶應義塾大学医学部産婦人科 内田明花先生。
病院という激務の中で、社会の最前線で活躍されてこられた女性にお話を伺えるということで、心待ちにしていた講義でした。
講義内容は専門的で、多岐にわたりました。
☑︎月経のメカニズム
☑︎子宮筋腫と妊娠、子宮内膜症と痛み
☑︎低用量ピルの種類と血栓症
☑︎子宮頸がんの若年化、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
☑︎女性ホルモンと骨粗鬆症
☑︎不妊治療、先天性風疹症候群(胎児の目や耳に影響がある)
講義を通じて改めて子どもが生まれるということへの奇跡や、出産までの過程の複雑さ、細胞分裂による生命の神秘を再認識いたしました。
2022年4月以降、不妊治療は回数制限や年齢制限等の条件があるものの、保険適応になりました。
対外治療は1回につき100万円程度かかるものが、一部負担されるということで平均初婚年齢が29.6歳と晩婚化している日本人の背中を大きく押してくれるような制度改革です。
不妊治療には複数の段階があります。
一般不妊治療:排卵などのタイミングを相談する > 人工授精や排卵誘発剤、手術 > 体外受
また実は、14人に1人は体外受精の胚移植だという調査もあります。
妊娠率は35歳がピークであることから、29歳から35歳くらいの間で出産への希望がある人は一度は相談に行くことが推奨されています。
今後多くの女性がお世話になる可能性のある不妊治療について学ぶ機会を頂戴し大変有益な時間でした。
また、妊娠前のケアとして、プレコンセプションケアについてご教授いただきました。
具体的には適正体重の管理、禁煙、アルコールを飲みすぎない、葉酸を摂取、適度な運動、感染症防止のためのワクチン接種、家族の病気を知る、歯のケア、将来設計をするなどです。
妊娠の予定が直近でない人もクリニックに行き、性感染症の検査が多いブライダルチェックや、ホルモン系の検査が多いファティリティチェック等で自身の身体について知っておくのも、将来に対しての心構えができそうです。
身体と心と年齢と意思。
全ての条件に目を向け、将来について考え直す貴重な機会になりました。
株式会社かまわぬ専務取締役 高橋基朗様様「手拭い講座」
明治時代に染料が入ってきて始まった、日本独自の染色技術「注染」という技法。
これを駆使して、現代でも手ぬぐいを生産し続け、伝統を守っているのが株式会社かまわぬ様です。
注染は一度に多くの量を染色できるということで広まり浴衣の着色にも使われていたのだとか。
排出時には、染料は化学反応で中性にした後に、外へ流すので環境負荷も低いのです。
地球を汚さず彩を楽しめる、今の時代にぴったりの技法ですね!
講座後半では実際に、幅広いてぬぐい活用方法を伝授いただきました。
ファイナリストの皆さんは慣れないモノ包みに苦戦しながらも粋な手ぬぐいアレンジに心躍らせていました。
夕飯の際には、BBQだったこともあり皆洋服に着替えて準備をしていると、私服と合わせてオシャレ手ぬぐいアレンジ大会が始まりました。
ゲストハウス酒坊の廊下で音楽をかけて、まるで学園祭のような雰囲気でした。
かまわぬ様は東京に7店舗、名古屋名駅に1店舗展開されていますので、是非本ブログ読者の皆様もお立ち寄りくださいませ。
https://kamawanu.jp/shop/
「BBQ&SAKE」@酒坊
夕飯は「BBQ&SAKE 岡山県スペシャル」。
岡山県産の千屋牛と、雄町米の日本酒で食卓が賑わいました。
千屋牛
日本の和牛のルーツであり、日本最古の蔓牛(つるうし)の系統を受け継ぐ黒毛和種である「千屋牛(ちやぎゅう)」をご用意いただきました。
千屋牛は「晴れの国」岡山県新見市が発祥。
中国山地の恵まれた自然環境の下で、江戸時代からの歴史と伝統を守りながら改良を重ねている最高級の牛肉なのです。
見事な霜降りでサシの入り方が芸術的。
赤身も絶品で、柔らかくお口に広がるお肉らしい味わいの虜になっているファイナリストが沢山いました。
千屋牛の出荷先や、お得なキャンペーンにつきましては「千屋牛振興会」のページをご覧ください。


雄町米と日本酒
日本古来の原生種酒米「雄町」、その誕生は1859年まで遡ります。
発見された土地名(備前国上道郡高島村字雄町)が付けられた山田錦の祖先でもあるこの「雄町」は、
栽培が難しいことから一時期生産量が激減し「幻の米」と呼ばれるようになりました。
全国的にまだ作付けは少なく、収穫量の約9割を岡山県産が占めています。
全国農業協同組合連合会岡山県本部HP:https://www.zennoh.or.jp/oy/product/rice/omachi/
雄町米から造られる日本酒は大地の力強さを感じさせる、ふくよかなお米の味わいが特徴で、
稲刈り時には全長170cm程度にまで成長するため、広大な土地と肥沃な農地が必要な品種です。
今回の日本酒は「これが雄町なのか!」と驚くようなフルーティー純米大吟醸があり視野が広がり、雄町らしいコクのある純米酒もあり、お肉とのジューシーを引き立て合う相性に感動いたしました。
他にも全国からファイナリストが自慢の日本酒を有志で持参してくださり、各県の地酒&酒の肴自慢プレゼンテーションが繰り広げられました。
私も今回は全国選考会への景気付けに、昨年の日本大会で頂戴した月の桂純米大吟醸Miss SAKEラベルを持参し、みんなでいただきました。
盛り沢山の1日もこれでお終い。
学びに溢れた土曜日を過ごさせていただきました。
今後の人生にも活用できる、長く覚えておきたい数々の知識をご提供してくださった講師、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
松崎未侑