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「第18回 ナデシコプログラム レポート」 2023 Miss SAKE 山梨 宍戸美憂

皆様、こんにちは。
2023 Miss SAKE 山梨 宍戸美憂です。

第18回目のナデシコプログラムについてレポートを提出させていただきます。

今回は、神奈川県海老名市にある泉橋酒造に伺い、代表取締役 橋場友一様による蔵見学、Miss SAKE 特別プログラムを受講しました。

泉橋酒造の信念は「酒造りは米作りから」。

泉橋酒造のお酒は酒米作りから始まります。酒蔵の隣に46haの田んぼが広がっています。全て泉橋酒造の持ち物です。そこでお米作りがスタートします。こうした酒蔵のことを「栽培醸造所」と呼びます。

美酒を醸すには、まず良い酒米が必要不可欠。ここに、泉橋酒造の哲学があります。

良い米を作るために、美味しい米を育む「土づくり」、安全で環境にやさしい「減農薬栽培」、より良い精米をするための「整粒歩合の向上」、この3点を大切にしています田んぼや生産者ごとに精米方法を変えることで、その米の特徴をもっとも活かしたお酒を醸していくということです。

橋場社長よりスタートしたというお米作りは、山田錦と雄町、楽風舞の3種類を作られています。

さらに、泉橋酒造は「さがみ酒米研究会」という原料米の研究・栽培会を組織しています。

地元の酒米生産者、JAさがみ、神奈川県農業技術センターの協力のもと、海老名市、座間市、相模原市にまたがる約46ヘクタールもの(2019年度時点)面積で、原料米を栽培しています。
このエリアで、酒造りに使用する原料米の90%以上をまかなっています。このうち、約8ヘクタールは泉橋酒造自らで栽培しているのです。

とても膨大な量です!

また、泉橋酒造が作るお酒は「純米酒100%」です。

では、どのくらいの量のお米を作っているのでしょうか?

そもそも、お酒180リットルを造るのに1石のお米を使います。
キログラムに直すと150キログラムです。
泉橋酒造では、1000石のお米を作っているそうです。

お米もドローンや気象センサーを使うなど、最先端の技術を使いながら管理されています。

さらに、酒蔵の見学もさせていただきました。

まずは精米所。自社でお米を作っているからこそ、こだわりがたくさん詰まっておりました。
かなりの量の酒米があるにも関わらず、機械が一つしかなく、今後もう一台導入するかもしれないとお話がありました。

純米酒を作るにあたり吟醸系を作る時は、2週間削り続けることもあるそうで、他のお酒を作ることが出来なくなってしまいます。

海外輸出を考えるとコストもかかりますが増やすしかないのかな、と思ってしまいます。

酒蔵もとても綺麗で広く、様々な発見がありました。

まず、お米を蒸す際の機械の大きさ。
2つ機械がありそれらをお米や温度によって使い分けています。煉瓦の窯があるのも、ものを大切にされてきていることが伝わります。

麹室の中も見せていただきました。

やはりあつくて乾いた部屋を作るため部屋の背が低く、全て木で作ったお部屋になっています。

なぜこうした部屋にするのか?

それは、子孫を残すために麹が水分を求めて中に入り込んでいくためです。
それを昔の日本人は見つけていたと思うと感激しました。

さらに、泉橋酒造様では、麹蓋を使用していました。

麹蓋は秋田杉を使っていて、毎年少しずつ新しいものを購入し取り替えているそうです。

そんな麹蓋についてですが、使う理由も聞いてみました。

まず理由として、用途がたくさんあること。
例えば、蓋として使い、空気を入れないようにしたり、空気を入れたい時は隙間作り通り道を作るなど、その時々に合わせて使えることがとても良いとのことです。

機械のプログラムでやるとお米そのものの違いがわからないこともあるので、こういうお酒を作る!と思想があるとベストな機材です。

また、特徴としては、真ん中の木をラウンドさせてお米を乾かしやすいようにしています。

ただ、木のカスが入りやすいのと工程が多いのはネックで甘酒を作る際はとても気をつかうそうです。

泉橋酒造様では、山廃仕込みを選択されています。自分たちですりおろし、丁寧に仕込まれています。

機械に頼ることもできるにも関わらず、自分たちの感覚を大切にされていることにとても感動しました。

続いて、絞りの工程についてご説明がありました。

泉橋酒造様は、「槽」を使用されています。

なぜヤブタ式ではなくなのか?

理由はシンプルで、とにかく衛生的だからです。
絞るたびに洗うことが出来ます。ヤブタ式ですと全てを洗うことが難しいことがあるため、消費者を思いを選択されています。

さらに、荒走り、中取り、攻めが明確にできるからにしていることも理由のひとつです。攻めの部分だけは別に絞るそうですが、その訳は酵母が死んで最後に出す動物性の成分がお酒をダメにしてしまう可能性があるからだということです。

丁寧さがとても伝わります。

またタンクを冷やす際に使われているのが、サーマルタンクとジャケットタイプのものです。サーマルタンクはとても賢く、自分で温度を調整するので楽ちんです。

最後に、泉橋酒造様のお酒もいただきました。想いが詰まったお酒だからこそ、口に含んだ時に優しさを感じることが出来ました。

トンボとヤゴのラベルもわかりやすいですよね。

たくさんの機械を使ってはいるが、機械だけじゃ無くて自然にしようよってなり始めている傾向も強いので少しずつ変わっていくのかもしれないとお話もありました。

また、橋場社長は酒蔵に入る前は証券マンで自分がいつかは蔵に戻ると決めていたもののなかなか気持ちが入らないこともあったそうです。
その時に「夏子の酒」が放送され、感激しお米から作ることを決意しました。

1995年に戻ってきて、自分が変えなければならないと思い、海外をモデルにしてお米からお酒を作り始め、ワイナリーのような酒蔵を作り始めたそうです。

現在は37歳の社内杜氏がいたり、世代は変わりつつあるものの、お米作りは年齢が上がっていることもあるので、課題も隣り合わせです。

橋場社長が仰っていた言葉で、

「はじめなきゃはじまらない」とありました。

自分が当事者意識を持っていることもありますが、変えていく気持ちが無ければ行動には移せません。わざわざ手間がかかることを選択し、丁寧にお酒を醸されている姿は私も私生活を見直すきっかけになりました。

この度は貴重な機会をありがとうございました。

2023 Miss SAKE 山梨 宍戸美憂

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