講義内容
- 和紙梳き体験:小津和紙 北村様、田中様
- 江戸切子作成体験:江戸切子の店華硝 安藤様
皆さまこんにちは、2023 Miss SAKE 岡山 中島咲希です。
ナデシコプログラム第7回目の本日は、江戸文化を学んでまいりました!
インバウンドが盛り上がりを見せ、外国人旅行者に人気の高いエリアでもある日本橋はお客様も多く大変賑わっていました!そんなお忙しい中講義を頂いた小津和紙様、華硝様本当にありがとうございました。
東京観光をほとんどしたことがない私にとっても、江戸文化を体験できるとのことでとても楽しみにしていました。
まずは小津和紙様にて和紙梳き体験を行いました。
小津和紙様は承応二年(一六五三年)創業の東京・日本橋にある和紙の専門店です。
https://www.ozuwashi.net/
はじめに本美濃紙という、東京オリンピックの賞状の紙としても使用されたという、岐阜県美濃市で飛鳥時代から続く美濃和紙の作り方について説明いただきました。
原料には「こうぞ」という植物が使用されています。
紙の原料とするため、長い繊維が出来るように脇芽や余分な枝を切り取って栽培をされています。
以下にその後の工程を示します。
1.剥皮(はくひ)
室で蒸し、皮を剥いて白い皮にします。
▼剥く前(左)剥いたあと(右)2.晒し
川の浅瀬などで水に晒し、アクを取り除きます。水の中の酵素と紫外線が反応して漂白されます。3.天日干し
日光に照らして更に漂白します。4.煮熟(しゃじゅく)
炭酸ソーダを入れて煮た後に蒸らします。更に水にさらして漂白します。5.塵取り
手作業で残っている木の皮やゴミを取り除きます。
これは美濃和紙のなかで最も重要な工程で、丁寧に行うことで真っ白な紙が出来上がります。6.叩解(こうかい)
原料を木槌で叩いてほぐします。7.紙を立てる
トロロアオイの根から抽出した「ねべし」と呼ばれる液とほぐした原料を一緒に混ぜます。
これは、紙の密着性を上げるために入れるわけではなく、水中にコウゾの繊維を均一に拡散させるために入れます。8.紙を漉く
簀桁(すけた)という道具を使って漉舟(すきぶね)の中の液をすくい、よこゆり、縦ゆりを繰り返すことで薄くて丈夫な和紙をすくことが出来ます。9.脱水
出来上がった和紙を重ね、上から圧力をかけます。この作業により水分量を60〜65%程度にします。10.乾燥
干し板に紙を貼り天日で乾かします。11.検品
光に透かして選別します。
美濃和紙はこのようなたくさんの手順を経て作られます。
また、原木100kgから出来上がるのはたったの4kg和紙しか出来ないそうです!
手間暇かけて作られた和紙に、そして長年の知識と経験が積み重なって出来上がった素晴らしい技術にとても感動しました。
実際に和紙漉きを体験させていただきました。
まず、漉舟の中の液を簀桁に少し掬い、すぐに流すことで表面をつくります。
次に、縦の繊維を揃えるための縦揺り、横の繊維をつくるための横揺り、再度縦揺りをします。これにより縦と横に繊維が交差する丈夫な和紙となります。
最後にまた漉舟の中の液を簀桁に少し掬い、すぐに流すと、紙漉きは完了です。
嬉しいことに、私は1回で成功できました!
脱水、乾燥を経て完成です。
出来上がった和紙は、ブックカバーとして使用する予定です。
また、小津和紙様では現在「第6回ぴたっこ手作りはがきコンテスト」を実施中です。https://www.ozuwashi.net/event/230401.html
小津和紙様が開発された「ぴたっこ押し花はがき」または「ぴたっこ熱圧着シート」を使用し、押し花や和紙などをはさんで作った作品を応募し、日本画家の先生などが評価してくださるというものです。
私も応募用に1つ(左)、持ち帰り用に1つ(右)作ってみました!
左は「瀬戸内海の春」というタイトルで、岡山県から見える美しい景色を表現してみました!もう一つは実家で作っているみかんとレモンで、両親に宛てたお手紙を書くためにつくりました。
6月30日まで応募受付されているので、皆様もぜひ参加してみてくださいね。
次に、江戸切子の店華硝様にて江戸切子作成体験をしました。
世界中にカットグラスは多々ありますが、特に江戸切子と呼ばれるものは、江戸時代から存在する伝統的な紋様が主に施されており、江戸で作られたものをいいます。
そういった伝統的な紋様は10種類以上あり、一つ一つに魔除けや繁栄などの意味が込められています。更に華硝様では伝統的な紋様だけでなく、独自の紋様の開発にも力を入れておられます。
また、華硝様では紋様以外にも大きな特徴があり、すべての工程を手作業で行われています。とくにその工程の中で最も重要なのが「手磨き」という工程です。大量生産品では紋様を入れた線を磨く工程で硫酸・フッ化水素等を使用した「酸磨き」を採用しています。一方、華硝様ではこの磨きの工程も手作業で行います。実際に見せていただきましたが、手磨きによる仕上げをされている品は硝子の表面の輝きが全く違い、美しい輝きを放っていました。とっても細かい紋様の一つ一つを更に磨き上げるというのは気の遠くなりそうな作業のように思えますが、美しさを追求する職人様の思いに感銘を受けました。
▼磨きの前後を見比べて驚いている様子です
江戸切子に使用する硝子は、元になる中心の部分に透明の硝子が使用されており、それに色ガラスを上から被せた二重構造になっています。
色のついた部分を削ることで、中心の透明の硝子が見え、美しい紋様が現れるというものです。
さて、実際に江戸切子を作成していきます!
グラインダーという機械を使用し、硝子の表面を削り紋様を彫っていきます。すべて直線のデザインですが、力の入れ方が難しくなかなか思ったとおりに行きませんでした。心の乱れがそのままデザインに反映されるような、そんな心持ちがしました。
それでも世界に一つだけの自分で作った江戸切子が完成しました!
自分で作ったものは少々いびつでも愛着が湧きます。これを使って飲む日本酒はきっと格別だろうなと思います!
実際に江戸切子の作成体験を行った後に改めて華硝様の作品を見ると一つ一つの紋様の細かさに本当に驚かされました。全く等間隔で彫られた「米つなぎ」という紋様や、糸のように細く彫られた「糸菊つなぎ」という紋様など、本当に高い技術そして高い美意識がないと作れないものだと改めて感じることが出来ました。
▼米つなぎの手法で作られたランプシェード
最後に事務局長 中村信次郎様、初代 Miss SAKE 森田真衣様による面談を受けました。
面談の中で、「ファイナリスト発表会から1ヶ月が経ちましたがどうですか?」という質問に私はハッとしました。
まだあれから1か月しか経っていないのか、と。
1ヶ月前にファイナリストの皆様とお会いし、ナデシコプログラムを受講してきましたが、皆とお酒の話や色々な体験が出来ることを楽しく思う一方で、求められたことが出来ない自分にがっかりしたり、他の人と比べて私はこれを持っていないなどと落ち込むこともありました。
その時間はとても濃密で、たった1ヶ月ということが信じられなかったのです。
そして、最終選考会まで約2ヶ月に迫ってきました。
きっと、私はこれからたくさん悩むのだろうと思います。それでも、Miss SAKEに応募したときの「日本酒の美味しさを幅広い人達に知ってもらい広めたい」という気持ちに立ち返り、これまでのナデシコプログラムで学んだ美意識、技術、伝統に対する敬意、セルフマネジメントなどを踏まえ、いま私に出来ること、私にしか出来ないことを全力でやっていきます。
初心を忘れず、私を支えてくださるすべての方に感謝します。
2023 Miss SAKE 岡山 中島咲希