皆様、こんにちは。2024 Miss SAKE Japan 南侑里です。
2025年2月17日、宮城県の美しい雪景色の中に佇む、一ノ蔵様を訪問させていただきました。冬の冷たい空気の中、凛とした佇まいの蔵に足を踏み入れた瞬間、そこには静寂とともに、日本酒造りへの深い情熱が感じられました。今回の訪問では、古川税務署長 坂本光一様にご同行いただき、代表取締役会長 松本善文様にご挨拶させていただきました。そして蔵の見学もさせていただくという貴重な機会を頂戴しました。
一ノ蔵様は、伝統を守りながらも常に革新を続ける蔵元です。特に、日本酒の新たな可能性を切り開いたスパークリング日本酒「すず音」は、一ノ蔵様が生み出した革新的な一本として知られています。瓶内二次発酵による繊細な泡立ちと、低アルコールで爽やかな口当たりが特徴で、国内外の多くの方々に親しまれています。
また、フルーティーな甘みと酸味のバランスが絶妙な「ひめぜん」は、和食だけでなく洋食とも相性が良く、食中酒として幅広い料理とマリアージュを楽しめる一本です。一方で、一ノ蔵様は伝統的な酒造りにもこだわり続けており、「一ノ蔵 特別純米酒」は、米の旨味が広がりながらもすっきりとした後味が特徴の、食事とともにじっくり味わいたいお酒です。そして、長期熟成酒「笙鼓(しょうこ)」は、時を重ねることで生まれる奥深い味わいが魅力で、その品質の高さから、東北清酒鑑評会で「評価員特別賞」を受賞するなど高く評価されています。
蔵を訪問する中で特に驚いたのは、圧搾機を計4台、3メーカーのものを導入し、銘柄ごとに使い分けていることでした。通常多くの酒蔵では1種類の圧搾機を使用することが一般的ですが、一ノ蔵様ではそれぞれの酒の特性を最大限に引き出すために最適な圧搾機を選び、繊細な違いを生み出しています。こうした細やかなこだわりこそが、一ノ蔵様の多彩な日本酒の個性を形作っているのだと感じました。
さらに、酒造りに欠かせない道具の一つ「櫂棒(かいぼう)」を持たせていただく機会にも恵まれました。この長い木の棒は、発酵中のもろみを攪拌するために用いられる重要な道具であり、一ノ蔵様では深さ3.5mにも及ぶ大きなタンクの中のもろみをしっかり混ぜるために使用されるそうです。実際に手に取ると、その重さに驚かされました。見た目以上にずっしりとした重量があり、これを使って毎日何度も撹拌する杜氏様や蔵人の皆様の技と体力の凄さを実感しました。酒造りは繊細な技術と経験だけでなく、こうした力仕事の積み重ねによって支えられていることを改めて感じる瞬間でした。
見学後には、一ノ蔵様の日本酒を試飲させていただきました。「すず音」の繊細な泡立ちと爽やかな口当たり、「ひめぜん」の華やかでフルーティーな味わい、「一ノ蔵 特別純米原酒 酒蔵見学限定酒」の力強いコクと深み、「一ノ蔵 特別純米酒 大和伝」の上品な香りとしっかりした味わい、そして「純米大吟醸 松山天」の洗練された滑らかさ。それぞれが異なる個性を持ちながらも、一ノ蔵の酒造りに対するこだわりと、伝統と革新を融合させた情熱がひしひしと伝わる味わいでした。
一ノ蔵の杜氏の皆様が、一滴一滴に想いを込めながら、ただの「お酒」ではなく、「文化」として日本酒を造り続けておられることを肌で感じた今回の訪問。雪景色の中、静かに息づく蔵の空気に触れながら、その歴史と未来に思いを馳せる時間となりました。貴重な機会をいただきましたこと、一ノ蔵の皆様に心より感謝申し上げます。
2024 Miss SAKE Japan南侑里