皆さま、こんにちは。
2023 Miss SAKE Japanの山田琴子です。
春風が心地いい頃となりました4月下旬、神奈川県内の3酒蔵を巡るツアーに、ガイド兼通訳として参加させていただきました。本ツアーは、CHI 2025(Computer-Human Interaction)カンファレンスに参加された、世界中のHCI(Human-Computer Interaction)の専門家・研究者・学生の皆さま約30名を対象に、パシフィコ横浜様が主催、そして東北大学の北村教授が企画くださったものです。
今回のツアーは、東北大学 北村教授が日本の文化をぜひ紹介したいと10年以上にわたり企画をされていたもので、私も昨年横浜赤レンガ倉庫で開催された「Yokohama Sake Square」にてご縁をいただき、今回のご案内をさせていただくことになりました。神奈川県代表のMiss SAKEとして、地元の素晴らしい酒蔵の魅力を、世界中の皆さまに直接お伝えできる貴重な機会をいただき、心から光栄に思いました。
<黄金井酒造>
当日はパシフィコ横浜に集合後、バスでまず厚木市の【黄金井酒造様】へ向かいました。 黄金井酒造は、1818年創業の酒蔵で、「盛升(さかります)」という銘柄で知られています。地元産の米と水にこだわり、丁寧な手づくりで酒造りを続けていらっしゃいます。日本酒以外にも、地元の材料で作られているジンやミード、「さがみビール」も製造販売されていらっしゃいます。
黄金井様より、日本の歴史を感じられる土壁の旧蔵をご案内いただいたのち、現役の新蔵にて酒造りの映像を拝見しました。地元の素材を活かし、毎年のように新酒鑑評会で金賞を受賞されている酒造りに、参加者の皆さまも大変関心を寄せていらっしゃいました。
その後の試飲では、5種類の日本酒を飲み比べながら、精米歩合や酵母、生酒と火入れの違いなどを試飲をしながら黄金井様より教えていただきました。日本酒が初めてという参加者も、黄金井様の丁寧な説明により、酵母や麹について積極的に質問をされる姿が印象的で、ガイドとして大変嬉しく思いました。通訳をしながら、日本酒をきっかけに国境を超えて会話が弾む瞬間に、何度も胸が熱くなりました。
<金井酒造>
続いて訪問したのは、秦野市の【金井酒造様】。 金井酒造は、明治元年(1868年)創業の歴史ある蔵です。代表銘柄は「白笹鼓(しらささつづみ)」。丹沢山系の伏流水と地元の酒米を使用し、やわらかく口当たりの良い酒が特徴です。伝統を重んじながらも、新たな挑戦を続けており、幅広いラインナップが人気です。
金井酒造様では、まさに酒造りの真っ最中で、大変光栄なことにお酒造りの現場を直接拝見することができました。実際に麹やもろみ、蔵に広がる米の香りを体感し、発酵中のぷくぷくと泡立つもろみの姿に皆さん感動されていました。また、金井酒造様のご厚意で、参加者全員が蔵人さんと同じ法被を着て撮影する体験をさせていただきました。
さらに、精米歩合ごとの異なるお米も見せていただき、私から参加者の皆さまへ、試飲とあわせて精米歩合の違いについての解説もさせていただきました。実際の味わいと視覚・嗅覚での体験を重ねることで、皆さまが日本酒の奥深さをより実感されていたように思います。
そして試飲では、「白笹鼓」シリーズをはじめ、SNSでもとても人気の高い「黒笹」や、梅酒などバリエーション豊かな数種類の日本酒をいただきました。どの銘柄も水の柔らかさと米の旨みが感じられ、参加者の皆さまも味わいの違いに興味津々で、メモを取りながら質問を重ねてくださったのがとても印象的でした。
<熊澤酒造>
最後に訪れたのは、湘南・茅ヶ崎にある【熊澤酒造様】。 明治5年(1872年)創業の熊澤酒造は、湘南唯一の酒蔵であり、代表銘柄「天青(てんせい)」が地元茅ヶ崎の方々から長い間愛されていらっしゃいます。
また、熊澤酒造は酒造業にとどまらず、クラフトビールブランド「湘南ビール」の製造や、酒蔵を改装したレストラン「天青」、カフェ、ギャラリー、ベーカリーを展開するなど、地域文化の発信拠点としても注目されています。その多角的な取り組みは、酒蔵の枠を超えた新しい魅力を放っており、国内外から多くの来訪者が訪れています。
こちらでは蔵の中にあるレストラン「天青」にて、熊澤酒造様のお酒とビールをペアリングした素晴らしい夕食をいただきました。ガラス越しに蔵を眺めながらのひとときは、まさに神奈川の地酒文化の粋を感じる時間でした。料理も季節感に溢れ、皆さんが写真を撮ったり、乾杯を繰り返したりと、とても和やかな雰囲気に包まれました。「白ごはんにお味噌汁を食べる姿をアニメでよく見ていたけれど、本当にそれがいただける日が来るなんて」と憧れの日本文化の一面を体験し感動される参加者もいらっしゃいました。
今回お邪魔させていただきました3つの酒蔵はいずれも神奈川ならではの個性が光り、酒造りの姿勢も味わいも異なっていて、参加者の皆さまにとっても忘れられない「日本酒との出会い」となったようです。ツアー冒頭では「日本酒は初めて」とおっしゃっていた方も、帰る頃には両手にお土産の日本酒を抱え、「大ファンになった!」というお声をいただきました。
この日一日を通じて、国や言語の違いを超えて、日本の伝統文化が人の心を通わせる力を持っていることを強く実感しました。そして何より、神奈川県の酒蔵の魅力を、Miss SAKEとして、そして地元神奈川の代表として自らの言葉で世界に伝えられたことに、計り知れない喜びと誇りを感じています。
最後に、この素晴らしいツアーを企画・実施くださった東北大学の北村教授、参加者全員が楽しめるようきめ細やかなサポートくださったパシフィコ横浜の皆さま、そして温かく迎えてくださり、情熱を込めて日本酒の魅力を伝えてくださった黄金井酒造様、金井酒造様、熊澤酒造様に、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
2023 Miss SAKE Japan
山田琴子