2022年秋、瀬戸酒造様の日本酒と一流フレンチとのペアリングディナーイベントが、フランス国内の3つの名店にて行われました。
私は、ノルマンディー地方・ルーアンにある一つ星レストラン “Restaurant Gill” のディナーに参加させて頂きました。
36年以上星付きレストランのシェフを務めてきたGilles Tournadreシェフが開いたこちらのレストランでは、季節の食材のみを使用して良い素材にこだわり、味付けはシンプルにしつつも魅惑的な料理で多くのお客様を魅了しています。
今回は、瀬戸酒造様の日本酒3種類に合わせて、特別メニューをご考案いただきました。
《メニュー(日本語)》
ショウガ風味のトゥルト―蟹にそば粉のガレットを添えて
リベーシュ(山セロリ)風味のラングスティーヌ、カルパッチョ仕立て牡蠣クリーム添え
真鯛のロースト、カブのコンフィとピクルス添え
仔牛とセップ茸
バニラクリームのミルフイユ
洋ナシのコンフィ
日本酒のソルベ
瀬戸酒造様の理想を追求した結晶である純米大吟醸「セトイチ※シリーズ」の『※Omachi』(純米大吟醸酒、精米歩合40%、雄町)に合わせた前菜は、ベーシュ(山セロリ)風味のラングスティーヌ、カルパッチョ仕立て牡蠣クリーム添え。
ラングスティーヌの素材のままの味を生かした繊細な味付けだったので、雄町の良さを最大限活かし、香り穏やかで上品な奥深い味わいの『※Omachi』が、その素材の美味しさを見事に引き立てていました。牡蠣のクリームも良いアクセントになっていて、日本酒がよく合いました。
今回は比較をより明確にするために、白ワイン(Sancerre Blanc « Chêne Marchand » 2018)も同時に提供されていたのですが、ワイン単体では美味しくても、香りが強すぎてせっかくの繊細な料理の味わいを掻き消してしまう印象が強かったです。実際にディナーにいらっしゃっていたフランス人ゲストの皆様が、口を揃えて、これは圧倒的に日本酒の方が合う、日本酒は優しくお料理の味わいを包んでくれるとおっしゃっているのを拝見し、大変誇らしい気持ちになりました。
次に、メインの魚料理である真鯛のロースト〜カブのコンフィとピクルス添えに合わせて提供された日本酒は、『月が綺麗ですね』のAnother Editionとして生まれた『Fly me to the moon』(純米吟醸酒、精米歩合55%、愛山)です。滑らかでふくらかな飲み口で、特にカブの旨味との相性が良く、美味しかったです。
一番サプライズだったのは、メインの肉料理である仔牛とセップ茸に合わせて、『風が吹いたら』(特別純米酒 十水仕込み、精米歩合70%、山田錦)が35度程度のぬる燗で提供されたことです。瀬戸酒造代表の森様によると、こちらのお酒は温めて飲むと少し崩れた印象になるので、温めることを推奨していなかったそうです。口に含むと確かにその印象を感じましたが、仔牛をいただきながら日本酒を味わうと、あえて複雑な味わいを織りなす日本酒が、ぴたりとマリアージュしていて、森様自身も大変驚かれていました。
きっと、経験豊富な素晴らしいシェフだからというだけでなく、良い意味で日本酒の前提知識が少ないからこそ、普通は思い付かない大胆でユニークなアイデアを思いつき、このように思いもしない素晴らしいマリアージュにたどり着いたのだと思います。
このように、一般的にはワインと合わせるはずのフレンチが、日本酒との素晴らしいマリアージュを織りなすということを強く実感でき、大変貴重な経験となりました。
また、これまで日本酒を飲んだことがないというフランス人老夫婦の方が、この料理にはワインよりも断然日本酒が合う!と美味しそうに語ってくださったことも、日本酒の益々のポテンシャルを感じることができ、大変印象的でした。
森様、この度はご招待いただき、誠にありがとうございました。
では、是非フランスで撮影された瀬戸酒造様のプロモーション動画も合わせてご覧くださいませ。
瀬戸酒造様のYouTube、Instagramにて随時更新されております。
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