皆様こんにちは。
2023 Miss SAKE 島根 土倉麻杏(とくらまこ)です。
島根県の奥出雲町と安来市の酒蔵へ表敬訪問させていただきましたのでご報告いたします。
島根県には約30程もの蔵があり、米の産地としても有名な土地。寒暖差が厳しい中で育った米、豊かな自然の中で育まれた超軟水から硬水の名水、出雲杜氏・石見杜氏の高い技術と、酒造りに適した条件が揃っている県です。
また古来より酒造りと密接に関係しており、古事記や日本書紀などの歴史書には、お酒と島根県の逸話が数多く残されており、日本酒発祥の地とされています。
そんな日本酒発祥の地とされる島根県の酒造りの世界に触れてまいりました。
奥出雲町と安来市エリアにて、下記4蔵に伺いました。
【訪問蔵】(訪問順)
・簸上清酒合名会社
・奥出雲酒造株式会社
・吉田酒造株式会社
・金鳳酒造有限会社
簸神清酒様は島根県奥出雲町にある創業300年以上の歴史がある酒蔵です。
簸上清酒合名会社代表であり島根県酒造組合会長の田村明男様に蔵のご案内をいただきました。お会いするのは島根県庁表敬訪問ご挨拶の時以来となり、募るお話をさせていただきました。
・蔵見学
田村会長より順番にご説明いただきました。普段蔵見学を行っていないので大変貴重な内部を見学させていただきました。
「花月蔵」と書かれた建物にて酒造りが行われています。立派な4階建てになっていて、4階が精米から製麴、下へ降りていくごとに仕込み、搾り、貯蔵、瓶詰めとなっています。
花月蔵に入ると大きな「泡無酵母発祥の地」の文字。
簸上清酒様は、泡無酵母発祥の地です。泡無酵母とは今や主流の酵母となっていますが、この酵母が発見されたのが簸上清酒様のタンクでした。
泡無酵母は従来の酵母より発酵力が強く、泡守りが不要であるなどの利点が多いため、現在では全国の酒蔵で採用されており、簸上清酒は歴史的な大発見をした蔵となります。
こちらは品評会用の銘酒玉鋼で使用する斗瓶囲いです。袋取り斗瓶囲いは、醪を袋で吊り、滴る雫のみを斗瓶に囲って蔵の中で低温貯蔵するという丁寧な造りで少量の生産となります。
斗瓶の形は丸みを帯びた雫のような円形の形をしており、大好きな玉鋼の斗瓶を実際に見ることができ大変嬉しく思いました。ここから銘酒「玉鋼」のお酒が誕生します。
・七冠馬の秘話
簸上清酒様の会社には競馬のかっこいいお写真が飾られています。銘柄「七冠馬(ななかんば)」は、日本の競馬界で活躍したシンボリルドルフに由来しており、簸上清酒様の代表銘柄です。
シンボリルドルフのオーナー和田家と田村家のご縁、またシンボリ牧場のルーツが実は島根県ということもということもあるご縁から七冠馬シリーズが誕生しています。そして馬の蹄は縁起がいいこともあり七冠馬シリーズのブランドロゴは七角形をした蹄の形をしています。
・簸神清酒様の玉鋼の由来
簸神清酒様の銘酒玉鋼(たまはがね)という、全国新酒鑑評会5年連続金賞を受賞した大吟醸がございます。蔵見学でも拝見した斗瓶囲いの高級酒です。「玉鋼」の名前の由来は、奥出雲町で盛んだった製鉄業からきています。造られる和鉄「玉鋼」は日本刀の原料として全国に供給されていました。戦後は海外から鉄が輸入されるようになったことで少なくなりましたが現在では、島根県東部にのみ伝承されています。奥出雲町でかつて栄えた伝統を銘酒「玉鋼」と命名し、伝統が今も生き続け名前となって残っています。
最後には、簸上清酒合名会社の田村専務にもお会いすることができ、花月蔵の前で一緒にお写真を撮っていただきました。田村専務はフィリピンのバイヤーの方と商談中でした。バイヤーの方とご挨拶をし、簸上清酒様の日本酒の美味しさが海外へ広がっていることを実感しました。
田村会長、田村専務、お忙しい中お時間を頂戴し、貴重なお話をいただきまして誠にありがとうございました。
奥出雲酒造株式会社営業部長の寺戸様に蔵のご案内をしていただきました。奥出雲酒造様は2004年に設立されたため、蔵には新しい設備が整っていました。
・直売店舗である「酒蔵 奥出雲交流館」
奥出雲酒造様の直売店舗「酒蔵 奥出雲交流館」は、なんと道の駅として登録されています。この直売店舗と隣接して蔵が存在し酒造りが行われています。
奥出雲交流館では、奥出雲酒造様のお酒を試飲できます。また奥出雲酒造様は酒粕のスキンケアやお米のぬか原料のバッグなど多様な商品を製造されているので、奥出雲酒造様の魅力をたくさん発見できる場所です。
島根の特産品のお土産も置いているので一緒にお土産も購入いただけるためお買い物にも最適なところです。
・酒蔵見学
直売店舗のすぐ裏で奥出雲酒造様の酒造りは行われています。
奥出雲酒造様では、すべてのお米が地元の奥出雲町産を使用。奥出雲ブランドと地元の仁多米コシヒカリを使用した仁多米ブランドを代表銘柄としており、地元のお米良さを活かした全量純米蔵です。
奥出雲町は山間に囲まれている町なので、動物も多く生息しているとのこと。米の貯蔵されている場所には動物よけの音が設定されていました。
寺戸様から冬の雪景色のお写真、遭遇した動物のお写真を見せていただきながら、奥出雲町の自然溢れる環境における酒造りのお話をいただきました。
実際に寺戸様も営業以外に酒造りに関わっているとのことで、自家製米の様子から、製麹、仕込み、搾り、瓶詰めまでご案内いただきました。蔵は1階建になっているので各工程が近い場所でスムーズに行われているとのこと。
仕込みタンクを見せていただいたのですが、上から覗いたことは初めて。蔵人がもろみをかき混ぜる際と同じ目線でタンクを覗くことができました。
酒母、麹、水、米をかき混ぜる道具「櫂棒」を見せていただき、下から上に大きなタンクを混ぜるお話を聞きました。大きなタンクを目の当たりにし、大変な体力仕事であることを感じました。
蔵人は落ちないように命綱をつけながら作業するとのことで、危険を伴う場所であることがわかりました。
また寺戸様がこれまで出会った杜氏さんから学んだことを教えてくださいました。その一つに、お酒を造っているのは人間ではなく微生物が造ってくれている、なので微生物が働きやすいような環境を整えているのが蔵人だと。発酵の音を聞きながら微生物が活発になるよう働きかけているとのことです。
蔵のご案内のあとは、奥出雲酒造様の直売店舗「酒蔵 奥出雲交流館」にて試飲をさせていただきました。
飲んでみたかった銘柄「一滴」や代表銘柄である「奥出雲 大吟醸」「仁多米」のお酒をいただきました。
どれも美味しくて、 奥出雲交流館限定で販売されていた秋酒の吟醸酒もいただきました。
奥出雲酒造株式会社営業部長の寺戸様、ご丁寧に蔵のご案内をいただきまして、また美味しいお酒の試飲もさせていただきまして、誠にありがとうございました。
安来市にある吉田酒造様。吉田酒造株式会社 足立杜氏、営業部長である永田様に蔵見学のご案内をいただきました。杜氏から直々に酒造りのお話を聞くことができた大変貴重な機会をいただきました。
・蔵見学
代表銘柄である月山のお酒の特徴といえば、超軟水の仕込み水の華やかな香りが印象的です。香りにこだわった製法のお話を聞くことができました。
去年12月より最新設備が揃った新工場が設立。そこで行われている瓶詰めの工程を見学いたしました。
瓶詰めの際、従来の瓶の口から充填するのではなく、ノズルを瓶底から充填しながらノズルが上がることで瓶内を無酸素状態にし酸化しづらくさせる工夫がされていました。
こちらの方式だとよりフレッシュな状態のお酒を提供できるとのことで新しい技術を採用しておられました。
月山の低アルコールのお酒が多いのは、酵母の良さが一番出る度数が15%台とのことで、酵母が残り過ぎず死滅し過ぎないちょうど良い度数だそうです。月山の華があり透き通る味わいでクオリティが担保された仕込みの秘密を見せていただきました。
月山の特徴の一つである仕込み水について。
全国的にみても吉田酒造様の仕込み水は、湧き出る名水を使用した超軟水。ミネラルたっぷりの水は日本人の体に馴染みやすいとのことです。また島根県の酒米の8割が奥出雲町、安来市含む土地で栽培されています。東部に位置する安来市では地元の契約農家から仕入れ、お米の供給に困らない幸運な土地であることを教えていただきました。
蔵からは、月山の名前の由来である立派な月山の山と冨田城が。そして蔵のシンボルのように佇む月山の煙突。今はもう使用されていませんが、吉田酒造様の歴史の一つとして残されています。
蔵見学後はお酒の試飲させていただきました。
酵母違いや、大吟醸酒、ひやおろし、県内でしか出回らないお酒をいただきました。どれも美味しくて次々と飲ませていただき、月山ならではのキレのよさ、繊細な味わいと香りを楽しみました。
吉田酒造様では、ワイングラスでも楽しめるような香りの良さ、そして日本酒を初めての方にも楽しんでいただけるように、最新設備を搭載しつつ、地元の仕込み水やお米、酵母など素材の良さを活かした酒造りが徹底されていました。
吉田酒造株式会社代表である吉田智則様にお会いすることができご挨拶させていただきました。吉田様、足立杜氏、永田様、この度は大貴重な機会をいただきまして誠にありがとうございました。
金鳳酒造有限会社代表の山本様にご案内いただきました。150年以上の歴史があり山本様は六代目とのこと。
安来市の地元では「山は大山、お酒はキンポー」というCMで馴染みのある蔵。残念ながら今は蔵が稼働していない状況でしたが、Miss SAKEの活動内容や金鳳酒造様のお酒のお話をさせていただきました。
金鳳酒造様は、金鳳純米酒が『ワイングラスでおいしい日本酒アワード 2021』【最高金賞】受賞、
また翌年には金鳳大吟醸酒と金鳳純米吟醸酒がワイングラスでおいしい日本酒アワード 2022』【金賞】受賞されるほど評価されたお酒がございます。
島根県のお酒が選ばれたことは大変喜ばしいことであり、ワイングラスだと金鳳のお酒の香りが立ちやすく繊細な香りを感じられるとのことで、金鳳の良さが際立った飲み方を若い方も海外の方にも楽しんでいただけるといいなと感じました。
金鳳酒造有限会社代表代表取締役 山本様、この度はお忙しい中貴重なお時間をいただきまして誠にありがとうございました。
簸上清酒合名会社、奥出雲酒造株式会社、吉田酒造株式会社、金鳳酒造有限会社、4蔵を通して、島根県のお酒の魅力をまた発見することができました。
島根県は東西に長いため、地域によって風土も違えばお米もお水も違います。それぞれの蔵が土地の良さを活かしながら酒造りをされていました。実際に蔵見学をすると、蔵の方の酒造りへの想いを聞くことができ、その想いをMiss SAKE 島根として伝えていきたいなと感じました。また他の地域の蔵見学に伺いに参ります。
田村会長、田村専務、寺戸様、足立杜氏、永田様、山本様、
快く迎え入れてくださいまして、また貴重なお話をいただきまして、誠にありがとうございました。