Miss SAKE News/Blog

WSET SAKE Level 3 <Advanced Course>第5回講義を、2021 Miss SAKEが受講してまいりました。

皆さま、こんにちは。
2021 Miss SAKEの松崎未侑です。

先日、WSET SAKE Level 3 <Advanced Course>第5回講義を受講いたしました。
WSET SAKE Level 3 <Advanced Course>の概要については、第1回目のブログ記事をご覧ください。

第5回:発酵と日本酒の地域性

全講義の中で最も複雑だと言われるのが「発酵」。
発酵を「酒母(酛)づくり:発酵スターター」と「醪づくり:メインの発酵」に分けて学びました。

<酒母(酛)づくり:発酵スターター>

発酵の酛を造るのに大切なのが、酸度。
もろみの中の乳酸が高いほど、腐る原因となるバクテリアは生存が難しくなります。
発酵の際の酸度を高める方法が2つ:「速醸系」と「生酛系」に分類できます。

「速醸系」が近年の大量生産に対応した主流な方法で、1910年に発見されました。
酒母を作る段階で、乳酸を加えるのが特徴。
発酵初期段階で酸度を高く保てるため、発酵中に腐る可能性が少ないです。温度も温かめにして発酵を速めることができるため、醪づくりを約2週間程度の短い時間と最小人数で効率的に行えます。
旨味や雑味の少ない綺麗な味わいになるのが特徴なので、吟醸酒によく使われます。

一方で「生酛系」は、1600年以降から受け継がれる伝統的な手法で、人工的に乳酸を投入するのではなく、空気中に存在する乳酸菌を活用します。
生酛づくりでは、麹と蒸米を道具ですり潰しながら、お米をピューレ状にすることで麹菌とスターチ(糖)の接触面を増やす作業(山卸)があります。これが重労働で人員と時間がかかるため大変なのですが、お米の旨味が出るのも特徴。

「生酛」の日本酒を造るには、山卸だけでなく、乳酸菌が増殖する「打瀬」、お湯を入れた容器を酒母の中に入れることで糖化を活性化させる「暖気入れ」など様々な工程が酵母を入れる前に必要なのです。

生酛系の「山廃」は「山卸」を省略して造られます。

2週間で酛ができる速醸系の日本酒に比べて、その2倍の4週間がかかる生酛系の日本酒。
乳酸菌の増殖がゆっくりであるため、雑菌が繁殖しないように低い温度でじっくり醸されるのが特徴です。

その結果、日本酒の仕上がりは味わい深く、比較的酸が高くなることも。また、ナッツやキャラメルのような重厚感のあるリッチな香りを特徴として引き立たせる商品も多いです。

最近は生酛系の吟醸酒も出てきており、味わい深さと上品さを両立させることを試みる酒蔵様が出現し始めているのも特徴です。
※生酛づくりの手法は蔵元により千差万別です。
今回はテキスト内容を分かりやすくお伝えしています。

<醪づくり:メインの発酵>

基本的な醪の材料は蒸米80%、麴20%と総重量の1.3倍の水です。

酒母で、一定量以上の発酵を促進するための酵母を育てることができたら、量を増やします。
その際に一度に材料を酒母に加えてしまうと、酵母の働きが追いつかずに雑菌が繁殖してしまいます。
そのため材料を数日かけて、3度に分けて加えるのが、「3段仕込み」と呼ばれる手法。

普通酒は12〜18℃で21〜28日で発酵させますが、吟醸系の日本酒は30〜35日程度かけて低温(8〜12℃)でゆっくり発酵させていきます。

発酵が終わったら3〜5℃に冷やして、酵母の活動を停止させて醪の完成です。
発酵後の醪はアルコール度数が17〜20度程度あるため、この後に加水をして14〜15度くらいにするのが主流です。「原酒」と記載のある日本酒は加水をしていないものです。

テストでは日本酒の特徴が提示され、その日本酒を造るにはどのようなスターターとメインの発酵をする必要があるのかを説明することになります。
蔵元様が計画的な日本酒造りにおいて、発酵の様々なタイミングで温度を調整しながら、適当なタイミングで作業を注意深く行なっているということが理解できる講義でした。

<日本酒の地域性>

ワインの世界では地域性のことを「テロワール」と言うように、日本酒にも地域ごとに特徴があります!

新潟はズバリ「淡麗辛口」。
すっきり軽やかで透き通るような澄んだ飲み口とキレが特徴。

広島はお水が柔らかい地域が多く、際立った香りと酸度と甘味が高いです。
周辺地域もその特徴と類似傾向にありますよ!

お水の回でも取り上げられた京都は「女酒」で知られており、日本酒は繊細で香り高い上品な飲み口の日本酒が多いです。これは伏見の水をはじめとして、京都のお水は硬度が低いことが大きな理由の一つ。

一方で、兵庫は「男酒」で知られており、香りよりも旨味のあるしっかりとしたボディの日本酒が多いのが特徴です。宮水はミネラルが高く比較的硬めであることから、発酵が活発に行われるため、このような特徴が出るのです。

旅行先で地酒を楽しむのが好きな方も多いと思いますが、地域性を楽しめるのもいいですね!

今回のブログも最後まで読んでいただきありがとうございました。
第5回目講義は「発酵と地域性」についてでしたが、ポイントを絞っても長い説明になってしまいました!
WSETの講座を通して学んだ日本酒づくりの基礎知識を噛み砕いて、多くの方にその魅力や複雑さを伝えられるようになるのが真の日本文化アンバサダーだと思います。

緻密な計算が駆使された日本酒造り。私はまだ日本酒博士への道のスタート地点に立ったところです。
今後も等身大の学びにお付き合いいただけましたら、大変嬉しいです。

2021 Miss SAKE
松崎未侑

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