【お寺=生きる意味を問い、生きているという経験を取り戻す舞台環境】
講義:光明寺僧侶 松本紹圭様 ~お寺は良き習慣の道場~
今回のナデシコプログラムでは、浄土真宗本願寺派 光明寺の僧侶、そして『こころを磨くSOJI の習慣』の著者でもあられる松本紹圭様より、お寺の本質・意義に関するご講義を賜りました。
松本様は、僧侶のアクティブラーニングの場である”未来の住職塾”の開講やポッドキャストを通した繋がりの場である、”テンプルモーニングラジオ”といった革新的な取り組みで、仏教界に新たな風 をもたらす”ヤンググローバルリーダー”として活躍していらっしゃいます。
新型コロナウイルスの世界的な流行により世界全体が変化の渦の中にある今、人々が宗教に求めるものも変化しつつあると松本様はお話しくださいました。
「”Post-religion” =特定の宗教に属したい」というよりも、「宗教的なもの(生き方の指標となるような宗教の精神性)」を求める風潮が高まってきているということ。
コロナ禍で「face-to face」の繋がりが困難となったことを経験した今、形だけで何かのコミュニティに所属していても繋がりは簡単に薄れていってしまうということを私自身も身をもって痛感致しました。
自立とは?
”自立とはたくさんの依存先を持つことである”
松本様が引用されていた東京大学理学博士の熊谷晋一郎先生のお言葉です。
『縁』という言葉を大切にしている私の心に、深く染み入るお言葉でした。
人は一人きりで自立していくのではなく、多くの接続先を持つことで自分自身を確立させていくという気づきに、心にストンと落ちるような心地よさを覚えました。
医学生として、自分の家族の一員として、そしてMiss SAKEとして、新たな接続先を作ることができた今、さらに自立した女性へのステップアップができたように思います。
中道(ちゅうどう)とは?
”中道”=二辺のいずれにも偏しない、中正の道。
新型コロナウイルスを筆頭に、常に変化し続けているVUCAワールドにおいて、中道を生きることは非常に難しいことです。
そこで「戒・定・慧」の 三学の教えに基づき、戒=習慣を見直すことが肝心であると松本様はお話し下さいました。
さらに習慣を作るための修行として、”掃除”が最適な方法の一つであるといいます。このお話を伺って、
自粛期間に何かもやもやとした思いが生まれた時に、身の回りの環境を整えるといくらかすっきりと晴れやかな気持ちに変わったことをふと思い出しました。
部屋だけではなく心も整える、掃除 が持つ不思議な力に気づくことができました。忙しい時にこそ掃除をすることで、自分を見つめ直し、よりよく生きるきっかけになるのではないかと感じます。
Miss SAKEは日本酒・日本文化の魅力を発信する伝え手ですが、相手に「伝える」ということを越えて、相手と「接続する」というイメージを持って発信に取り組むアンバサダーでありたいと、ご講義を受けて私は思うようになりました。
松本様、このたびは形式にとらわれない本質的な仏教の教えを学ぶことができる貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。
約2ヵ月半にわたるナデシコプログラムも、第16回を迎えた今回にて最終回となりました。関谷醸造様の酒造見学に始まり、振袖の自装、YouTube動画作成・編集講座、日本が誇る先端技術や伝統工芸など、多岐にわたる多くの学びを深めてまいりました。
医療現場というある意味で狭いコミュニティに身を置いていた私は、日頃の生活では学ぶこと、出会うことができない知識や経験を求めてナデシコプログラムを受講しておりました。
知的好奇心が旺盛な私にとって、週2回の新しい知識のシャワーを浴びる事ができるナデシコプログラムの時間は、大変心地よい刺激的なひとときでした。
ご教授いただいたこと、それを自分なりに解釈し自分の中に落とし込んでいったことで、この2ヵ月半で自らの視野をさらに広げることができたように感じております。
新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の事態の中、この素晴らしい学びの場を準備してくださった講師の諸先生方、事務局の皆様に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
大きく成長させて頂いた2ヵ月半の経験をバネに、Miss SAKEとして、その先の未来の医師として、”人のために自分の能力を生かしたい”というライフ ゴールの達成に一層邁進してまいります。
2021 Miss SAKE 長野代表 糟谷恵理子