Miss SAKE News/Blog

2022 Miss SAKE 山口 鈴木結夢 / 第17回ナデシコプログラムレポート

日本酒の捉え方ががらっと変わり、心震えた本日のご講義。今もなお、その日本酒学の魅力に浸っております。

同時に、この包括的なアプローチをひとりでも多くの人に知って欲しい。これは、日本酒が元々好きかどうかではなく、日本人として、日本の魅力として知って欲しいと感じました。最終選考会を前に、さらに日本酒への愛が深まるご講義を賜ることができたことを誠に幸せに思います。

 ここに、本日のご講義を報告させていただきます。

【講義内容】

① ”世界初・新潟大学発「日本酒学(Sakeology)」の挑戦” -世界的なSakeの研究・教育拠点を目指して-”The Challenge of Establishment of Sakeology”
日本酒学センター副センター長/経済科学部准教授 岸保行先生

② 将来の妊娠に向けて〜今からできるカラダづくり
How to Care Your Body for Future Pregnancy
慶應義塾大学医学部産婦人科 内田明花先生

③ 手ぬぐい講座
株式会社かまわぬ専務取締役 高橋基朗様

④ BBQ 岡山県 千屋牛

日本酒の可能性を学ぶ「日本酒学」

 一つ目のご講義は、新潟大学 日本酒学センター副センター長/経済科学部准教授 岸保行先生より、日本酒学について賜りました。

⚫︎日本酒学とは?

日本酒学とは、広範な学問を網羅する「対象限定・領域横断型」で、日本文化や伝統に根差した日本酒に対象を絞った世界初の学問領域です。

2017年に国内初・世界初の学問領域として、新潟大学に日本酒学センターが立ち上がりました。

この日本酒学は、「醸造学ユニット」「社会・文化ユニット」「健康ユニット」で構成されています。

 既存の日本酒に関する学問は、主に醸造や発酵という”造り”に特化していたのに対し、日本酒学は、造りに加え、歴史や文化、流通や経済、そして健康との関わりなど、日本酒を包括的に捉えることを特徴としています。

 岸先生は、「モノづくり」とは、いいものを作るだけでなく、それを発信して、お客さまの手元まで届き、そして喜ばれることだとお話されていました。私は、日本酒の魅力をより多くの人に知ってもらい、人々の生活が豊かになればと思います。そのためには、この「モノづくり」の考えである、お客さまの手元に届き喜ばれるにはどうしたらよいかを考えなければいけません。包括的に日本酒を捉える「日本酒学」は、その鍵を握ることを実感しました。

⚫︎ワインから見る日本酒の捉え方

 この日本酒学の先駆けが、エノロジーと呼ばれる「ワイン学」です。新潟大学は、ワインの研究が盛んなボルドー大学、カリフォルニア大学と交流協定を締結しました。また、日本の大学では、山梨大学(ワインセンター)、鹿児島大学(焼酎発酵センター)と協定を結んでいます。

 先生のお話で、私がとても興味深く感じたことは、日本酒を「工業的」+「農業的」に捉え、それが日本酒の付加価値になりうることです。

 科学が発展していない頃、毎年同じ品質・味の日本酒をつくるのはとても難しかったため、一定の品質のものを作ることは、杜氏の技術力にかかっていました。機械化が進み、味や醸造部分を科学的に分析できる今は、一定の品質を作ることが容易となり、「工業的」とも捉えられますが、人の手だけで造るそれは、とても高度な技術であり、日本酒が「造り」に注目されてきた所以です。この「造りに特化した工業的な部分」は日本の誇れる職人文化の一つです。

 一方で、ワインは毎年ブドウの出来に左右されることが多いため、農業的な素質が大きな割合を占めます。現在は、日本酒の原料であるお米も水も農産物であることからワインから来た「テロワール」という考え方が注目されています。

 日本酒は、この長年積み上げられた技術による工業的な部分と、自然の産物の延長にあるという農業的な部分の両方を兼ね備える無敵の産物であることを知りました。まさに自然と人の調和によってしかできない、非常に貴重な文化なのです。

 そして、ここにもう一つ加わるアート性という部分にも私は強く惹かれました。

 職人の文化であるからこそ、需要の高いものだけを追い求めて作るのではなく、酒蔵が作りたいものを作るという芸術的な部分。これは、消費者にとってもとても魅力的であり、日本酒がただの「食」ではない芸術であることを実感させられます。

 また、私たちが日本酒の「味」だけではなく惹かれた部分、それは物語性(ストーリー)です。酒蔵様がどんな思いでお酒を醸しているか、一杯の日本酒が造られるのに、どれだけの人が関わっているか、それを知ることで、日本酒はより魅力的な飲み物になります。

 私は、今まで知られていないこの日本酒の奥深さにとてももったいなさを感じます。日本酒と共にこの考え方やストーリーを知って欲しいと強く思いました。

⚫︎日本酒の国際展開

 日本酒の国内消費額は、1973年をピークに、右肩下がりです。一方で輸出額は2021年には400億を超えるなど、徐々にその数を伸ばしています。しかし、ワインは1兆円を超えてもなお、貪欲に発信し続けています。まだまだ、日本酒には伸び代があるのだと感じました。

 日本酒の国際展開において、世界で戦うためには、付加価値をつけることが鍵だそうです。日本酒は原価積み上げ型で、価格帯が低すぎると言われており、実際に世界で求められる日本酒は、高級酒だそうです。

 具体的な付加価値をつける製品設計としては、ペアリングです。

 今まで、日本酒は、酒のつまみというように、食事にお酒を合わせるというより、お酒はどんな和食にもマッチし、そこまで食との組み合わせが重要視されてきませんでした。このどんなものにも調和できるという特徴は、日本酒の魅力の一つでもあります。しかし、特定の食べ物と合わせると、より細分化され、個別性に特化することができます。これが、価値づくりにつながるのだそうです。他にも、ワイン酵母を使った日本酒(白ワインのような日本酒)、伝統に回帰した製造方法、SAKEツーリズ

を通して地元で買うことで価値が上がります。

 ワインも実際にこのような方法で、世界にその存在を知らしめました。たしかに、日本酒がこのようにワインについて行くことで、世界酒になりえますが、革新を起こすために、常に念頭に置いておかないといけないことがあると先生はおっしゃいます。それは、今まで築き上げてここまで繋いでくれた、杜氏の技術の世界がそこにはあり、それが日本酒のオリジナルモデルであり、魅力であるということです。

 日本酒学は、この伝統を、軸にしながら新しい風を起こす、そんな学問であることを教えてくださいました。

 日本酒学という包括的な捉え方で、日本酒を日本文化の象徴として、どんな分野の人も関わることができる、その魅力をより多くの人に知っていただきたいと感じました。

日本酒学センター副センター長/経済科学部准教授 岸保行先生誠にありがとうございました。

将来の妊娠に向けて

二つ目の講義では、慶應義塾大学医学部産婦人科 内田明花先生にご講義を賜りました。私たちの年代にとってとても必要なお話、そして、私は助産師としても考えさせられる授業でした。

先生は、産婦人科の生殖医療の現場でご活躍されております。
普段、私は、妊娠・出産という現場で働いていますが、本日の授業は、妊娠するまでの不妊治療という場面について教えていただきました。同じ生殖という分野で私に出来ること、知っておくべき貴重な現場の声をうかがうことができました。

⚫︎不妊治療の現実

妊娠を希望する方であれば、誰もが不安を持っているのではないでしょうか?

わたしもその中の1人です。

勉強をすればするほど、妊娠・出産は奇跡の連続であることを知り、それと同時に自分は大丈夫だろうか?と不安がよぎります。

妊娠するとは、

  • 自然に排卵がある
  • 卵子が卵管采に取り込まれる
  • 排卵日付近で性交渉がある
  • 膣内で確実に射精される
  • 精液内に運動精子が存在する
  • 卵管内で受精する
  • 受精卵が正常に細胞分裂する
  • 卵管を通り、子宮まで受精卵が到達する
  • 子宮内膜に正しく着床する

この過程が全てうまくいくことです。

実際に全妊娠の約15%に流産は起こると言われ、出産まで到達することも奇跡なのです。

不妊症とは、「避妊せず性行為を続けているのにもかかわらず、約1年妊娠しないこと」と定義されています。

2019年の平均出産年齢は29.6歳と年々上昇しており、実際にこの年の体外受精によって誕生した子どもの割合は、14人に1人と言われており、医療の進歩によりその数は増加しています。 

女性の社会進出が以前より容易になったことで、妊娠出産の希望と社会での活躍の狭間で悩んでいる女性は、たくさんいるのではないでしょうか?

そんな女性の一助となる不妊治療は、私たち女性にとって一つの希望でもあります。

そんな不妊治療ですが、治療を始めたり継続するためには、いくつかの壁があります。
それは、主に費用面と仕事の両立面、それに伴う精神的疲労があります。

まず、費用面では、人工授精は一回につき約3万円、体外受精は約50万円です。
また、不妊治療を経験した半数の方が100万円を超えており、深刻な問題です。
*厚生労働省が公表した「不妊治療の実態に関する調査研究」(2020年度)

そこで、2022年4月〜「特定不妊治療費助成制度」が拡充されました。

しかし、制度が段々と整い、これだけ不妊治療が一般的になってきていても、仕事と両立できない人が34.7%を占めます。

両立できずに仕事を辞めた人の割合は15.8%、治療をやめた人の割合は10.9%もいらっしゃいます。女性が徐々に社会進出できる時代になってきてはいますが、実際には、さまざまな背景から社会での夢や希望を諦めざるを得ない方が沢山いるのです。

そして、仕事と治療の両立ができなかった最大の理由としては、精神面の負担が大きかったという回答です。

大企業では理解され始めている不妊治療ですが、実際に支援を行なっている企業は約3割です。

7割の女性が務める企業では、不妊治療に対する支援がないのです。

私は、女性の妊娠や出産・育児を社会進出のハンデにしてほしくありません。
そのためには、男女共に、その理解を深めることが大切です。

大きなことをしなくても、まず個人として受け入れる、温かく見守ることで、不妊治療中の方は精神的に少し楽になるのではないでしょうか?

これは、企業だけではありません。実際に私の働く現場でも、不妊治療による妊娠であることを夫以外の人に言わないでほしいとおっしゃられることがあります。

きっとこれは、不妊治療は恥ずかしいこと、理解され難いことだと思われているからだと思います。周りの家族や友人に対しても、不妊治療への理解を示すことで、少しずつ社会全体で変わっていくと信じています。

また、このような連絡カードもあるそうです。ぜひ、このカードの認知と活用が進めばと思います。

未来のために今できること

「プレコンセプションケア」という言葉を耳にしたことはありますでしょうか?

将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことです。

今のうちに、私たちができること、それは自分の体と向き合い、妊娠の仕組みを理解し、自分を大切にすることとも言えると思います。

例えば、体重。
20代の21.7%、30代の13.4%がBMIで「やせ」と言われています。

「やせ」の方は、早産や低出生体重児になりやすいと言われています。また、早産や低出生体重児は、将来の生活習慣病のリスクになるとも言われます。

SNSや周りの評価を鵜呑みにせず、健康的であることはとても大切です。

また、食事もとても大切です。3食バランスよく食べることはもちろん、妊娠期に必要な栄養素があります。特に、葉酸、ビタミンD、鉄分が不足がちだと言われています。

「葉酸」これは、赤ちゃんの脳や脊椎などの中枢神経系を作るのに必要です。
この中枢神経系は妊娠4-8週の器官形成期と呼ばれる時期に必要です。この頃はまだ妊娠に気づいていないということが多いため、妊娠前から葉酸は摂取することが必要です。

ビタミンD:骨を作る役割があります。外出が少なくなりがちな近年ですが、これは日光を浴びることで作られます。外出や食事で摂取できるといいですね。

鉄分:妊娠すると、赤ちゃんに血液を送る必要があるため、血液の水の成分が多くなります。すると、必然的に鉄分が薄まり、貧血になりやすくなります。また、毎月月経のある女性にとっては、非妊娠期でも不足しやすいです。積極的に取るといいです。

また、盲点になりやすいのが、感染症です。

特に風疹は妊娠中にかかると赤ちゃんが先天性風疹症候群になると言われます。先天性風疹症候群は、とても重い病気で白内障・難聴・心疾患を特徴とします。

実は、この風疹、予防接種を受けていると思われがちですが、年代によって接種の有無、回数が異なるのです。男性は関係ないと思われがちですが、未接種の男性が罹ってしまうと、女性にうつす可能性があるため、女性だけの問題ではないのです。

現在国では、無料でワクチンを受けられる制度があります。ぜひ、未来の子供達を守るためにも抗体の検査やワクチン接種をしていただきたいです。

妊娠・出産は個人の自由であり、わたしはどちらの人生もとても素敵だと思います。

しかし、希望する方が、妊娠・出産にはどうしてもタイムリミットがあるという現実、少しでも不妊治療について知り、自分のライフプランに入れてほしいと思います。

また、今回ご講義を賜り、不妊治療の社会的な理解度についても知ることができました。不妊治療が認知されるには、男女共に社会として理解することが大切です。業務内容を配慮するだけでなく、プライバシーを守ることもとても重要なことだと先生はおっしゃっていました。少しでも不妊治療を受ける方が負担ない社会になることを切に願います。

慶應義塾大学医学部産婦人科 内田明花先生、貴重なご講義を誠にありがとうございました。

手ぬぐい講座

3コマ目には、株式会社かまわぬ専務取締役 高橋基朗様より手ぬぐい講座をしていただきました。

「かまわぬ」とは、鎌 +◯(輪)+ ぬを合わせて「かまわぬ」と読む判じ物

判じ物とは、文字や絵に隠された言葉をあてる謎解きです。かまわぬ、とは、「お構いなし」「構うものか」と、我が身を捨てて弱き者を助ける江戸町人の心意気を表現した言葉だそうです。

七代目 市川団十郎が舞台で着用したことで大流行したそうです。

「なんの“おかまいも出来ませんが”、気軽に訪ねてくださいね。」という意味が込められているそうです。日本の謙譲の美を表したような社名で日本らしさを感じました。

「かまわぬ」様の手ぬぐいは、明治時代から続く注染という技法が使われています。

この手ぬぐいは、裏表がなく、使うたびに柔らかく、風合いが増すのが特徴で、生活の中の小さな工芸品なんですね。

手ぬぐいの用途は多様ですが、速乾性があるそうで、水分を吸収するのを得意とするそうです。手ぬぐいの端が切りっぱなしになっているのも、早く乾くようにするための特徴だそうで、日本の温暖湿潤気候の中で共にできていったことがわかります。

現在、かまわぬ様の手ぬぐいは、海外展開も多くされているそうで、多種多様な使い道のある手ぬぐいは、とても人気だそうです。

高橋様の、お話で印象的だったのが、お客さまの使いたいように使ってもらいたいということです。海外に持っていくと、日本では想像していなかった使い方をされることがあるそうです。最初は抵抗があったが、今は新しい発見というお話を聞き、日本でも多様な使い方がなされてきた手ぬぐいは、さまざまな形に変幻自在するということがまさにアイデンティティなんだなと、感じました。

また、かまわぬ様の手ぬぐいは、さまざまな場所でコラボされていたり、オリジナル手ぬぐいが販売されています。美術館やアニメーションとのコラボ、記念グッズにもなっているそうです。

手ぬぐいを初めて手に取る方々の身近なきっかけになると感じました。

また、「まめぐい」というブランドも展開されており、お菓子をハンカチサイズの手ぬぐいで包んで販売されているそうです。

海外へのお土産にぴったりで、とっても可愛らしかったです。ぜひ海外に行く際に、利用させていただきます。

本日は、手ぬぐいでの酒瓶の包み方とティッシュケースの作り方を教えていただきました。

 酒瓶をそのまま持つとちょっと恥ずかしいなと思っていたのですが、こうやって包むと、とてもおしゃれで可愛らしく大変身します。みんなに自慢したくなってしまいます。

こちらに包み方がありますので、お気に入りの手ぬぐいで是非試してみてください。

https://youtu.be/cSMuspXrXnw

株式会社かまわぬ専務取締役 高橋基朗様誠にありがとうございました。

夕飯はなんと、BBQをさせていただきました。

そしてそのお肉は、和牛の中の和牛と呼ばれる「千屋牛」です。「千屋牛」とは、国内最古の和牛と言われており、岡山県新見市で繁殖、肥育から生産まで品質を大切にしたブランド牛だそうです。

BBQにした千屋牛はもう絶品で、口の中でお肉がとろけてしまいました。

また、岡山県の誇る「雄町米」の日本酒をいただきました。

左からご紹介させてます。

・室町酒造株式会社様 「櫻室町」感動の出会い 雄町米純米吟醸

口の中に広がる芳醇な香りとまろやかな味が、ついついもう一杯欲しくなってしまいます。お燗にしてもまた、さらにまろやかな味わいを楽しめそうです。

・田中酒造場様「山王」雄町米の酒 純米酒

雄町らしい、ずっしりとお米を感じます。これぞ雄町と言いたくなるような、雄町ファンにはたまらないお味です。

・菊池酒造株式会社様 「木村式 奇跡のお酒」純米吟醸

え?雄町?雄町でこんなに軽やかになるの!?と言いたくなるようなライトな口当たりです。ライトと言っても軽すぎるわけではなく、ふくよかな旨味が味を支えており、まさに奇跡のお酒です。

 本日は、雄町米と千屋牛で、岡山県の恵みを存分に楽しませていただきました。やはり、地元の名産品を地酒でいただくほど贅沢なものはないと感じるひとときでした。

誠にありがとうございました。

 

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