皆様、こんにちは。
2024 Miss SAKE Japanの南侑里です。
2025年3月21日、「日本酒の未来を語るシンポジウム 〜伝統×イノベーション×グローバル展開〜」にて、司会を務めさせていただきました。
本イベントは、TIB CatapultのSustainable AgriTech & FoodTech Cluster事業の一環として、日本酒スタートアップ 株式会社Agnavi様、JAグループの一般社団法人AgVenture Lab様、そして三菱地所株式会社様の共催により開催されたものです。
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TIB Catapultとは、東京都様が推進されているスタートアップ支援プログラムで、「Tokyo Innovation Base」の略称です。スタートアップの成長を加速(Catapult)させることを目的に、アグリテックやフードテック、スマートシティなど、さまざまな社会課題の解決に挑むプロジェクトを支援されています。
今回のシンポジウムでは、その取り組みの一環として、日本酒という日本の誇る伝統産業を通じて、農業・食・地域の未来を見つめる対話が行われました。
【第一セッション】
テーマ:日本酒と復興
登壇者の皆様:
– 株式会社鈴木酒造店 代表取締役 鈴木大介様
– 復興庁 福島広域まちづくり班 参事官 山上俊行様
– 東京農業大学 応用生物学部 学部長 兼 食品加工技術センター長 山本祐司教授
– 福島県庁 企画調整部 政策監・福島イノベーション・コースト構想推進監 佐藤安彦様
震災という過酷な経験を経てなお、地域に根ざし続ける日本酒。 その存在は、ただの「嗜好品」ではなく、人々の心を結び直し、再び立ち上がる力を与えるものである——そんな想いが胸に迫るセッションでした。
「人が集まるところには、いつも日本酒がある」
地域の節目や行事、日々の食卓でも、日本酒は人と人とをつなぐ象徴のような存在であり、結束の中心にあり続けてきました。
また、福島県は酒蔵の数が多く、1本あたりの生産量は少ないものの、それが多様性というかたちで個性豊かな酒文化を育んでいます。 「これほどたくさんの味わいの違いを楽しめる地域は他にない」——登壇者のそんな言葉に、日本酒がもたらす“選ぶ喜び”“語り合う楽しさ”の可能性を感じました。
【第二セッション】
テーマ:日本酒とは。米・容器・醸造の生産視点からの日本酒のイノベーション
登壇者の皆様:
– 小澤酒造株式会社 代表取締役社長 小澤幹夫氏
– 東洋製罐株式会社 販売第一部 販売第二課 課長 落合正樹氏
– 一般社団法人AgVenture Lab Executive Expert 兼松崇博氏
– ファシリテーター:日本経済新聞社 編集委員 吉田忠則氏
「今、日本酒にどんな革新が起きているのか?」という問いに、それぞれの立場から心に残るお話をいただきました。
兼松様はJA在籍時に酒米を担当されたご経験から、「日本酒はこの20年で、料理とともに味わうものへと進化してきた」と語られました。 かつては想像できなかったような、デミグラスソースに合う日本酒も登場し、食卓の可能性を広げています。
落合様は、今回の共催企業Agnavi様が販売する“一合缶”の容器を製造されています。 少量で手に取りやすく、割れない安全性は、若い世代にとっての入口であり、また海外輸出の場でも非常に大きな利点となります。新しいパッケージが新たな飲み手を呼び込む——それはまさに日本酒の未来を拓くイノベーションです。
そして、この一合缶の取り組みは、私たちMiss SAKEも応援しています。2023 Miss SAKE Japan 山田琴子さんは、神奈川県の日本酒を使用した「オリジナルラベル日本酒缶」の販売イベントにて司会を務め、日本酒の新しい楽しみ方を発信させていただきました。伝統を守りながらも、新しい形で届けていく——その思いを、今後も大切にしていきたいと思います。
神奈川県の日本酒を使った「オリジナルラベル日本酒缶」 販売イベントにて2023 Miss SAKE 山田琴子が司会を務めました
そして小澤様は、酒造りの現場から酸の高さが求められるトレンドや、生酛造りなど伝統技法の価値を改めて語られ、「これからも食の多様性に合わせた酒造りを追求していく」と力強くお話くださいました。
【第三セッション】
テーマ:ユネスコ無形文化登録を迎えた日本酒のインバウンド輸出
登壇者の皆様:
– 三菱地所株式会社 協創推進営業部 部長 平瀬豪宏氏
– 香港MX Supply Chain Ltd. Kelvin Sham氏
– 東京農業大学 応用生物科学部 醸造科学科 曽厚嘉助教
– ファシリテーター:株式会社Agnavi 代表取締役 玄成秀氏
ユネスコ無形文化遺産への「伝統的酒造り」登録が注目を集めるなか、海外市場における反応や、今後の展望が語られました。
香港出身のケルビン氏、台湾出身の曽助教、そして上海でのご経験を持つ平瀬氏——アジア各地に日本酒文化を届けるお三方から、それぞれのリアルな視点をお話いただきました。特にケルビン氏の言葉が心に残りました。
「酒そのものだけでなく、その文化的背景を“体験”として伝えることが必要だ」と。
酒蔵を訪れ、五感で感じ、物語に触れること。その体験が、文化としての日本酒の価値をより深く、長く、心に刻むものにな。酒蔵ツーリズムや見学体験を通して、世界の人々に日本酒の「意味」を届けていく——そんな未来が見えた瞬間でした。
伝統を守るということは、ただ古い形を残すことではなく、時代にあわせて形を変えながら本質を伝え続けていくこと。
その中心にあるのが、日本酒という文化なのだと、心から実感しました。
最後に
司会という立場で、皆様の想いに触れ、日本酒の未来を見つめる時間をご一緒できたこと。それは私にとっても、大きな学びと感動の一日となりました。
シンポジウム後には懇親会も開催され、登壇者の皆様や関係者の方々と直接交流をさせていただく貴重な機会もありました。 一合缶の日本酒を片手に、心温まる会話が交わされ、会場は笑顔と活気にあふれていました。
ご登壇いただいた皆様、ご関係者の皆様、そしてこのシンポジウムに関心を寄せてくださったすべての皆様に、心より感謝申し上げます。
これからも、日本酒を通してつながる未来を信じて、活動を続けてまいります。
2024 Miss SAKE Japan南侑里