皆さま、こんにちは。
2026 Miss SAKE 福岡 横尾ちよみです。
第11回ナデシコプログラムが開催されました。
今回は、いけばなのお家元、話し方のプロ、そして国際メディアの編集長という、それぞれまったく異なるフィールドの方々から学ぶ一日となりました。テーマはひとつひとつ違うようで、根底にあるのはどれも「日本のものを、どう伝えるか」という問いだと感じました。
〇当日のスケジュール
10:15〜11:45
- 講師:未生流笹岡 家元 笹岡隆甫様
- 講義内容:いけばな〜2026年それ以降に向けて〜
13:00〜15:00
- 講師:2021 Miss SAKE 青森 落合由佳様
(フリーアナウンサー、元青森朝日放送アナウンサー)
- 講義内容:話し方・ボイストレーニング
15:30〜17:00
- 講師:JAPAN Forward 編集長 内藤泰朗様
- 講義内容:メディアの役割と責任:新しいメディアの創出における課題
■ 笹岡隆甫様「いけばな〜2026年それ以降に向けて〜」(未生流笹岡)
笹岡隆甫様は、江戸時代後期に大坂で創流された未生流(みしょうりゅう)の家元です。未生流笹岡は、未生流の流れを汲む流派のひとつで、笹岡先生はその伝統を守りながら、世界のハイブランドや現代アートとのコラボレーション、万博や国際的なイベントへの参加など、いけばなを現代社会に届ける活動を精力的に展開されています。
先生はお子さんの頃から自然と花と共に育ってこられたそうです。家元の仕事とは、流派の先生方を指導していく、いわば校長先生のような存在。流派を次の世代へ繋いでいくバトンを持つ者として、自分の個性を出すよりも流派の精神を守ることを大切にされているとのことでした。
いけばなとは何か
いけばなは室町時代に成立した伝統芸術で、500〜600年という長い歴史の中で「左右非対称」の美を頑なに守り続けてきました。今ではいけばなを「昔話」と感じる人も多いと先生がおっしゃっておりましたが、その哲学の深さは現代においてもまったく色褪せないと、講義を通じて強く感じました。
崩しの美・左右非対称
日本の美意識を語る上で欠かせないのが「崩しの美」です。左右非対称(アシンメトリー)を尊ぶこの感性は、いけばなだけでなく、日本の建築・庭園・工芸など、あらゆる文化に共通して流れています。
たとえば法隆寺では、海外の寺院建築では正面に並ぶ五重塔と金堂が、横並びに配置されています。ベルサイユ宮殿の左右対称の庭園と、山があり池があり起伏のある日本庭園を比べてみても、日本人が非対称を好む感性がよく見えてきます。
なぜ非対称なのか。それは「時間と共に変化するもの」だからです。左右対称の造形は完成した瞬間が最も美しく、やがて崩れていきます。一方で非対称のデザインは、最初から変化を受け入れている。植物が成長し、枝が伸び、葉が色づいていく。その変化そのものが美しさになっていく。これが非対称の強みであり、日本的な美の懐の深さだと思いました。
陰陽思想といけばな
いけばなの構成には、古代中国で生まれた「陰陽思想」が深く関わっています。陰陽思想とは、宇宙の万物が「陰」と「陽」という対立し合い補い合う要素から成るという考え方で、陽は動的・明・熱、陰は静的・暗・冷を表します。
床の間でいけばなが発達してきた背景にもこの思想があります。たとえば、左から光が入る床の間では右側が暗くなる。そこで明るい方(陽)には高く伸びやかな枝を、暗い方(陰)には低く抑えた枝を配置する。光と影のバランスが、いけばなの構成そのものに宿っているのです。
天地人
いけばなの基本様式に「天地人(てんちじん)」というものがあります。3本の主幹で空間を構成するこの様式は、江戸時代中期に確立されたそうです。 名前の通り、天・地・人の3つの要素からなります。
- 天(真):最も高く中心となる枝。宇宙の理や導くもの。
- 地(留):最も低い位置にある枝。安定や従うこと。
- 人(体):天と地の間にある枝。天地を和合させる存在。
一番高く中心に立つ枝が「天」、一番低い位置に控える枝が「地」、その間に入って天と地をつなぐ枝が「人」。この3本が三角形のバランスを作ることで、自然界の調和。いわば小さな宇宙を一輪の花の中に表現するということ。 人間が天と地の間に生きているように、いけばなの中にも「天・地・人」が宿っている。そう思うと、花を生けるという行為がただの装飾ではなく、もっと深いものに見えてきます。
松本城の二層の櫓が建物の美しさを際立たせているように、バランスではなく「崩し」が空間に奥行きを生むともおっしゃっておりました。
五行思想と色
いけばなの色や季節の表現には、古代中国から伝わった「五行思想」という考え方が関わっています。 五行とは、自然界のあらゆるものを「木・火・土・金・水」の5つの要素で捉える考え方です。これらは互いに相手を生み出しながら循環しています。木が燃えて火になり、火が燃えた後に土(灰)になり、土の中から金属が生まれ、金属が冷えて水になり、水が木を育てる。この「生み出す循環」を五行相生というそうです。
またそれぞれに色と季節が対応していて、木は青・春、火は赤・夏、土は黄・季節の変わり目、金は白・秋、水は黒・冬を表します。 いけばなで花の色を選ぶ時、季節を表現する時、この五行の考え方が自然と反映されている。日本文化のあちこちに、実はこの思想が静かに流れているのです。
色にも歴史があります。紫はかつて高貴な人しか身につけられなかった色で、かきつばたの花を活ける際には自分を清めてからでないと活けてはいけないというしきたりもあったとのこと。冠位十二階(603年、聖徳太子が制定)では、紫・青・赤・黄・白・黒の6色で官位を区別していました。色そのものに意味と格があった時代の名残が、いけばなにも生きているのです。
コラボレーションと制限の中に生まれる創造
先生はカルティエ・GUCCI・ボッテガ・ヴェネタ・星のやホテルや、Lexus、BMW、初音ミク、そして京阪電車のイメージキャラクター「おけいはん」とのコラボレーションも手がけてこられました。
カルティエのコラボでは「白しか使わないでほしい」という制限を課されたこともあったそうです。普段はしないことへの制限。でもその制限がある中でこそ、新しいものが生まれる。「制限が与えられると無理やり生まれ変わらされる、それも勉強になる」と先生はおっしゃっておりました。
また大阪・関西万博のいけばな、東京オリンピックの聖火リレー。二条城から平安神宮まで走って最後に花で迎え入れる予定だったものが変更となり、聖火トーチを見立てた作品を作ったというお話にも、先生のアーティストとしての柔軟さと哲学が感じられました。
植物への敬意と供養
印象的だったのが、花を処分する時のお話でした。傷んだ花は半紙で包み、日本酒をかけて手を合わせてから手放す。植物に対して感謝し、供養するというこの姿勢は、いけばな教室が技術を伝える場であると同時に、自然への感謝を学ぶ場でもあることを示しています。
かつては花を土に埋めることで供養としていましたが、現代ではそこまでしないで処分場に持っていく形になることも多いが、その心だけは持ち続けることが大切だとおっしゃっていました。
里山と日本人の自然観
笹岡先生のお話の中で「里山」という言葉も出てきました。里山とは、人の生活圏のすぐそばにある、人が手を加えながら守ってきた自然のこと。雑木林や水田、農地などがそれにあたります。 「いけばなは自然を傷つけているのでは」という声もあるとのことですが、先生はこうおっしゃっていました。”切った後に芽が出るように切ってあげることで、植物がより長く生きることもある。人が関わることで自然が豊かになるそれが里山の知恵であり、日本人が長い時間をかけて自然と共に生きてきた証でもあります”と。そして 「人間も自然の一部」ということです。
また、江戸時代後期の儒学者・頼山陽が京都の景色を称えて使った「山紫水明(さんしすいめい)」という言葉があります。頼山陽は京都・鴨川沿いの書斎を大変気に入り、その場所を「山紫水明処」と名付けたそうです。山は夕陽に映えて紫色に輝き、川の水は澄んで明るく輝く。その美しい自然の景色を表した言葉で、京都を形容する代表的な表現でもあります。 自然の美しさをそのまま受け取り、言葉にする。その感性は、いけばなが花の一本一本に向き合う姿勢と、どこかとても近いものだと感じました。
いけばなを通じて感じたこと
先生のお話を聞きながら、私がこれまで茶道や日本文化を学んできた中で感じてきた「侘び寂び」の感性と、いけばなの哲学がとても深いところで繋がっていることに気づかされました。
つぼみ、虫喰いの葉、折れかけた枝。そうした「未完成」なものの中にも命の移ろいを見出し、美として受け入れる日本の感性。いけばなはただ花を生けるという行為を超えて、世界の見方や生き方そのものを教えてくれる哲学だと感じました。
今年は着付けを習っておりますので、来年は、いけばなを学んでみたいと思います。私は、何かを極める立場というよりも、日本の文化や魅力を自らが学び感じて、そこに込められた在り方まで丁寧に伝えられる存在になりたいと強く思っています。
■ 落合由佳様「話し方・ボイストレーニング」(2021 Miss SAKE 青森)
元青森朝日放送アナウンサーで、現在はフリーアナウンサーとして活躍されている落合由佳様。先生ご自身、もともと滑舌が良い方ではなかったそうです。やはりお話しが上手いのも、滑舌も、声がいいのも全て”アナウンサーだから”でみられがちだと思います。でも落合様が、今のように話せるのは、練習と場数を誰よりも積み重ねてきたからに他なりません。「話し方は才能ではなく技術。スポーツと同じで、鍛えれば必ず変わる」という言葉が、きっと私だけではなく、Miss SAKEみんなの背中を押してくれたと思います。
なぜ話し方で印象が変わるのか——メラビアンの法則
まずメラビアンの法則というものをご紹介いただきました。アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが1971年に提唱した「メラビアンの法則」によると、人が相手から受け取る印象の内訳は、
- 言語情報(話す内容):7%
- 聴覚情報(声のトーン・速さ):38%
- 視覚情報(表情・態度・ジェスチャー):55%
とのことです。話す内容よりも、どう話すかの方が印象に与える影響がはるかに大きい。これは「何を話すかよりも、何を覚えてもらうかが重要」という落合様の言葉とも重なりました。何かを話す前に、何を伝えたいのかを考える癖をつけていきたいと感じました。
話し方のポイント
また教えていただいた惹きつける話し方のポイントを整理してみました。
- 間を使う——話し続けると相手は聞き取れない。人には理解するスピードがある。そして間がそのまま抑揚になる。
- 語尾を流さない・上げない——語尾が弱いと自信がない印象に。文末が上がる話し方は幼稚な印象を与えることも。振袖を着る場には、上品さを意識する。
- 一文を短くする——長い文章ほど伝わらない。一文が長い人ほど「話せている気」になっているが、相手には残らない。短くシンプルに。
- 台本を見ない——覚えよう。完璧に話そうというよりも、まず自分に落とし込んで話すこと。
- ジェスチャーは胸から上——視線と連動させることで表情に深みが出る。
- 笑顔——表情がないよりはやはり笑顔。ただし内容と表情を合わせることが大切。
- 母音をしっかりと——日本語は母音が明確になると格段に聞き取りやすくなる。
そして、毎日「あいうえお」の口を鏡の前で練習する。アエイウエオアオの滑舌練習と腹式呼吸を習慣にすることはやってみてほしいとアドバイスくださいました。腹式呼吸をすることで。喉を痛めづらくなったりしっかりと声が出るようになるとのことです。話し方でも、歌でも一緒ですね。
スピーチ構成の考え方
Miss SAKEとして、最終選考に向けて自己PRを考える必要があります。またスピーチ構成についても丁寧に教えてくださいました。
- 自分は何キャラかを明確にする
- そのキャラを証明するエピソードを添える
- どのように見せるか「この人に任せたい」と思われる印象を目指す
- 一言で言えるキーワードを持つ。自分が何者なのかが一言で伝わることが重要
どれだけ素晴らしい経歴があってもそれをそのまま伝えてしまうと、ただ「頑張ってきたんだね」で終わってしまう。それでは意味がない。その中にある個性や魅力を、いかに強く伝えるか。これが自己PRの本質だと感じました。
今回はファイナリストから3名がbeforeとafterでスピーチを実践し、みんなでいいところを伝え合い、落合様からもアドバイスをいただきました。多数のファイナリストがこちら立候補しましたが、健全なじゃんけんにより勝利した方が選ばれました。
負けてしまったので残念ながら私は直接のご指導をいただけませんでしたが、今回の講義のために、This is me動画のために考えていた自己PRはこちらです。
“To me, sake is a bridge that connects people.
My name is Chiyomi Yokoo, 2026 Miss SAKE Fukuoka.
こんにちは。2026 Miss SAKE 福岡、横尾ちよみです。
私は昔から、人と出会い、目の前の方に喜んでいただけることに幸せを感じてきました。
18歳の頃、もっと世界を見て、多くの人と関わりたいと思い、海外に飛び出しました。
海外での勉強や仕事、生活を通して、さまざまな国の方々と出会ってきました。現在は、日本を訪れるお客様の旅行手配や企画、通訳アテンドとして、世界中の方と日々向き合っています。
その中で、自分自身ももっと日本のことを知り、伝えられる存在になりたいと強く思うようになりました。
そして日本酒は、そんな日本の文化や人の想いが込められた大切な存在であり、人と人、日本と世界をつなぐきっかけになるものだと感じています。私はこれからも学び続けながら、日本酒を通じて日本の魅力を自らの言葉で国内そして世界へ届けていきます。
Through sake, I will spend my life connecting people, cultures, and hearts across the world.
自己PRに悩む自分と向き合って
正直に言うと、私は自己PRがあまり得意ではありません。フリートークや初対面の人との会話は緊張せずできるのですが、たとえば「1分で自分を売り込む」という場面になると途端に難しくなる。
昔から私には、どことなく根拠のない自信がありました。でも根拠がないからこそ、何があっても自信が壊されることもなかった。中学生や高校生の頃に何度か芸能関連のオーディション経験はありましたが、一般的にいう卒業後の就活は学校に企業がきてスカウトしてくれるようなスタイルだったのであまり就職活動という経験もありません。どんな時でも私は私のままを出して、それが求められているなら選んでもらえればいいというスタンスで生きてきたように思います。だから言葉で表すのって難しい。
また、人は一目会っただけである程度どんな人かわかるものだとも感じてきました。「見た目で判断してはいけない」と言われながらみんな育ってきたと思いますが、ある程度生きてくると、顔や佇まいにその人の生き方が滲み出てくるものだとも思います。だから私は、何を話すかよりも、直感で「この人にお願いしたい」と思ってもらえるような存在でありたいと考えてきました。自分の強みを言葉で整理したことが、これまであまりなかったのかもしれません。
でも今回の講義を通じて、それだけでは足りないということを感じました。私のことを知らない人に向けて、自分のことを言葉で届けていく必要がある。色々日本の素敵なものや場所をPRしているのに、自己PRがうまくできないのは問題だと気付かされました。そして今回一番の収穫は、周りの人に「私のどんなところがいいと思うか」を積極的に聞いてみようと思えたことです。自己分析は内側だけでは限界がある。外から見てもらうことで、自分では気づけなかった魅力が見えてくるかもしれない。
またMiss SAKEとして、着物を着て大勢の前に立つ場では、品と個性を両立した話し方が求められます。落合先生からいただいたポイントを意識しながら、日頃から少しずつ磨いていきたいと思いました。
■ 内藤泰朗様「メディアの役割と責任:新しいメディアの創出における課題」(JAPAN Forward 編集長)
内藤泰朗様は産経新聞のロンドン特派員・モスクワ支局長を歴任し、英米露カンボジアなど世界各地で計15年以上を過ごされた国際派ジャーナリストです。2001年9月11日の同時多発テロの際にはアメリカに滞在されており、現地でその瞬間に立ち会われたとのことでした。
JAPAN Forwardとは
JAPAN Forwardは2016年に設立された、産経新聞の支援を受けた日本発の英語ニュース・オピニオンサイトです。「日本よ、前へ」という名のもと、フェイクニュースや誤解に対抗し、日本の真実を国際社会に伝えることを使命としているものです。
立ち上げの背景には内藤様の痛切な経験がありました。海外の国際会議やシンポジウムで慰安婦問題や強制徴用問題について批判され続けた時、英語でちゃんと日本の立場を伝えられる場がなかった。このまま放置すれば、なかったことがあったことのように書き換えられてしまうそんな危機感から動き出したプロジェクトということでした。
当初、産経新聞社内でも英語発信に踏み切ることへの不安や反対の声が多かったそうです。それでも内藤様たちが立ち向かったことで、今のJAPAN Forwardがある。既成の「空気」に抗って変化を起こした人たちの話として、深く心に残りました。JAPAN Forwardは英語だけでなく日本語でも読むことができます。「日本のことが海外向けにどう伝えられているか」を知る窓口として、英語が苦手な方にとっても面白いサイトだと感じました。
獺祭の挑戦——伝統と革新
この日の講義では、日本酒ブランド「獺祭」の話題もたくさんしていくださいました。旭酒造の櫻井博志会長が以前JAPAN Forwardのイベントに登壇され、「伝統と革新をもたらした人」として紹介されたとのことで、内藤様がその軌跡を語ってくださいました。
山口県の山奥に位置する旭酒造は、かつて売れない商品を売れない取引先を通じて売れない客に売り続ける状況にあったといいます。そこから「大量販売の論理」を捨て、品質を追求した純米大吟醸一本に絞る方向転換を決断。しかし米の磨き(精米)を極める方向性に、ベテランの杜氏たちがついていけず去っていったとのこと。そこで若い人材を採用し、データ化・科学化によって品質を再現性のある形で確立していったそうです。現在は業界最多水準の約200名のスタッフを雇用しているとのことです。
酒造りは米作りという信念のもと、山田錦農家と直接連携し、補助金を渡して品質の高い米作りを支援するプロジェクトも行っているそうで、原価をかけてでも美味しいお酒を作るという選択が、旭酒造を数億円規模から数百億円規模の企業へと成長させたのでしょうか。
さらに「獺祭 MOONプロジェクト」として、2024年より国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟で宇宙空間での清酒醸造試験を開始。2050年の月面醸造を目指しているというのですから、聞いたことはあったものも今回ご講義を通して、発想のスケールには驚かされました。ワインの原料であるぶどうは重く宇宙へ運びにくいのに対し、日本酒の原料である米は軽くて輸送に向いているというのです。
アメリカには約85億円をかけた蔵を建設し(当初の予定予算の約3倍だったとか)、パリではフランス料理界の巨匠ジョエル・ロブション氏と共同でレストランを開業(2018年)。ロブション氏が「獺祭はフランス料理に合う」と言ってくれたことが大きなターニングポイントになったそうです。
獺祭の一人勝ちを快く思わない声も業界内にはあるそうです。でも内藤様は「獺祭が切り開いた市場のおかげで他の日本酒も海外に出られている。日本酒全体のマーケットを開いてくれた第一人者だ」とおっしゃっており、私もそう感じました。
聖徳太子の言葉と日本酒業界
「和をもって貴しとなす」聖徳太子が十七条憲法の第一条に記したこの言葉が、日本酒業界の文脈で語られたことが印象的でした。争いを避け協調を大切にする日本の文化が、ある意味で業界内の変革を生みにくくしてきた側面もあるかもしれない。でもその一方で、獺祭のような挑戦者が現れた時に追随する土壌にもなれる。伝統は変わらないとも言われますが、伝統こそ切磋琢磨して新しいものを作っていく必要があるのではないかという内藤様の言葉が、深く心に残りました。
私自身、海外での生活経験の中で、歴史認識の違いや慰安婦問題などについて何も言えなかった経験があります。知識がなかったからでもあるし、反論して喧嘩することが正解だとも思っていなかった。でも内藤様のお話を聞いて、「英語で、日本人の目線で、正確に伝えていく」ということの大切さを改めて感じました。日本を案内する立場として、また日本酒の魅力を発信していく身として、自分の国のことをもっと深く知り、誠実に伝えていく責任があると思っています。
■ 夜:飛鳥鍋と各地の日本酒
夜は多摩自慢(たまじまん)さんで、飛鳥鍋を囲みました。飛鳥鍋とは、奈良県の郷土料理で、鶏肉と野菜を牛乳ベースのスープで煮込んだ鍋料理です。飛鳥時代に唐から伝わった牛乳の食文化が起源とも言われており、まろやかでやさしい味わいが特徴です。
福岡出身としてはもつ鍋と水炊きで育ってきたので、毎回違う酒造宿泊の際に食べたことのない鍋が食べられるのがとても楽しいです。また各地のファイナリストが持ち寄った日本酒やおつまみの紹介を聞きながら、みんなで語り合う時間は、この講義と同じくらい大切な学びの場だと毎回感じます。
■ この日を通して
いけばな、話し方、国際メディア。一見バラバラに見えて、今日学んだことは全部「日本のものをどう伝えるか」という一点に繋がっていました。笹岡先生からは、不完全さを美として受け入れる日本の感性を。落合先生からは、伝えるための技術と、自分を知ることの大切さを。内藤様からは、信念を持って発信し続けることの重みを。
ナデシコプログラムも折り返しを超えました。学んできたことを、これからどう形にしていくか。その問いを胸に、後半も全力で臨んでまいります。
〇 English Brief Summary
The 11th Nadeshiko Program brought together three very different yet deeply connected themes: the art of ikebana, the craft of communication, and the responsibility of media.
The morning session was led by Ryuho Sasaoka, Grand Master of the Mishoryuryu Sasaoka school of ikebana. Ikebana, established in the Muromachi period, has upheld the beauty of asymmetry for over 500 years. Grand Master Sasaoka explained how Japanese aesthetics often described as “the beauty of imperfection” celebrate asymmetry, impermanence, and the passage of time. Unlike symmetrical forms that peak at the moment of completion, asymmetrical designs grow more beautiful as they change. This philosophy, rooted in yin-yang and the five elements, shapes not only flower arrangement but Japanese architecture, gardens, and culture as a whole. Even the placement of the Emperor and Empress in official settings reflects Japan’s ancient concept of “left as the position of honor.”
「Grand Master Sasaoka has collaborated with Cartier, GUCCI, Bottega Veneta, Lexus, BMW, Hatsune Miku, and even Keihan Electric Railway bringing ikebana into unexpected and delightful partnerships.」 finding that creative constraints imposed by collaborations often spark unexpected growth. His approach to ikebana is one of philosophical depth: flowers are treated with reverence, wrapped in washi paper and offered sake before disposal. The practice is not just art, it is a way of living in harmony with nature.
The afternoon session was led by Yuka Ochiai, 2021 Miss SAKE Aomori and former TV announcer, who guided us through the art of speaking. Drawing on Mehrabian’s law which shows that 55% of impression comes from visual cues, 38% from vocal tone, and only 7% from the actual words she taught us that how we speak matters far more than what we say. Key takeaways included: use pauses deliberately, keep sentences short, don’t let your voice trail off at the end, and always have one clear keyword that defines who you are. Three finalists delivered speeches before and after the session, and the difference was remarkable. I personally find free conversation easy, but timed self-introductions challenging and this session gave me a clear direction: ask the people around me what they see in me, because self-knowledge alone has limits.
The final lecture was delivered by Yasuo Naito, Editor in Chief of JAPAN Forward an English-language news and opinion site founded in 2016 with support from Sankei Shimbun. Having spent over 15 years abroad as a correspondent in London, Moscow, and Washington D.C., Mr. Naito has experienced firsthand the gap between Japan’s international image and its reality. Confronted repeatedly at international symposiums with criticism over wartime history issues, he felt the urgent need to create a platform where Japan’s perspective could be heard in English. JAPAN Forward was his answer and it is also readable in Japanese, making it a window for Japanese readers to see how their country is being presented to the world. The evening closed with a discussion on Dassai, the sake brand by Asahi Shuzo. Mr. Naito described how Dassai’s president, Hiroshi Sakurai, transformed a struggling rural brewery into a global brand by abandoning mass-market logic, embracing data-driven brewing, and going directly to the most demanding markets. Dassai now aims to brew sake on the moon by 2050 because rice, unlike grapes, is light and easy to transport. Ambitious? Absolutely. But as the evening showed, that kind of boldness is exactly what has opened global doors for Japanese sake and for all of us who hope to walk through them.
Chiyomi Yokoo, 2026 Miss SAKE Fukuoka



































