皆様、こんにちは。
2025 Miss SAKE 新潟 児嶋美智花です。
4月13日(日)、石川酒造様にて【第8回ナデシコプログラム】が実施されました。
🔳スケジュール
1.「日本酒は”世界酒”を目指す~ユネスコ無形文化遺産登録」
講師:門司健次郎先生
2.「もしも投資のない国に生まれたら?」
講師:加藤航介先生
3.日本酒表現 English version
講師:2024 Miss SAKE 準グランプリ 寺崎千波さん
1.「日本酒は”世界酒”を目指す~ユネスコ無形文化遺産登録」講師:門司健次郎先生
門司先生は、日本酒をユネスコ無形文化遺産に登録することを目指し、国際社会での文化的価値の発信に尽力されてきたご経験から、日本酒と外交、そして文化発信の関連性について多角的にお話しくださいました。
冒頭ではご自身の外交官としての豊富な経歴と、日本酒との出会いについてご教示くださいました。
文化外交の重要性を説き、伝統的な政府間外交に加えて、一般市民を対象とした“Public Diplomacy”としての日本酒の役割に注目されておりました。
また、「ハードパワー(軍事力・経済力)」と「ソフトパワー(文化・価値観)」の融合である“スマートパワー”の概念を紹介され、日本酒は日本文化の象徴として、対外的な価値発信の中核になり得ると強調されました。
ご自身の体験をもとに、日本酒が外交の場において果たしてきた役割、そして日本酒を通じて築かれる国際的な理解と友好の可能性について具体的に語られました。
たとえば、ユネスコ代表部時代に催された和食と日本酒の夕食会での実例は、日本酒が国際的なコミュニケーションツールとしても機能していることを裏付けるものです。
一方で、日本酒業界が直面する課題についても言及がありました。出荷量と酒蔵数の大幅な減少、地理的・人的に偏ったブームの限界、さらには原材料である米を巡る供給不安など、現状に対する厳しい分析がなされました。
それでも門司先生は、日本酒が持つ文化的・歴史的な厚み、そして食を介した外交の可能性に希望を見出されており、「日本酒外交の推進」と「ユネスコ登録への道」を今後の大きな目標として掲げられております。
先生は1975年から2017年までの長きにわたり外務省にご勤務され、ユネスコ、ベルギー、カナダなどで大使を歴任。安全保障・文化外交を担いながら、各地で日本酒の魅力を発信してこられた経歴をお持ちです。
会食を通じた交流の中で、相手国に日本文化としての日本酒を伝える意義は大きく、国際理解と相互尊重の土壌を築く力があると述べられました。
しかし、国内では日本酒の出荷量や蔵元数が減少し続けており、文化的・社会的な存在感も希薄になりつつある現状が共有されました。
その原因として、若年層のアルコール離れや、社会生活における日本酒の“居場所”の喪失が指摘されました。
こうした背景を踏まえ、「日本酒の存在を取り戻す」必要性が強調され、そのための手段として、ユネスコ無形文化遺産への登録が有効であるとのご提案がありました。
さらに、世界の無形文化遺産の中には、サウナやヨーグルトづくり、武術や香水といった多様なものが登録されており、門司先生はその一例として、世界中で登録が進む「食文化」分野に注目し、日本酒の伝統的酒造りもこれに続くべきと力強く訴えられました。
ご自身の日本酒との出会いについては、若い頃は日本酒を敬遠されていたものの、1989年に真の日本酒と出会ったことでその魅力に目覚め、日本酒外交をライフワークとする決意に至ったと述懐されていました。
ベルギー勤務時代を皮切りに、様々な国で日本酒の外交活用を展開されたご経験は、国際的な食卓で日本酒が果たす役割の大きさを裏付けるものでした。
また、現在の日本酒業界が直面する危機として、出荷量の減少、蔵元数の減少、酒米不足といった課題が示されました。
一方で、輸出額は13年連続で増加しており、特にアメリカや中国、香港への輸出が好調であることが強調されました。
日本酒は単なるアルコール飲料ではなく、日本の気候風土と文化に根ざした「伝統的な酒造り」であると世界に発信することで、国内外での理解促進と価値の再認識を目指すべきだとされました。
ユネスコの理念や登録の手続き、世界中の無形文化遺産の事例を紹介されたのち、2024年12月5日に日本の「伝統的な酒造り」が正式に無形文化遺産として登録された意義についても詳述がありました。
登録は国際的な文化的評価であると同時に、今後の輸出や観光・文化施策における日本酒の利活用を後押しするものとされ、今後の展望に大きな希望が示されました。
日本酒の普及に向けた4段階の戦略(知ってもらう、興味を持ってもらう、口にしてもらう、買ってもらう)が提案され、食事とのペアリングやラベルの工夫、ファン層の拡大施策など、多角的な取組が紹介されました。
元外交官として世界各国で文化外交を担ってこられた門司先生は、現在「日本酒外交」の推進に尽力され、Miss SAKE顧問としても深く関わっておられます。
講義では、ご自身の外交経験を踏まえながら、日本酒の国際的価値と未来への可能性について、多角的な視点でお話くださいました。
さらに講義では、各国におけるワインやスピリッツといった酒類の文化遺産登録例が紹介され、日本酒もまた「地域性」「発酵」「風土との調和」を軸に、世界に通用する食文化であることが示されました。
今後の日本酒振興策としては、ユネスコ登録の意義を活かし、「日本酒を知ってもらう」「飲んでもらう」「売ってもらう・買ってもらう」といった段階的な普及活動の展開が重要であると強調されました。
特に、ラベル表示の工夫、フランス料理とのペアリング、アルコール度数に対する誤解への配慮、多様な容器サイズの導入など、具体的なアイデアが挙げられました。
最後に、「日本酒は高品質であるがゆえに価格が高くなりがちだが、国内での価格設定と価値の伝え方次第で、海外市場においても持続的な展開が可能となる」との示唆に富んだお話で締めくくられました。
最後に門司先生より著書を購入し、サインをいただきましたので、記念撮影させていただきました。
門司先生、ありがとうございました。
2.「もしも投資のない国に生まれたら?」講師:加藤航介先生
続いて、加藤先生の講義では、WealthPark研究所の理念に基づき、「投資とは何か」という根本的な問いに立ち返り、ボードゲームを交えながら、社会や個人にとっての投資の意義について学びを深めました。
まず、投資とは単なるお金儲けの手段ではなく、「なぜ投資をするのか(WHY)」という動機を大切にする姿勢が重要であることが強調されました。
自分自身、社会、歴史という3つの視点から投資の本質を見つめ直すことで、真に意味のある行動につながるといいます。
加藤先生ご自身の生い立ちや投資遍歴の紹介からは、幼少期の金銭的な困難を経験されたことをきっかけに、世界30カ国以上での多様な投資を実践されてきた背景が語られました。
不動産や株式だけでなく、ワイン・アート・アンティークコインといったユニークな分野にも広がる投資経験は、資産形成だけでなく人生そのものの学びと深く結びついていることを感じさせられました。
「投資とは未来にお金を投じること」「投資は豊かさの種である」という言葉をキーワードに、投資と成長、そして社会の豊かさが連動していることを、図や漢字の意味を用いて直感的に理解できるよう工夫されていました。
また、国別に投資の在り方を考える「大臣ゲーム」では、ウクライナ・フランス・カンボジア・アメリカなどの事例を通じて、国情に応じた投資の優先順位やその理由について参加者同士が意見を交わしました。この体験を通して、投資とは常に人と社会の幸福を目指すものであるという根幹に立ち返ることができました。
「投資とは何のために行うのか」「その先に何を育てるのか」を一人ひとりが考えることが、真の投資家としての第一歩であることを教えていただきました。
「投資のなぜ?」という問いから始まり、なぜ人は投資をするのかという本質に迫りました。
先生は、「人は“なぜ”に動かされる」と述べ、WHY・HOW・WHATの三層構造を提示しながら、歴史・学び・楽しみ・教えることの掛け合わせによる探究型アプローチを示されました。
「投資」とは未来にお金を「投じる」行為であり、それは社会や個人の豊かさの“種”であるという考え方が示されました。
原始時代から現代に至るまでの社会の発展段階を例に、正しい投資が人と社会の豊かさを決定づけることが説明されました。
「官と民の役割から見る投資」に焦点が移り、政府による投資は「税金というお金を大臣に託す」ことで実現されるのに対し、民間の投資は「何というお金を誰に託すのか」を自らが判断するという構図が紹介されました。
税金・国債・銀行預金・不動産・上場企業株・寄付といった資産の形を通じて、私たちは政治家や銀行員、大工や企業経営者、そしてNPOやアーティストといった多様な担い手へと社会参加していることが視覚的に示されました。
「社会の発展段階に応じて投資の担い手や重点も変わる」という観点から、貧しい社会ではインフラ整備が、豊かな社会では創造性への投資が重視されることが確認され、講義は締めくくられました。
国・企業・個人が行う多様な投資例が紹介され、発電所や木材、アートやワイン、海外不動産まで、加藤先生ご自身の豊富な投資経験をもとに、実体験に基づいた具体的な学びが共有されました。
続いて、政府(官)と民間(民)の投資の違いとその役割について考察しました。
政府の投資は「税金を大臣に託すこと」であり、民間の投資は「資産という形で誰かに託すこと」であると整理されました。さらに、投資の「民営化」についても触れ、日本社会の中でどのようにその流れが進んできたかを歴史的に振り返りました。
投資先ごとに「最も任せるべき人」を選ぶワークが実施され、社会の発展段階に応じた投資の在り方が示されました。
たとえば、貧しい社会においては基礎的なインフラへの投資が、豊かな社会においてはアートやスタートアップへの投資がより重要になるという視点は、非常に印象的でした。
「皆が政治やお金の投資に無関心な社会は豊かになり得るか?」という問いを通じて、投資とは社会参加の一つであることを再認識いたしました。
投票・労働・納税・寄付・ボランティアといった行動もまた、豊かな社会をつくる土台であると確認されました。
講義の終盤では、日本の世界における位置づけを踏まえ、「グローバルと共に生きる視点」も紹介されました。
投資は自分と社会をつなぐ橋であり、投資したお金は社会の成長と共に増えていく。その原則は、老後の生活を誰が支えるかという問題にまで広がり、持続可能な未来を見据える視座を与えてくれました。
最後に、「投資とは、あなたと社会の豊かさと幸せのタネである」との言葉で締めくくられ、明るい未来に向けて自らの意思でお金を投じる意義の大きさを実感する機会となりました。
加藤先生、ありがとうございました。
3.日本酒表現 English version 講師:2024 Miss SAKE 準グランプリ 寺崎千波さん
最後に2024 Miss SAKE準グランプリである寺崎千波さんによる講義では、Miss SAKEとして求められる英語力と発信力について、多面的に学ぶ機会となりました。
寺崎さんは千葉県出身で、慶應義塾大学を卒業後、経営コンサルティング会社で勤務されています。日本酒蔵の孫娘というルーツもあり、「世界中に日本のファンを作る」ことを人生のテーマに掲げて活動されています。
講義では、Miss SAKEの活動において英語が必要となる場面として、国内外での自己紹介や日本酒の紹介、イベント誘導や挨拶、日本文化の紹介などが挙げられました。海外活動では大使や商談相手と接する機会もあり、英語による表現力が不可欠であることが具体的な場面を通して示されました。
また、「自己紹介・Miss SAKEの紹介・日本酒の紹介」の3本柱をもとに、英語で伝える際のテンプレートと例文も共有され、実践的な学びが多くありました。特に、「自分と代表県について語ること」が軸となるため、日頃から自分の言葉で表現する習慣を持つことの重要性を再確認いたしました。
Miss SAKEは単なるアンバサダーではなく、「日本酒文化の伝承者であり、架け橋」であるという言葉が心に残っています。言葉の力を通して、日本酒と日本文化の魅力を世界に伝える使命を、改めて強く胸に刻む講義でした。
今回のレポートは以上です。
また次のレポートで会いましょう。
2025 Miss SAKE 新潟 児嶋美智花