皆さん、こんにちは。2024 Miss SAKE 鹿児島 長友陽奈子です。
4月14日に実施された第8回ナデシコプログラムにつきまして、ご報告申し上げます。
8回目の講義内容は、以下の講義がございました。
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「国民の義務:税理士による租税教室」- uc&i税理士事務所 代表 税理士 小池俊様
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Exa Innovation Studio代表 方健太郎様
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「Sakeから観光立国」- 株式会社コーポ・サチ代表取締役 平出淑恵様
「国民の義務:税理士による租税教室」
uc&i税理士事務所の代表である小池俊様による「国民の義務:税理士による租税教室」という講義に参加しました。、一国民として税に対する理解を深め、正しい知識を持って納税の義務を果たすことの重要性を改めて認識しました。
小池様は、税理士がどのようにして税務に関する専門家として独立し、公正な立場を保ちながら、納税義務者と国家との間で信頼を築いているのかを丁寧に説明してくださいました。特に、税理士が遵守すべき「申告納税制度の理念」や「税務代理」「税務書類の作成」などの業務内容についての解説は、税理士の日々の業務が如何に複雑で重要かを理解する助けとなりました。
また、日本の税制が成立してから現在に至るまでの歴史を通じて、税がいかに国の運営と密接に関連しているかを学ぶことができました。歴史的背景から見る税の進化は、ただ義務を果たすだけでなく、国民一人一人が国の一部として貢献している実感を持つことに繋がります。
特に印象的だったのは、各時代における税の種類や課税の仕組みが、その時代の社会や文化、経済状態によってどのように変わってきたかの具体例でした。これにより、現代における税制の形が、過去の試行錯誤の積み重ねの上に成り立っていることがよく理解できました。
私たちの日常生活に直接影響を与える公共サービスの資金源としての税金の役割について詳しく学ぶことができました。例えば、公立学校の教育、公園の整備、医療や年金・介護サービス、消防や警察など、私たちの生活を支える多岐にわたるサービスに税金がどのように使われているのかを具体的に理解することができました。特に、公立学校の児童や生徒一人当たりにかかる教育費が、小学生で約900,000円、中学生で約1,100,000円、高校生で約1,000,000円というデータは、教育への公的投資がいかに大きいかを示しています。
さらに、日常ではあまり意識することがない信号機の数や警察の予算、図書館の数など、公共インフラに関する情報も提供されました。これらの情報を知ることで、私たちの税金が日々の安全や便利さ、文化的な生活を支えるためにどれだけ重要な役割を果たしているのかがより具体的に感じられました。
税金が約50種類も存在する理由について、それぞれが異なる社会的・経済的ニーズに応じて設計されており、公平性を保ちつつ必要な資金を確保するための工夫がされていることが明らかになりました。公平と平等の違いについての議論は特に印象的で、すべての人に同じ額を課税することが必ずしも公平ではないという点を学びました。これは、人々の収入や財産の大小に応じて税負担を調整することが、より公正な方法であることを示しています。
また、公共サービスの費用と予算の不足を例に取り上げたディスカッションは、税金がどれだけ重要な役割を果たしているかを実感させられました。教育、医療、消防、警察など、日常生活を支えるために必要なサービスには莫大な資金が必要であり、これらのサービスを維持するためには適切な税金の徴収が不可欠であることが理解できました。
国民負担率の国際比較についての情報も興味深く、異なる国々での税負担と社会保障負担のバランスには大きな差があり、それが各国の社会政策や経済戦略にどのように反映されているかを見ることができました。これは、税制が各国の文化や経済状況に適応して設計されていることを示しており、日本の消費税を含む税制がどのように国民の利益を支え、また国際的なコンテキストでどのように機能しているかを理解する手助けとなりました。
また、「誰が税を負担すべきか」というテーマに焦点を当て、応能負担の原則と応益負担の原則について深く学ぶことができました。税金がなぜ必要であるか、そしてそれがどのように公平に分配されるべきかという議論は、非常に啓発的でした。
応能負担の原則に基づいて、支払い能力が大きい人からより多くの税金を徴収することは、垂直的公平を実現するために重要です。これは、より大きな収入を持つ個人や企業が社会的責任として相応の負担を負うべきであるという考え方に基づいています。一方で、水平的公平は、同じ経済的状況にある人々に同じレベルの税負担を求めることで、公正を保つことを目指しています。
さらに、講義では「世代間の公平」という概念についても触れられ、現代の経済行動が将来の世代にどのような影響を与えるかについて考えさせられました。高齢化が進む社会において、今の公共サービスの充実を求めつつ、国債による借金でその費用を賄うことが、未来の世代にどのような財政負担をもたらすかは、非常に重要な問題です。
これに関連して、社会保障関連費の増大や国債費の増加が国の財政に与える影響についての具体的な数字を見ることができ、財政の硬直化が進んでいる現状に警鐘を鳴らす内容でした。これらの情報は、税の負担と公共支出のバランスをどのように取るか、政策決定においてどのような考慮が必要かを理解するのに役立ちました。
税を通して民主主義を考えることは、私たちの生活に密接に関わっている問題です。税金が公平に集められ、効率的に使われているかを考えることは、我々が民主社会の一員として持つ重要な責任の一つです。
また、税金の使い道と集め方が民主主義の基本的な構成要素と密接に結びついていることを学びました。公平な課税とは何か、そしてそれが私たちの基本的人権や国民主権、平和主義にどのように貢献しているかが明らかにされました。これにより、税金が単なる財政収入の源ではなく、社会的平等と公正を促進する手段であることが強調されました。
特に印象的だったのは、租税法律主義に基づく税の原則についての議論でした。税の課税要件が法律によって明確に規定されており、課税の手続きが適正に行われることは、私たちの日常生活に大きな影響を及ぼします。これにより、税法が公平で透明であること、そしてすべての国民が法の下で平等であることが保証されるのです。
さらに、税負担が各人の担税力に応じて配分されるべきであるという租税公平主義は、社会の持続可能な発展にとって非常に重要です。この原則に基づけば、経済的に余裕のある人々がより多くの税負担を担い、その資金が社会全体の福祉の向上に使用されることで、経済的格差の是正が可能になります。
地方自治の基本原則に照らして見ると、地方公共団体が自主的に財政を管理し、独自の条例を制定することができる自由は、地方の多様性と自立性を保護する上で不可欠です。これは地方住民が直面している固有の問題に対して、より適切で効果的な解決策を見つけるために、地方レベルでの意思決定がいかに重要かを示しています。
税を通じて民主主義を深く理解することは、私たちが公共の資金をどのようにしてより公正に、かつ効果的に使うかを理解し、参加するための基盤を提供します。この知識を持つことで、私たちはより良い政策の形成に貢献し、公共の利益のために働くことができるます。
申告納税制度と賦課課税制度の違いについて学ぶことは、税金の理解を深める上で非常に役立つものでした。申告納税制度では、納税者が自己の収入を申告し、それに基づいて税金が計算されます。これに対し、賦課課税制度では政府が納税者の収入や資産を評価し、その評価に基づいて税金を課します。日本では、申告納税制度が主流ですが、このシステムは納税者の誠実な申告と正確な税務情報に依存しています。
今後の日本の税制に関して多くの重要な洞察を得ました。特に、国際的に見た日本の国民負担率が比較的低いこと、しかし、高齢化の進行により社会保障費の増大が予測される中で、国の財政が国債費の償還によってさらに圧迫されるという現状は深刻です。この問題に対して、我々国民は「高福祉・高負担」か「低福祉・低負担」かの選択を迫られています。
また、今後の歳入を増やすための新しい税金の導入や、どのように歳出を充てていくかという議論も非常に興味深く、現在の日本の財政状況と未来に向けた政策の方向性を理解するのに役立ちました。このような議論は、効果的な福祉サービスを提供し、国の持続可能な財政を確保するために不可欠です。
この講義を通じて、税制の複雑さとその社会的影響を理解することができました。税金がどのように集められ、どのように使われるかは、私たちの生活の質に直接的な影響を与えるため、私たちはこれについて積極的に学び、理解を深める責任があります。さらに、民主社会の一員として、適正な税制を実現するために、私たち一人一人が声を上げ、参加することの重要性を改めて認識しました。
今後、税に関する議論がさらに進む中で、私たちが得た知識を生かし、より公平で効果的な税制を求めるために、引き続き学び、行動していくことが重要だと感じています。この講義は、その第一歩として非常に価値のあるものでした。
Exa Innovation Studio代表 方健太郎様の講義
方健太郎様の講義を受講し、多くの洞察と新しい視点を得ることができました。方様が豊富な国際経験を持ち、さまざまな地域でのプロジェクト経験から導き出された事例やアイデアは、私たちの業務に直接活かすことができる内容であり、非常に有益でした。
特に、日本がグローバルな観光地としてどのように位置づけられているか、また、どのようにして世界の富裕層を惹きつけるかについての部分は、目から鱗の情報でした。方様が提案された「世界の富裕層に合わせたおもてなしの重要性」や「国際的なイベントの誘致」は、私たちが今後の戦略を考える上での重要なヒントになります。
さらに、方様が言及された、日本のクラシック音楽家やMiss SAKEの活用方法など、日本固有の文化的資産を国際舞台でいかにプロモーションしていくかという点も興味深かったです。これらのアプローチは、日本の伝統と現代のイノベーションを融合させ、世界中から注目を集めるための一つの方法であると感じました。
また、講義での方様の豊かな経験に基づく具体的な例や提案は、私たちが地方都市や未開拓の観光地をどう活性化させるか、どう国際的な魅力を高めるかという課題に対して、現実的かつ創造的な解決策を見つける手助けになります。
この講義を受けて、私たちは日本の観光業界が直面している多くの課題に対し、より戦略的かつ国際的なアプローチで取り組むべきだとの確信を新たにしました。方様から学んだ教訓を活かし、具体的な行動計画を策定し、実行に移すことが私たちの次なるステップです。
最後に、方様の講義は、私たちがグローバルな視野を持ちながらも、日本固有の価値をどう世界に発信していくかという点で、大きなモチベーションとなりました。日本の美しい自然、文化、技術が世界に認められるよう、私たちもMiss SAKEの活動においてこれらの貴重な学びを生かしていきたいと思います。
「Sakeから観光立国」
株式会社コーポ・サチ代表取締役であり、酒サムライコーディネーターの平出淑恵様による「Sakeから観光立国」の講義は、日本酒の国際市場における位置付けと将来性についての洞察を得る非常に有意義なものでした。平出様がお持ちの豊富な経験と深い知識から紐解かれた内容は、日本酒を軸とした観光立国の戦略について多角的に考察する絶好の機会でありました。
特に印象的だったのは、日本酒がただの酒ではなく「日本そのもの」を表す文化商品であるという視点です。国内外での日本酒の認知度と評価の向上を目的とした、教育、コンクール、宣伝活動の三つの戦略的アプローチは、他の伝統産業にも応用可能な普遍的な価値を持つと感じました。
平出様が示された、JALとWSETが協力して日本酒の国際化を進める取り組みや、ロンドンでの日本酒講座の成功事例は、日本酒がグローバルな酒市場でどのように位置付けられるべきかの示唆に富んでいます。また、日本国内での日本酒のマーケットがまだ小さく、輸出比率が10%に過ぎない現状をどう改善するかについての議論は、今後の戦略策定において重要な指針を提供します。
また、教育、品評会、プロモーションという三つの柱を中心に、日本酒の国際化を進める具体的な戦略は、ワイン産業の成功例に学びながら、日本独自の状況に合わせて適応されています。特に、世界に通じる教育プログラムの構築や国際品評会での日本酒の認知度向上、継続的なプロモーション活動は、日本酒が国際市場で成功するための重要なステップです。
国税庁による日本産酒類ブランド化事業など、日本酒のテロワールを科学的に解析し、それを国際的なブランディング戦略に活かす試みは、日本酒の独自性と地域性を前面に出した非常に効果的なアプローチです。これにより、日本全国の豊かな水資源が国際的に価値を認められ、日本酒とともに日本の国土そのものの魅力も高められるでしょう。
佐賀県鹿島市での酒蔵通りの事例のように、地域全体が日本酒を核とした観光資源として機能する模範を示す事例は、他地域にも大きな影響を与えるものであり、地方創生の一環としても非常に参考になります。このような地域単位での取り組みが、国内外からの観光客を惹きつけ、経済効果をもたらす好循環を生み出すことは明らかです。
この講義を受けて、日本酒という日本の伝統が国際的な舞台でどのように評価され、活用されるべきか、その可能性を改めて感じることができました。平出様の示された具体的な取り組みや提案は、今後の日本酒のポジショニングとブランディング戦略において重要な指標となり得ると確信しております。今回学んだ知見を活かし、さらに具体的な行動計画を立て、実行に移すことが私たちの次なるステップです。