第10回ナデシコプログラム
- 白鶴酒造様
- 歌舞伎俳優・市川九團次様
- 俳優・辰巳琢郎様
にお話しをお伺いしました。
白鶴酒造様 講義
日本一の酒処「灘五郷」の「御影郷」(現・兵庫県神戸市)に本社を持つ白鶴酒造様。
古くから酒造りが盛んな地域で、1743年に創業し、現在は、デイリーユーズの日本酒「まる」から高級酒の他、リキュールや化粧品販売なども行っていらっしゃいます。東京支社は、銀座に位置し、「日本酒のあるライフスタイル」を積極的に発信していらっしゃいます。
東京は銀座。大都会に、田んぼがあるのをご存知でしょうか?
歌舞伎座やGINZA SIXからも程近い場所に位置する白鶴酒造東京支社の屋上に「白鶴天空農園」があります。
私たちも見学させて頂きました。田んぼの土の深さは、わずか10cmほど…
想像以上に浅く、ここでお米を育てているのかと思うと感慨深く思いました。
極力、軽量化を図るため、屋上栽培に適した土を使用したりするなど工夫していらっしゃるそうです。
育てているお米は、白鶴酒造様が独自で開発した「白鶴錦」です。酒米の王者・山田錦の兄弟にあたる品種です。
山田錦の母「山田穂」と父「短稈渡船」を約70年ぶりに交配し、12年かけて品種改良した自慢の酒米です。
また、天空農園では、地元の子供たちなどを招待して、田植え体験の場を提供しています。
私が以前勤めていた青森県内では、食育の一環で保育園や小学生が田んぼを訪れ、田植え体験は珍しくありませんでしたが、東京出身の私自身はというと田んぼに触れるようになったのは、青森に行ってから。
ですので、銀座という土地柄、地元の子供たちにこうした機会を提供出来る事がいかに有益なことかよく知っています。
実際、最初は田んぼの中に入りたがらない子供たちも、体験が終わる頃には笑顔が溢れるそうです。
東京の夏の気温は、年々上がっていて、近年は最高気温が35度以上になる日も珍しくありません。
そのため、水温管理や、異常気象・台風などの自然災害に毎年悩みながら、育てていらっしゃるそうです。
6月の田植えから10月の稲刈りまで一時も気を抜けない様子がよく分かりました。
気になる収穫量は、毎年50~60キロほど。
2012年以降、9年連続、日本穀物検定協会で、 最高ランクの評価を受けています。毎年、銀座限定で「白鶴 銀座 天空農園の酒」として販売されています。
Made in 銀座のお酒!私たちも特別に頂きました。
酸味がありながら、米の旨味もきちんと感じられる美味しい日本酒でした。毎年、このお酒の発売を待ちわびるファンがいるのも頷けます。
また、ライトユーザー向けの新感覚の日本酒「別鶴」シリーズも頂きま した。
ラベルから味わいに至るまでこれが日本酒 と誰もが驚くものとなっています。フ
ルーティでいい意味で引っ掛かりがなく日本酒を飲みなれていない方にも勧めたいと感じました。
最後は、「日本酒×美容」についてのお話。
近年、様々な清酒メーカーから、日本酒や酒粕を配合した化粧水やコスメが発売されていて注目度も上がっていますが、何故日本酒が女性の美に良いのかなどお話頂きました。
新商品「米の恵み」シリーズを使わせて頂く予定ですので、詳しくはまたリポートしたいと思います。
歌舞伎俳優 市川九團次様 講義
皆さんは、歌舞伎をご覧なったことありますでしょうか?
私は、以前一度だけ歌舞伎座を訪れたことがありますが、正直、セリフが分からず、難しい印象で終わってしまいました。
私のように、「歌舞伎」に対して「難しそう」そんなイメージを抱く方も多いかもしれません。ですが、市川様のお話を聞いて、非常に歌舞伎に興味が湧き、今すぐに歌舞伎を観に行きたくなりました!
歌舞独特の化粧法「隈取」。
白塗りした歌舞伎役者が顔に赤いラインなどを入れるアレです。
隈取には、赤以外にもあり、色を見るだけで、どんな人物かわかるんです。
- 赤色…正義と勇気のスーパーヒーロー!主人公です。
- 青色…邪悪で非道な悪人キャラ
- 茶色…人間以外の妖怪や鬼、亡霊など
色を見ただけで、相関図が分かるなんて、簡単に物語に入れそうです。
また、歌舞伎から生まれ、現代でも日常生活で使っている言葉は沢山あります。
「助六寿司」「幕ノ内弁当」「黒幕」「市松模様」は有名でしょうか。
そのほか、「なあなあの仲」「板につく」「裏方」「大詰」「差金」「とちる」などなど挙げればきりがありません。
「白鶴のお酒は旨いなぁ」
歌舞伎のお芝居の中には、 時代物・世話物・生世話物(現代劇)」とありますが、市川様、一つの台詞をそれぞれのジャンルで演じ分けてくださいました。
同じセリフまわしでも、こんなにも印象が変化するのか と驚きました。
そして、時代物は一つのセリフをとてもゆっくり話していて「かっこいいな」とも思いました。
時代物の中には、「待て」という一言を1分かけて芝居するものもあるそうです。( 歌舞伎十八番「暫く」)
このように、ほんの少しだけ知識を入れることにより、各段に分かりやすく、そして実は日本人の私達にとって歌舞伎は身近に感じられるのではないかと思うようになりました。
さらに、青森県で長らくアナウンサーとして働いていた私にとって「歌舞伎」が非常に身近にあったことを思い出しました。
それは「青森ねぶた祭り」です。
東北三大火祭りの一つで毎年285万人ほどの観光客が訪れる青森ねぶた祭り。
山車となる大型ねぶたの題材に、歌舞の演目の一コマが使われることが多く、歌舞伎伎役者のような隈取や衣装をよく目にしていたのでした。
今まで、敷居の高い世界と嫌煙していたのは、知りもせず勝手に思い込んでいただけだ、ということがよく分かりました。
最後に、着物を纏ったときの女性らしい歩き方も教えて頂きました。
内股に薄い紙一枚を挟んで落とさないイメージで歩くと女性らしくなるというのです。
実演してくださった市川様が、にわかに女性らしく見えていきます(それまで、凛々しく男らしかった市川様が突然!)。
練習を重ねると男性が女性以上に女性に見えてくるのですから、女性の私達がその所作を身に着けられたら、素敵な大和撫子になれるに違いありません。
着物の所作も身に着けて参りたいと思いました。
講義を頂いたのが、歌舞伎座のほど近くの白鶴ビルディングだったことから、講義終わりにファイナリストのメンバーと歌舞伎座へ足を運びました。
この日は、新型コロナウイルスの緊急事態宣言を受け、休演中でした。早く、歌舞伎座にも賑やかな日常が返ってくることを祈ります。(追記;5月12日、5月大歌舞伎が9日遅れで、開幕しました!)
俳優 辰巳琢郎様 講義
俳優そして「日本のワインを愛する会」の代表を務める辰巳琢郎様にお話しをお伺いしました。
テレビ・映画・舞台と幅広く活動を続ける辰巳様。
芸能界きっての食通・ワイン通としても知られているかと思います。こよなくワインを愛する方。
その方が日本酒?と思われたかもしれません。そこには、辰巳様のある思いが隠されておりました。
「日本ワイン」も「日本酒」だと思うのです。
ご講義の中で、こうしたお言葉がありました。
まずは、「日本ワイン」と「国産ワイン」の違いからお話する必要がございます。
「日本ワイン」は、「日本で作られた葡萄を使用し国内で醸造されたワイン」のこと。
2018年10月 ワインラベルの表示基準が定められ、名乗れるようになったものです。
それまでも日本国内では、ワインが造られてきましたが、輸入葡萄を使用した「国産ワイン」と区別されるようになりました。
一方、「日本酒」の定義は、「国内産米のみを使い、国内で醸造された清酒」です。そのため「国酒」とも言われています。
ワインと日本酒では、原料、醸造スタイルこそ異なるけれど、こと「日本ワイン」に至っては、「日本国内で育てられたものを原料に国内で醸すお酒」といった観点から、共に日本のお酒であり、「国酒」であり「日本酒」と呼べるのではないかと。
さらに、味の観点からも日本ワインは日本酒に近いところがあるとおっしゃいます。
「優しさ」「デリケート」という言葉がしっくりくる繊細な味わいをもっているからです。
実際に辰巳様おすすめの3本を試飲させて頂きました。
- 仲村ワイン工房「がんこおやじの手作りわいん デラウエア」
- 勝沼醸造株式会社製造「アルガブランカクラレーザ」
- 株式会社岩の原葡萄園「深雪花」
私が頂いた感想は…3本ともそれぞれに個性はあるものの、全体的に、心地よいアタックでなめらかな舌触り!ということです。
おそらく辰巳様が伝えたい「日本ワイン」の特徴なのではないかと想像しました。繊細な和食にもそっと寄り添ってくれる、懐の深い味わいでした。
お酒も食文化の一つ。世界中で和食がブームになっている今、いわゆる日本酒だけでなく、日本ワインを含めた「日本のお酒」に注目して頂きたいなと考えるようになりました。
さて、ここまで、「日本ワイン」も「日本酒」のようだというお話をしてきましたが、「ワイン」と「日本酒」決定的に違う点がございます。
それは、製造工程において、水を使うか、使わないかといった点です。
ワインは原料となる葡萄に水分が含まれており、一切水を使用せず造られます。
一方、日本酒はその8割が水で、清らかな水が豊富な日本だからこそ造られてきたという歴史があります。
原料となるお米や葡萄を運ぶのは出来ても、「水」の運搬は困難です。
さらに、日本酒の原料は、「米と水と麹」ですが、麹菌をうまく培養するのは、杜氏の技術力と、日本の気候風土によるものなのです。
四季があり、高温多湿な日本。
これからの梅雨時期は、ジメジメとしてカビが生えやすく、食品管理など悩まされる季節になりますが、日本酒をはじめとした日本食は、この気候風土だからこそ生まれたもの。
そして、その希少価値ゆえ、世界の共通認識は得にくいということも理解しておく必要があると思います。
その点でいうと、ワインは世界多くの国で造られ飲まれているお酒ですので、「日本ワイン」を入口に、日本を好きになって頂き「日本ワインを含めた日本酒」のファン作りに繋げられるのではないか…!
そう考えると、日本ワインの可能性にワクワク致しました。
日本酒を世界に発信するアンバサダーMiss SAKEとして、日本の気候風土で奇跡的に生まれた日本食と日本酒だけでなく、日本ワインも愛していきたいなと思います。
白鶴酒造 社員の皆様、市川九團次様、辰巳琢郎様、貴重なお話をありがとうございました。