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2021 Miss SAKE 京都 中野由美子 / 第10回ナデシコプログラムレポート

第10回ナデシコプログラムレポート
  • 講師:
    • 白鶴酒造株式会社 東京支社 広報・営業サポート部
      • 広報・営業サポート部長 県 業務総務部長 倉島知子様
      • 課長 福本和美様
      • 主任 山田亜由美様
    • 歌舞伎俳優 市川九團次様
    • 俳優 辰巳琢郎様

【活動内容】

この日は、白鶴酒造株式会社様の白鶴銀座スタイルで、第10回ナデシコプログラムを受講いたしました。

午前中は「白鶴天空農園講義」ということで、白鶴酒造株式会社 東京支社 広報・営業サポート部の皆様より、白鶴のお酒造りについてご紹介いただき、実際にビル屋上にある白鶴天空農園を見学させていただき、最後にはそこで醸された日本酒をいただきました。

また、午後には歌舞伎俳優の市川九團次様から歌舞伎のお話について、そして俳優であり「日本のワインを愛する会」の会長でいらっしゃる辰巳琢郎様からご講義を賜りました。

【学んだこと】

【白鶴酒造株式会社様】酒米の開発まで手掛けた、白鶴の本気の日本酒造りを体感!

酒どころ兵庫・灘五郷のひとつ「御影郷」に蔵を置く白鶴酒造株式会社様より、東京支社 広報・営業サポート部の皆様によるご講義を賜りました。

白鶴酒造株式会社様では、日本酒の魅力を発信すべく銀座に東京支社を構え、「GINZA STYLE」でのセミナー活動を実施されているほか、ビル屋上の「白鶴銀座天空農園」ではオリジナルの酒米「白鶴錦」の栽培をおこなわれています。

同じビル内には日本酒の仕込みをおこなう「銀座蔵」があり、天空農園で育てた「白鶴錦」を使って日本酒造りもされているのです。

「白鶴錦」は白鶴酒造様が独自に開発された酒米です。なんと、酒米の王様と名高い「山田錦」と同じ親(山田穂と渡船)を持つ、山田錦の兄弟米なのだそうです!

長い年月をかけて研究を重ねられた白鶴錦は、山田錦よりも心白(米の中心にある白濁した部分)が大きく、より味わいも深いとされています。

ご講義のなかで最も心に残ったのは、白鶴銀座天空農園で栽培された白鶴錦で仕込まれた、しぼりたての日本酒をいただいたときの、まさにその味わいの深さでした。

▲この後、一口目に感動することとなります!

日本酒をいただく前に天空農園を拝見させていただき、銀座の街に囲まれたビルの屋上で、白鶴錦を育てるための土壌が丁寧に管理されていることを目で見て感じました。

できるだけ農薬や殺虫剤を使わず、お米の穂が垂れる頃には丁寧に鳥よけをして、手作業ではさがけをし、そして脱穀は足踏み脱穀機でおこなわれるのだとか。

▲白鶴銀座天空農園にて。この日はよく晴れて気持ちの良いお天気でした。銀座の空の青さに農園の緑がよく映えますね。

米から丹念に作られ醸されたしぼりたての日本酒は、米そのものの甘味がしっかり!余韻も長く力強い味わいがしました。

その美味しさには正直仰天でした。
米の生産だけにとどまらず、独自の酒米の開発まで手がける白鶴酒造様。日本三大酒処・灘五郷の地で、寛保3年に創業したという老舗かつ大手酒造メーカーの本気を感じた瞬間でした。

偉そうなことを申し上げているようですが、日本酒ってこんなにも米の味を感じるんだ!ということに心底驚いたのです。

白鶴酒造様は、日本酒の文化を支えることに本気だということを肌で感じました。美味しい日本酒を幅広い人に飲んで知ってもらいたいという気持ちで、灘から離れた東京の中心・銀座に発信の場を設け、さらに農園まで築き、そしてこの都会のビルを「米作り」「酒造り」を体験してもらう場にしてしまうという、白鶴酒造様の本気は想像のずっと上を行くものでした。

情熱を持って日本酒を育まれてきた白鶴酒造様では、もっと多くの人に届け!という想いから、若年層向けの商品もラインナップされています。

私たちの世代では、まだまだ日本酒はメジャーなアルコール飲料とは言えませんが、白鶴酒造様のように本気で酒造りを継承する酒蔵様の心意気を受け取り、同世代やもっと若い方のあいだでも広く発信していきたいと改めて思った瞬間でした。

▲若手社員の方々によってプロデュースされた「別鶴」シリーズ。「これ、ほんとにお米でできてるの?!」と思わず声に出してしまったほど、フルーティーで「別鶴」な味わいでした。

白鶴酒造株式会社の皆様、この度は貴重な体験をさせていただきありがとうございます!

【市川九團次様】歌舞伎と日本酒の伴走を夢見て

この日の午後は、歌舞伎俳優の市川九團次様より、歌舞伎の成り立ちから楽しみ方まで、実演も含めて濃密なご講義を賜りました。

▲ご講義中の様子。日本酒に絡めて、歌舞伎の演目で女形がお酒を注ぐシーンを再現してくださった市川九團次様。

市川九團次様は、まさにエンターテイナー!歌舞伎に象徴される「とにかく観客を楽しませる精神」を全面に感じるようなお方でした。

私が長く続けてきたクラシックバレエでは、舞台を観に行くとダンサーと観客のあいだに一定の距離があるな、という印象を受ける方が多いと思います。

初めての方であればなおのこと。マイム(お芝居)の意味やストーリーがわからなかったという声もしばしば聞きます。そして、クラシックの演目はいつの時代も同じ振り付けと音楽で踊ります。

一方、歌舞伎は俳優と観客の距離感が近い、と市川九團次様はおっしゃいます。

観客を巻き込んで演目を作り上げる精神が歌舞伎では脈々と受け継がれ、その時代ごとに人々の好みに合わせて常に変化を遂げてきたものなのだということを教わりました。

例えば「スーパー歌舞伎
「ヤマトタケル」や「ワンピース」の演目などが有名です。スーパー歌舞伎は、古典とは異なる演出やテーマで作られた現代風歌舞伎のことです。

江戸時代の古典的な歌舞伎を否定することなく、現代の人々の胸にさらに迫る舞台を目指して、明治以降の新歌舞伎との長所が取り入れられています。

時代ごとに使う言葉やイントネーションも異なり、現代に近づくほどに観客も理解しやすく聞き取りやすくなってきたのだとか。その時代の人々が見ている景色を、歌舞伎は横並びになって一緒に見ている。そんな風に思わされました。

他にも「見栄切り
主たる俳優の感情が頂点に高まった時、ポーズを決めて目を片方に寄せ、そして静止します。これを「見栄を切る」と言うそうです。

江戸時代、歌舞伎の芝居小屋はいわゆる社交場で、デート中のカップルや商談中の商人など、とにかく多くの観客でガヤガヤしていたのだとか。そんな中で、一番の見せ場であるシーンであえて静かに静止して観客の視線を集め、目を寄せてさらに関心を引くのが見栄切りです。もともとは、「木戸銭をもらっているからには、とにかくこっちを振り向かせたい!」と、当時の歌舞伎俳優たちが考えついたアイデアだそうです。

観客は静かに舞台を見ていて当たり前、というクラシックバレエとは真逆のアプローチです。歌舞伎の舞台には花道が存在したり、その途中に「すっぽん」と呼ばれるせり上がりがあったり、廻り舞台があったりと、その舞台装置にも観客を注目させる工夫が盛りだくさんということを知りました。

そして「大向こう
大向こうは、舞台から最も遠い客席のこと、またそこに座る観客のことを指すそうです。とにかく頻繁に歌舞伎を観に来る観客が座る席で、舞台の見せ場で掛け声を掛ける文化が育ったことから、今では大向こうの掛け声がないと進めない演目もあるのだとか!まさに、観客と一緒に舞台を作り上げる文化が根付いていることがわかります。

さらに、俳優ごとに掛け声は異なり、また大向こうごとに掛け声の趣も違うのだそうです。俳優だけではなく、観客が参加し一緒になって舞台を盛り上げる文化は、歌舞伎特有のものではないでしょうか。観客を第一に考えるからこそ受け継がれた、敬意ある文化だと思います。


時代の流れとともに、人の好みも変わります。その時々の流行を取り入れながら、その時代の人々を楽しませることを第一に考えているからこそ、歌舞伎は日本を象徴する伝統芸能でありながらも、今でも幅広く多くの人に「リアルタイムで」楽しまれている文化でもあるのですね。

さて、京都というと、日本の中でも特に古くからの伝統文化が重んじられている土地だというイメージがあるかもしれません。

しかし、京都にある酒蔵様のことを調べていくと、名だたる老舗の酒蔵様が、都時代から継承してきた伝統を守りつつも、新しいことにも臆さず挑戦し続けるという革新の心意気を持たれていることがわかります。そういう意味では、京都の日本酒も時代や飲む人とともに進化してきていると言えそうです。

市川九團次様のご講義をお聞きして、「歌舞伎と日本酒が伴走しながら、一緒に現代と未来の日本文化を彩っていけたらなんて素敵だろう!」と心踊りました。

市川九團次様、貴重なお話をありがとうございました!

【辰巳琢郎様】なぜ今、日本ワインなのか?効率化されたグローバルではなく、「ローカル」を大切に。

この日の最後には、俳優であり「日本のワインを愛する会」の会長でいらっしゃる辰巳琢郎様から、ご講義を賜りました。

日本酒も日本ワインも日本で栽培された原材料で作られた酒という意味で、いっしょです。

辰巳様のご講義では、ワインに関する多くの知識を教わりましたが、その中でも、辰巳様の思想が反映されたこの言葉が最も心に残っています。

日本ワインとは「日本で栽培されたぶどうだけを使って作られたワイン」のこと。日本酒も、原料となる米は日本で栽培されています。そしておそらく、どちらのお酒もその多くが国内で消費されているでしょう。

ご講義が終わって帰路につきながらお話を振り返って、そして早速届いた辰巳様の著書『日本ワイン礼讃』を読んで、考えさせられたことがあります。

日本に生まれ育ったものの、いろんな国の多種多様なモノやコトを消費できるグローバルな時代に揉まれて、些か原点「日本を愛する心」を忘れてしまいがちな日々を送っていたのではないか?と自分自身に問いかけざるを得ませんでした。

Miss SAKEとして活動していくためには、世界に日本酒を広めることも非常に重要でしょう。しかし、まずは生産国である日本で、日本に住む私たちが、日本で育まれた農産物で作られたお酒を味わい、誇りに思うということが世界への発信に向けての第一歩ではないかと思います。

少し視点を変えてみます。日本酒の場合は海外から輸入されるということはほとんどありませんが、ワインはどうでしょうか?国内で消費されているワインの9割以上が輸入ワインだと、辰巳様は教えてくださいました。

グローバル化社会においては多様性が一層重視されていくからこそ、「効率的なグローバルではなく、まずはローカルを大切にしよう」という辰巳様の著書の一文が胸に刺さりました。これは、「日本の作物で作られた酒」という括りで日本酒に対しても言えることだと思います。

発信者である以前に、ひとりの消費者として、日本の國酒である日本酒と日本ワインを楽しみながら、誇りを持って魅力を伝えていきたいです。

辰巳様、貴重な気づきのきっかけをいただきありがとうございました!

▲辰巳様と。美味しい日本ワインを「甲州」「デラウェア」「マスカットベリーA」と3種類のぶどうごとにいただいたあとです。幸せと緊張と高揚で、少し顔が赤らんでしまいました。

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