【インプット無くしてアウトプット無し】
人に何かを伝える時、大切な要素は何だとおもいますか?
語彙力?表現力?
それももちろん大切な要素ですが,私が何より大切だと感じるのは”インプット”です。
私は喋り手なので、アウトプットを”トーク”とします。トークを車でたとえると、インプットは、謂わばガソリン。
そして語彙力や表現力は、車を構成するパーツのイメージです。
車がどれほど立派でも、ガソリンがないと走れませんよね。
書くことをお仕事にされている作家さんなどは、年間で300〜500冊読まれる方も珍しくないそうです。
大量の知識が、我々の血肉となるのです。
第11回ナデシコプログラムであるWSET SAKE講座 Level1は、日本酒造りの基礎的な部分を中心としたご講義でした。
講師である木下明子さまから日本酒の製造工程や区分、品種管理や提供方法などを教えて頂き、最後には認定試験も受けさせていただきました。
最も印象に残ったのは、やはりテイスティングです。
10種類もの日本酒を、飲むのではなく”味わう”。
目→鼻→口の順に分析していきます。これまで無色透明だと思っていた品種も、先生に正しい見方を教わると、ほんのりグリーンがかっていることに気が付きました。
こうして何種類も比べて味わうことにより、単体で頂く時よりもずっと明確に色・香り・味わいの違いも感じられました。
午後の授業では一部を熱燗にしていただき、温度によって味わいがガラッと変わる奥深い日本酒の世界を堪能。
同じお酒を熱燗と冷酒で飲み比べた経験がなかったので、ここまで香りが豊かになり味わいに変化があるとは・・驚きでした。
何事も、比較し検証することが大切なのですね。
講義の最後には、お食事とのペアリングを学ぶため、旨味代表である昆布、塩味はお塩、甘みはクッキー、酸味はレモン果汁で、それぞれの味わいと日本酒を合わせるとどう変化するかを楽しみました。
すると、塩味と酸味を合わせた場合は日本酒の果実風味が増す様に感じられ、
甘みと旨味を合わせた場合、日本酒の渋みや苦み、酸味が増す様に感じられました。
これを、正の相互作用と負の相互作用と呼ぶそうです。
ここで疑問がひとつ。
日本食には負の相互作用である甘み=砂糖が使われる料理が多くありますが、日本酒との相性はとてもいい・・これは何故なのでしょうか。
その理由は、日本食には必ずお塩が使われるからだそうです。
そのため、どんな料理でも日本酒と調和することができると知り、深く納得しました。
この講義は、世界に日本酒を発信する存在であるMiss SAKEである上で”日本酒の基本知識”という非常に重要なインプットを与えて下さいました。
全く知らない人に何かを伝えるのって、とっても難しいんです。
日本酒を全く知らない方、特に外国の方に向け説明する際、お伝えし過ぎてしまうとお相手はより分からなくなってしまいます。
なので、
- どのくらいの知識を
- どんな例えで
- どう表現するか?
がとても重要だと学びました。
香りや風味をお伝えする際、国境なく伝わる例えはどんなものだろう?
決まり切ったフレーズだけに頼らず、自分で模索できたら素晴らしいことですよね。
「何かを伝える際は、小学生でも分かる簡単な言葉で、簡潔に話すこと」
これはアナウンスの基本として新人の頃から言われてきたことです。
放送は、老若男女、様々な人が聞いているものです。難しい言葉を使って、伝わらなかったら意味がないですよね。
私の尊敬している元NHKアナウンサー、池上彰さんは著書「伝える力」の中で、「語彙力のある人は「知の巨人」ではなく、平易な言葉を組み合わせられる人だ」と述べています。
印象的だったのは、池上さんが週刊こどもニュースという子供向けの報道番組に出演されていた際のエピソードです。
当然知っているだろうという前提で”日銀”の話題をすすめると、子どもたちに「日銀ってなに?」と問われ、ハッとしたそう。
それまで自分が知っていると思って使っていた言葉も、改めて問われることで説明できない自分がいた。
そうしてはじめて、自分が当たり前に使っていた言葉も本当は知らなかったことに気付いたそうです。
全く知識のない人に分かる様に伝えるには、うろ覚えや浅い知識ではなく、正確に理解していないとなりません。
何かを学ぶ時には、知ろうという姿勢に止まらずに、「全く知らない人に説明するにはどうしたら良いか?」というところまで意識すると理解が格段に深まり、人にわかりやすく伝える事ができるのです。
「伝える力」読了以降、私はその視点で物事を見る様になりました。
木下さまのご講義は、「この味わいを伝えるにはどんな表現をつかったらいいか。」「外国にはない「旨味」の説明は何で例えたら理解してもらえるか。」など、世界に目を向けての内容でとても分かり易かったです。
繰り返しになりますが、我々Miss SAKEの使命は、【国内外に日本酒・日本文化の魅力を発信すること】。
何事も、自分が理解していないと相手には伝えられません。
日本酒の伝道師として今後も自己研鑽を重ね、学び続けたいと思いました。
キャプラン株式会社 木下明子さま、この度は貴重な学びの機会をありがとうございました。