日本酒のラグジュアリーブランドを目指す「SAKE HUNDRED」
日本酒専門WEBメディア「SAKETIMES」を管理運営され、ラグジュアリーブランド「SAKE HUNDRED」を手掛け、業界のニーズをけん引される株式会社Clear 代表取締役CEO 生駒龍史様、日本酒業界の今と未来を教えて頂きました。
“精米歩合18%のお酒”
突然ですが「精米歩合18%の純米大吟醸酒」が目の前にあるとしたら…どう感じますでしょうか?
これをお読みいただく皆さんは、日本酒がお好きな方が多いかと思いますので「え!すごい!呑んでみたい!!」と感想を抱くと思います。
ですが、生駒様は「精米歩合18%」の凄さが分かるのはほんのわずかで、分からない方へも、日本酒の美味しさ・素晴らしさを届けたい、とおっしゃるのです。
「精米歩合18%の純米大吟醸酒」は、生駒様が手掛ける「SAKE HUNDREDのシリーズ「百光(びゃっこう)」という商品です。
山形県産米「出羽燦燦」を18%まで磨き、一切の雑味なく醸されたお酒です。
日本酒における上質を追求した1本で、世界の品評会でも高い評価を得ており、発売後すぐに完売してしまう幻のお酒とも言われております。
もちろん、ラベルには「精米歩合」や「18%の」文字はなく、商品名とSAKE HUNDREDの文字がスタイリッシュに表記されています。生駒様がこれまで日本酒に馴染みのなかった層にもビジュアルから訴求しているのがよく伝わります。
(ご講義の翌日(6月6日)まで、東京メトロ表参道駅内のグラフィックが「SAKE HUNDRED」一色となっておりました!デザイン性高い世界観が効果的にPRされていて、表参道駅を利用する洗練された消費者へもビジュアルで訴えかけるものがあったと思います。)
「SAKE HUNDRED」には、「百光」の他に「天彩(あまいろ)」、「思凛(しりん)」、「現外(げんがい)」と4つの商品ラインナップがあります。
実は私…今年3月、「百光(別誂)」をいただく機会がありました。知人が奇跡的に手に入ったので一緒に飲もうと誘ってくれたのです。
ドキドキしながらグラスに注ぐ高揚感。ユリの花のような穏やかだけれど気品ある香り。口に含んだ瞬間広がる白桃のような瑞々しい甘さ…軽やかな余韻。それはもう…心満たされる感覚でした。
いつか飲みたいお酒として「日本酒」を選択肢に
“全てが満ちていく感覚”を味わわせてくれた百光ですが、1本27,500円。そう気軽に飲めるお酒ではございません。
ちなみに、「天彩」は15,400円、「思凛」は41,800円、「現外」は、165,000円です。(税込み価格・公式HPより)
こうなってくると、なかなか手にするのは難しく、“機会があったら、いつか飲んでみたい”と思うにとどまってしまいます。
しかし、生駒様が高価格帯の日本酒を手掛けるのには理由があり、“いつか飲んでみたい―”私が抱いた感想こそ、「SAKE HUNDRED」が目指す世界なのです。
お祝い事に、贈り物として、記念日に…私たちが高価格帯商品を選ぶ時、背景にはこうした思いがあるかと思います。
しかし、日本酒はワインと比べ価格帯の多様性が少ないのです。
これだけ全国の酒蔵様から多種多様な銘柄が販売されているにも関わらず、です。
多くは、四合瓶で1000円~2000円くらいでしょうか。日本酒の酒造りの工程等を考えたら安すぎるくらいです。
酒蔵様の並々ならぬ企業努力で保たれてきた今日の日本酒価格に一石を投じた生駒様は、新たな市場ラグジュアリマーケットを創造し、日本酒産業全体の規模を押し上げたい、とおっしゃいます。
ワインにデイリーユースのものから、ドン・ペリニョンに代表されるような高級酒が数多く存在するように、日本酒の価格も多種多様になるべきだと。
SAKE HUNDREDで日本酒を知って、いつか飲んでみたいお酒として、「日本酒」を選択肢の1つにしてもらいたい。そして、まずは手の出せる日本酒から飲んでもらう。
飲んでみれば、その魅力はすぐに伝わると思う。なぜなら、日本酒は美味しいから!
言葉の端々に、生駒様も日本酒が本当にお好きだというのが伝わりました。
世界では日本酒ブーム!しかし…
日本酒の輸出量は、この10年3倍超の241億円で、11年連続で過去最高を更新しています。世界では、日本酒ブームが巻き起こっているのです!!
コロナ禍で輸出量こそ前年比87%となりましたが、輸出額はアップしています。つまり…1本単価が上がっているのです。
追い風吹く日本酒業界ですが、一方、国内消費量は、1975年度の167万㎘をピークに低迷し、2010年度には58万9000ℓと半分以下になっています。
私がMiss SAKEに応募させて頂いた動機の一つに、同年代の日本人女性にもっと日本酒の魅力を伝えたいという思いがあります。
同年代の女性の中では、ワインは飲むけど、日本酒はなかなか…という子も少なくないのです。
ちなみに、私が日本酒を好きになったのは、地方テレビ局に入社した頃です。
青森県で働き始め、青森の地酒を先輩に飲ませて頂き、それまで抱いていた日本酒のイメージが覆され、「美味しい!」と思うようになったのです。
ビールも飲めなかった22歳当時の私、日本酒の美味しさを覚えてしまったのです。
幸い、青森県の飲食店のほとんどで、地元のお酒を提供していて、若い女性も日本酒を気軽に頂ける環境がございました。
生活の中で日本酒に触れる「体験」が目の前にあったから「ファン」になったのだと思います。
青森県に就職していなければ、ここまで日本酒ファンにならなかったかもしれません。
日本酒を知ってもらうための発信
生駒様も、日本酒は体験さえしてもらえればファンになるけれど、体験までのハードルがまだ高いのでは、とお考ええです。
日本酒専門WEBメディアSAKETIMESを立ち上げたのも、まずは日本酒を「知る」場を提供したいという想いからだったようです。
そして、ご講義の中で、日本酒をまだ体験していない人にもその魅力を届ける者として、Miss SAKEの皆さんとは同じ立場にあると思っているとおっしゃっていただのが印象的でした。
Miss SAKEとして、世界はもちろん、日本国内の日本酒ファン予備軍の皆様に、私の存在を通して発信していきないと強く思いました。
WHO世界保健機関は、健康憲章をこう定めています。「人間の健康は、肉体的、精神的、社会性の3つによってもたらせるものだ」と。
「酒は百薬の長」ということわざがありますが、近年の研究では、適量であっても肉体的には、お酒はあまりよくないそうです。
しかし、お酒を飲むことで、心がほどけ、人とのコミュニケーションが生まれ、精神的に(もしかしたら社会性にも)良い作用をもたらすのです。
長い歴史のある日本酒ですが、日本酒の未来を作るのは、私たちです。
日本の気候風土によって奇跡的に成り立った日本酒。古くから守り受け継がれてきた酒造り技術。
しっかりと次世代にも魅力を伝えて参りたいです。
また、酒造りは自然の恵みに頼る部分も多くあります。
酒蔵様と共同で「ボトルの重さを軽減し、輸送時のCO2削減に取り組む」ことや「大量に廃棄されてしまっている酒粕を生かしたレシピや美容」の提案など、環境に配慮した取り組みも積極的に行いたいと感じました。
ワインと並び、日本酒が世界中で愛されるお酒となるよう、私も貢献して参ります。
生駒様、貴重なお話をありがとうございました。
2021 Miss SAKE Japan 最終選考会へ向けて
午後は、最終選考会へ向けてリハーサルが行われました。
愛葉代表と中村事務局長を前に、本番さながら自己PRを行いました。
ナデシコプログラムが始まった頃と今の私とでは日本酒に対する気持ちに変化が生まれました。
6月21日の最終選考会は、当初予定していた形ではなくなってしまいましたが、このような場を私達に頂けたことに感謝し、悔いのないようしっかり準備をしていきたいと思います。引き続き、応援よろしくお願い致します!
2021 Miss SAKE 青森 落合由佳